千葉妻殺し裁判　夫に懲役２１年判決: 夾竹桃日記

2022年03月09日

千葉妻殺し裁判　夫に懲役２１年判決

一部のメディアはしきりに「遺体なく殺人」と煽るような報道をしていますが、遺体が発見されなくても殺人罪が適用され実刑が科される例は珍しくありません（もちろん、殺人があったと判断するに足る蓋然性が備わっているのが条件です）

元警察官の夫である小野陽被告が妻を殺害し、浜辺に埋めたとされる事件では、遺棄された妻の遺体が未発見です。これは小野被告が遺体を埋めた場所を白状せず、「遺体さえ見つからなければ殺人罪には問われない」と勝手に思い込んでいたためでしょう

その上で妻の死は事故だとする供述を繰り返していました

２０２０年３月から行方不明になっている印西市の会社員、小野理奈さん＝当時（３２）＝を刺殺したなどとして、殺人や死体遺棄などの罪に問われた茨城県つくば市、夫の無職、小野陽被告（４９）の裁判員裁判の判決公判が８日、千葉地裁であり、中尾佳久裁判長は「強固な殺意に基づく犯行」として懲役２１年（求刑懲役２５年）を言い渡した。

理奈さんの遺体は見つかっておらず、公判では殺人罪の成否が争点となったが、中尾裁判長は殺人罪を認定した。

中尾裁判長は判決理由で、被告と理奈さんは長男の監護権を巡り争っていたと指摘。「被告は養育費などの支払いで生活が破綻すると考え、それを避けるために殺害に及んだ。自己の利益を優先させた非常に身勝手な犯行」と非難した。

任意の捜査段階で被告が「首筋に包丁を突き刺しました」「あやめてしまいました」と記した自供書があることや、犯行現場の軽乗用車内の血液付着状況を踏まえ、「殺意を持って刃物のようなもので頸部（けいぶ）を突き刺した」と認定した。

弁護側は「話し合い中に理奈さんがカッターナイフを取り出し、もみ合いになって理奈さんの首に刺さった」と主張していた。これに対し中尾裁判長は、理奈さんは被告と会うことを考えただけで体調を崩す状況だったと指摘。「文房具を携帯することは考えられるが、車内で持ち出すのは考えにくい」などと退けた。

判決によると、被告は２０年３月６日午後５時４０分～７日午前９時５５分ごろ、成田市の駐車場の車内で、理奈さんの首を刃物のようなもので突き刺して殺害し、千葉県、茨城県またはその周辺で遺体を遺棄するなどした。

（千葉日報の記事から引用）

裁判官には小野被告の言い分が相当不快だったのかもしれません。厳しく断罪し、小野被告と弁護人の主張を退けでいます

前にも書いたように、小野被告は自らの罪を認め、正直に殺害した事実を明らかにした方が懲役刑は短くなったはずです。嘘の主張を裁判の場でも展開し、「殺していません」と言いはったところで通用しないわけで

「妻が邪魔だから殺してしまおう。でも罪に問われるのは嫌だ」との気持ちから、警察官として聞きかじった情報を利用し、「遺体が発見されなければ殺人罪にはならず、せいぜい傷害致死で済む。有罪になったとしても懲役５年くらいか」などと計算したのかもしれません

小野被告はいまからでも里奈さんを埋めた場所を明らかにし、弔いができるようにしてはどうか、と思います

それとも里奈さんの遺体はこのまま永遠に発見されないよう、口を閉ざし続けるのでしょうか？

かつて小野被告は周囲から「子煩悩なお父さん」と見られていたようです。が、刑務所から出てきた頃には成人に達している息子は、そんな父親を歓迎したりはしません。「身勝手な理由で母を殺した殺人者」と映るだけです