北朝鮮発射の大陸間弾道弾「火星17号」とは

たびたびミサイル発射を繰り返している北朝鮮です。打ち上げたものの結果は失敗との報道を眺めて笑っている人もいるわけですが、ミサイル開発に失敗はつきものであり、繰り返すうちに技術は完成され、現実の脅威となり得ます
先日発射されたのは大型の大陸間弾道ミサイル「火星17号」だと伝えられています。どのようなミサイルなのか、調べてみました
全体の様子は以下の写真から分かります

打ち上げ準備中の火星17号

火星17発射台.jpg

タイヤが11輪もある大型トレーラーで搬送し、起立させて発射する仕組みです。ただし、軍事専門家の指摘では大型トレーラーで重量もかさむため、狭い道は通れず、カーブも曲がれない、橋も渡れない(橋が重量に耐えられない)ため、移動できる範囲が制限されるのだそうです。写真に写っている軍が使用する滑走路だと思われます
火星17号は旧ソ連が開発したRD250型エンジンを4基搭載したものと考えられ、同エンジンを2基搭載した火星15号より大型化されています
最大射程距離ははっきりしませんが、北米大陸まで到達可能だとされます。つまりはアメリカを牽制するために開発しているのでしょう
ただし、このRD250型エンジンはヒドラジンを推進剤として使用するエンジンであり、ヒドラジンは猛毒な上に酸化作用が強力なため燃料タンクさせ溶かしてしまう性質を持ちます。ゆえに発射直前に燃料を注入し、すぐに打ち上げなければなりません。燃料を注入した状態で数日間待機、などという扱いができないのです。なのでアメリカのように核兵器発射のボタンを大統領が押せば即発射、というわけにはいきません
北朝鮮は公式見解として今年のミサイル発射時に、「偵察衛星打ち上げのために試験をしている」と述べていますが、嘘だと思われます
北朝鮮単独で偵察衛星を運用する能力はないのであり、偵察衛星1基で何かができるわけでもないからです。北朝鮮には対空監視のための軍用レーダーさえ満足なものがなく、電力不足のため稼働させられない状態だと言われており、アメリカや韓国との対決を考えるのであれば対空監視レーダー網の整備こそが優先されるのであり、たった1基の偵察衛星を打ち上げるため大金を注ぎ込んだりはしないはずです
ただ、火星17号クラスの大陸間弾道弾をいくつも量産できるほど、北朝鮮に生産能力があるはずはなく、当面はデモンストレーション用に数発を発射する程度と推測されます
以下のサイトに細かな情報が記載されています

北朝鮮のミサイル開発にスカウトされた技術者、ロシアからもウクライナからも

ミサイルは発射すればおしまいですから、北朝鮮が本気でアメリカを恫喝し、交渉の場に引っ張り出そうとするなら、火星17号を数十発用意しなければならず、そのためのエンジンもロシアから供給を受ける必要があります(北朝鮮単独ではエンジンを作れない、との見方が一般的)
ウクライナとの戦争で勝利を手にできないプーチンに北朝鮮の支援をする余裕などないはずですから、ただちに北朝鮮が火星17号を量産するのは無理でしょう

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