福井中学生自殺　池田町と和解成立: 夾竹桃日記

2022年03月15日

福井中学生自殺　池田町と和解成立

児童・生徒の自殺後、遺族は長い戦いを強いられます。娘や息子を失ったという喪失感に加え、学校側とのやりとり、訴訟の準備があり、他方でSNSでは事実と異なる誹謗中傷があり、心身ともに追い詰められてしまうのかもしれません

その主な原因が学校や教育委員会の隠蔽です。自殺の原因は学校にはなく、家庭にこそ原因があったのではないかと、学校側や教育委員会が主張します。しかし、担任の教師であっても家庭の事情など事細かに知る機会はないのであり、ましてや教育委員会が生徒の家庭事情を把握などしているはずがないのです。責任の所在を押し付けようとするだけのでたらめです

福井県池田町立池田中学校の男子生徒が自殺した件で、４年半かけてようやく和解が成立したと報じられています。ただ、和解が成立したとは言っても、学校も教育委員会も何ら変わっていないと指摘しなければなりません

２０１７年に福井県池田町の池田中学校の男子生徒が自殺した問題で、自殺に至ったのは当時の担任教諭らの厳しい指導・叱責と安全配慮義務違反が原因だったとして、生徒の母親が県と町に損害賠償を求めた訴訟が和解成立の見通しとなったことが３月１１日、分かった。

池田町議会は同日、遺族に解決金として５千万円を支払う和解関連の議案を可決した。杉本博文町長は町会本会議で「小規模な町、学校でこのような事件が起きたことを強く反省する。学校現場の充実と、学校と地域の連携向上を図る」と述べた。県は和解について１４日に県議会で説明する。

和解は２５日の予定。原告側は成立後、記者会見を行う。

訴状などによると、生徒は当時の担任と副担任から、生徒会活動や宿題の未提出などで厳しい叱責を受け、家族に「学校に行きたくない」と話していた。家族が担任に相談したが改善されず、生徒は１７年３月１４日、校舎３階から飛び降りて命を絶った。

生徒の母親は、自殺したのは担任教諭らの違法な厳しい指導・叱責が原因だとして２０年６月、県と町に対し計５４７０万円の損害賠償を求めて福井地裁に提訴した。

地裁は今年１月１９日、▽町は原告に５千万円を払う▽県と町は再発防止に努めることを確約する▽訴訟費用は各自負担とする―など６項目の和解案を提示した。遺族の代理人らによると、三者は２月にかけて和解案について協議してきた。

町教委の内藤徳博教育長は和解案の内容を踏まえ「教育行政全体が未熟という指摘だった。真摯（しんし）に受け止め、悲しい出来事が起こらないよう努める」と話し、これまでの再発防止策を継続するとした。豊北欽一県教育長は１１日、取材に対し「県としても、これ以上訴訟を長引かせないため和解を受け入れる方針」と説明した。再発防止策なども含め、１４日の県会総務教育常任委員会で説明するという。

（福井新聞の記事から引用）

和解案を受け入れるとありますが、担任教師や副担任、当時の学校長は処分しないのでしょうか？

学校長は生徒の自殺後、辞職しています。結局、教育委員会としては誰も責任を負わず、うやむやにしてしまうのでは？

改善策として「学校と地域の連携向上を図る」まどと、２０年前や３０年前に言われていた文言をそのまま書いているわけで、何の実効性も感じられません。お題目だけで何もする気はないのが明らかです

この件での刑事責任追及の方では、担任と副担任、校長の３人が業務上過失致死容疑で保護者から刑事告発されました。２０１９年に福井地検が３人を不起訴としたのですが、検察審査会への申立により再捜査が行われたものの再び福井地検が不起訴としています

生徒の自殺後、調査委員会が設けられ、調査結果報告には担任と副担任の叱責が生徒を追い詰め自殺に至らせたと明記されているのですが、誰もそれを真摯の取り上げようとはしないのであり、極めて異常な対応です

なので、和解というのは「解決金を支払うからこれで終わりにしましょう」という意味合いであって、教育現場は何も変わらないわけです

なんともすっきりしない決着です

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