東大試験会場で刺傷事件 弁護士が黙秘を勧める?

東海高校の男子生徒が受験生2人と成人男性を死傷させた事件は、進学校の生徒による犯行として注目され、さまざまなメディアが取り上げています。ちょっと情報過多というか、乱発しすぎの気もします
特に、息子3人を東大理科Ⅲ類に合格させたという某ママのコメントなど、なぜ取り上げる必要があるのかと思ってしまいます。東大に合格したのは彼女の息子たちであって、彼女を勲章か何かを手にした母親であるかのように扱うのは大間違いでしょう(別に某ママに恨みはありませんが)
さて、文春オンラインの記事では、逮捕された少年Aの弁護人が黙秘を勧めたため、警察は供述を得られなくなり困惑していると書いています


Aの弁護士が採った「黙秘作戦」
「逮捕直後は取り調べに素直に応じ、『医者になるため東大を目指して勉強していたが成績が上がらず、人を殺して死のうと思った』などと事件解明に繋がる供述を次々していました。ところが、逮捕後に弁護士が接見に入った途端、口を噤むようになった。『家族には会いたくない』と話したり、雑談には応じるものの、動機については黙秘したままなのです」(同前)
Aについた弁護士は都内の弁護士事務所所属。司法関係者は「刑事事件を数多くこなしてきた中堅弁護士が代表を務め、いわば『権力と闘う傾向が強い』事務所です」と明かす。
最近は一般の事件でも、黙秘を貫く容疑者が増えてきている。日本弁護士連合会も容疑者の弁護活動強化のために「黙秘権、取調拒否権等を徹底的に活用」するよう提言しているほどで、Aの弁護士が採った「黙秘作戦」もそうした方針に沿ったものと見られる。
だが、捜査関係者は黙秘には首を傾げる。
「無罪主張ならともかく、本人が凶行に及んだのは明らか。逮捕直後のように受験に悩んだなどの動機を話すことは、むしろ罪を減じる事情として考慮され、本人にもプラスのはずなのだが……」
17歳が抱えた心の問題は、今も解けないままだ。
(文春オンラインの記事から引用)


これだけでは弁護人が何を考えているのか、不明です。警察に調書を取らせず、裁判を有利に運ぼうという企てとは思いますが
しかし、次の夕刊フジ掲載の精神科医による記事を読むと、狙いが浮かび上がってくるように感じられます
長文の記事なので、一部のみ引用します。全文を読みたい方は、以下のアドレスにアクセス願います


東大受験生刺傷事件の17歳 本当に「理3」挫折で犯行に走ったのか
(前略)
父親は大学職員で、地方の有力な一家の出身。母親は専業主婦。弟と2人の姉妹がいて、家族、きょうだいの仲はいい。家庭環境を見れば、この少年が「東大理3至上主義」に染まったことが信じられません。
おそらく、彼にとって「承認欲求」が満たされるなら、なんでもよかったのでしょう。中学時代は成績がトップクラスだったので、承認欲求は満たされていました。しかし、地元の名門高(偏差値73)に進学すると、周囲は優秀な生徒ばかり。1年の学年考査では学年15位だったものの、2年では130位に転落。この「挫折感」と、高校からの入学組は中学からの内部進学組の輪に入れないという「疎外感」に苛(さいな)まれていたようです。
じつは私は、医者になるまでに医学部入学から17年もかかったという、自分でもあきれる人生を歩んできました。実家が医者なので医学部に行きましたが、なぜ医者になるのか皆目わからず、中退、再入学の繰り返し。この間、建設作業員、コンビニ店員、家庭教師などをやり、遊興生活を続けました。そうして30代半ばにしてやっと医師の国家試験に合格したのです。
そんな私から見ると、この少年は精神的に病んでいたとしか思えません。そこで行き当たるのが、中学時代に教室で突然リストカットしたということ、昨年、同じ塾に通っていて彼に好意をもっていた少女に、電話でいきなり「結婚を前提にお付き合いしてください」「僕の賢い遺伝子と、あなたの美貌の遺伝子が合わさった子をつくりたい」と言ったなどというエピソードです。
こういった点から、「境界型パーソナリティ障害」が考えられます。思春期特有の「解体型統合失調症」を発症していた可能性もあります。感情の起伏が激しく、思考がまとまらない、妄想を抱く、その場にそぐわない行動をとるなどが主な症状ですが、ジョーカーもこうした症状を見せています。とくに、なんの脈絡もなく突然笑い出すジョーカーは、解体型統合失調症を病んでいると言っていいのです。


この事件は家庭裁判所の少年審判により少年院送致で決着すると自分は予想しますが、弁護人は逆送されて刑事裁判となり、実刑判決が下される場合まで考え黙秘を勧めているのでしょう
現段階で少年Aを統合失調症だと推認する材料は、前兆もなく突飛な犯行に至ったという事実だけです。が、上記の記事を読むと教室内でのリストカットとか塾の女の子に求婚とか、脈絡を欠いたエピソードがいくつもあると分かります。おそらくもっと出てくるはずです
事件直後は、「成績優秀な高校生が突飛な事件を起こした」との扱いで、成績優秀という部分ばかりが注目されます。しかし、掘り下げれば上記の記事にあるような奇妙な言動がいくつもあると分かります
現代の刑事裁判では統合失調症との理由だけで心神喪失=無罪という判断にはなりません。統合失調症の影響を認めつつも、刑事責任能力はあったとして実刑判決を下す傾向が顕著です
が、精神疾患は減刑の材料にはなります。少年Aの弁護人は精神鑑定を要求し、「解体型統合失調症」や「境界型パーソナリティ障害」などの鑑定結果を引き出し、それによる減刑を狙っているのでしょう。なので、警察の取り調べで言質を与えるような供述をしないよう促し、黙秘を勧めているのではないか、と推測します
なお、上記の吉竹弘行医師による夕刊フジの連載「病む日本人 ジョーカーの時代」はなかなか興味深いシリーズであり、読み応えがあります

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