元千葉市議員 姪殺害も心神喪失で不起訴(2018年)

先に取り上げた千葉県内の同性愛殺人についてあれこれ検索している中で、2018年5月13日に千葉市稲毛区で起きた殺傷事件の記事を見つけました。元千葉市議会議員だった小田求容疑者が飲食店内で家族に切りつけ、姪を殺害したうえに他3人に重軽傷を負わせた事件です
初回報道では経緯が不明だったため、ブログでは取り上げていませんでした
あらためてこの記事について書きます
小田容疑者は千葉市議会議員を務めていたのですが、奇矯奇抜な言動がたびたびあって、「おかしな人」という扱いでした
この日は妹夫婦と食事の機会だったのですが、小田容疑者は殺害目的で刃物を持参していました


千葉市稲毛区の居酒屋で5月13日夜、同区の家族4人が包丁のような刃物で切り付けられ、幼稚園児の高木彩友美ちゃん(6)が死亡した事件で、県警が彩友美ちゃんの母親(42)への殺人未遂容疑で現行犯逮捕した元千葉市議の小田求容疑者(46)が「最初から4人とも殺すつもりだった」と供述していることが1日、捜査関係者への取材で分かった。千葉県警は残る3人への殺人と殺人未遂容疑などで3日にも再逮捕する方針。
小田容疑者は母親の兄。「家族と元々仲が悪かった」と供述していることも既に判明しており、県警は一方的に一家への恨みを募らせ、刃物をバッグに入れて持参し計画的に襲った疑いがあるとみて、経緯を捜査している。
5人は5月13日午後6時40~50分ごろに一緒に入店し、個室に入った約15分後に事件が発生。小田容疑者が突然怒りだして大声を上げて暴れ、隣席にいた父親(44)の太ももを刺した後、テーブルを挟んで斜め向かいの彩友美ちゃんに切りかかり、最後に正面にいた次女(1)を抱えた母親(42)に切り付けた。3人は重軽傷。彩友美ちゃんは背中から刺され、傷が肺に達する失血死だった。
小田容疑者は、悲鳴を聞いて駆け付けた店長らに取り押さえられた後にも、4人を執拗に襲おうとしたとみられる。
(千葉日報の記事から引用)

小田求元千葉市議、不起訴
稲毛区の居酒屋で、自身の誕生日に家族に切りつけ、姪の幼稚園児を殺害し、妹夫婦に重傷を負わせたりなどした小田求元千葉市議(46)について、千葉地検はこのほど、「心神喪失で刑事責任は問えない」として、不起訴処分とした。地検は同時に千葉地裁に対し心神喪失者等医療観察法に基づく鑑定入院の申し立てを行い、地裁がこれを認めたことから、小田元市議は一定期間鑑定入院させられ、入院の継続か在宅での通院かの判断が下されることになった。
正式名「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」の規程によれば、重大な他害行為を行った心神喪失者で不起訴か無罪が確定した者について、鑑定を行う医療機関に入院させ、裁判官と精神保健審判員(特別の資格を持った医師)が、処遇を判断し、保護観察所の社会復帰調整官が生活環境の調整を実施する。
入院の継続ではなく、通院による医療継続や退院が許可された場合であっても、3年間は厚生労働大臣が指定する医療機関への通院が義務付けられ、保護観察所の監督下に置かれることになる。
議員時代から指摘されていた様子のおかしさは、心神喪失のレベルが、殺人を犯したのに地検が不起訴を選択するほどにまで高まった。6年間の議員在籍中にも実父を棒で殴って行方不明となり、のちに逮捕される事件があったが、そのころから今回の事件の前兆が見られたのだろう。
次の選挙には立候補しなかったが、議員を終えた後に、悲惨な結末を招くことになった。
市民の間からは、人を害する犯罪を繰り返していることや今回の事件が重大であることなどから、刑務所に入れられないのなら、ずっと入院させるなど社会から隔離してほしいとの声が上がっているが、法の定めに従って、厳しく処遇されることを見守るしかない。
(稲毛新聞の記事から引用)


殺人や強盗殺人といった重大犯罪を犯した者が、心神喪失を理由に不起訴となったり、無罪判決が下された場合、ただちに放免されて社会に出てくるのではなく、精神衛生法やあるいは改正後の精神保健法の措置入院が適用されるとプログで説明していました
が、2003年(平成15年)に新たに「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」が制定され、取り扱いが変わっています。法律・制度は時代に応じて変わるものだと肝に銘じ、過去の記憶だけ当てにして書くのではなく、よく調べて言及するようにあらためるつもりです
今朝、テレビのニュースでは厚生労働省の方針として、精神科の措置入院(強制入院)のケースそのものを減らし、入院期間も短縮させ、将来的には全廃を目指すと報じられていました。その際にはまた制度が変更され、法律も改正されるのでしょう
話を事件に戻すと、小田求容疑者は統合失調症だったのでしょう。異常な言動が見られるようになった頃には症状も進行していたと考えられます。が、精神科を受診するでもなくそのまま放置していたため病状が悪化し、他者から悪口を言われている、家族から迫害されているなど、被害感情を膨らませてしまったのでしょう
逮捕後、送検される際にはテレビカメラの前でニヤニヤと笑っている姿が不気味でした(こう書いてしまうと差別的な表現、と受け取られてしまうのでしょうか?)
被害に遭った妹さん夫婦にすれば、大切な娘を目の前で殺されたのであり、悔やんでも悔やみきれない事件です。小田容疑者が措置入院になったからといって何も解決などしません。身内である兄が、しかも精神障害のため刑事責任能力のない状態での犯行ですから、怒りの持って行き場もなく、ただ辛いだけでしょう

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