「中国アニメがディズニーを駆逐する」という記事

この手の記事がいくつもあり(中国アニメが日本アニメを超える、とか)、当ブログでも何度か取り上げてきました
要は①中国アニメの技術力、表現力が向上している、②中国は巨大な国内市場を抱えている、③中国政府は外国産アニメを国内市場から締め出し、国産アニメを優遇する、という骨子の話であり、作品の質や中身で日本アニメを超えたり、ディズニーを超えるという話ではありません
現在、中国がインターネットに監視機能と規制を設け、外国から入ってくる情報を遮断しているように、アニメ市場も規制して外国作品を締め出すのは容易でしょうし、そうするものと予想できます(外国作品を締め出すのでは貿易ルール違反ですが、その話は置いておきます)
ただ、そうやって国産アニメを保護すれば中国アニメ産業は潤うのかもしれませんが、競争を排したところに成長はないのであり、作品の質が上向くとは思えません。むしろ、粗雑な作品が並ぶだけでしょう
さて、ITmediaビジネスオンラインが「中国産CGアニメがディズニーやピクサーを駆逐する」と題した記事を掲載していますので紹介します
記事の配信は2020年5月です


中国産CGアニメがディズニーやピクサーを駆逐する――市場規模1兆円「中国映画ビジネス」の帰趨
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2005/25/news010.html
日本のミニシアターでロングランヒットを続けているアニメ映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』は、中国では2019年9月4日に公開され、中国国内で3.1億元(約48億円)の興行収入を記録した。
記事の前編<異例のロングランヒット、中国アニメ『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』の舞台裏に迫る>では日本配給を手掛けたチームジョイの白金氏に同映画がロングランヒットを続けている要因を、中編<『鋼の錬金術師』監督が語る、中国アニメ『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』ロングランヒットの訳>ではアニメーション監督の入江泰浩氏に『羅小黒戦記』の魅力と、日本で人気が広がる過程について聞いた。
後編ではアニメビジネスに詳しいジャーナリストの数土直志氏に、アニメ業界で生まれつつある日本と中国との新しい関係を聞く。
2019年は「中国アニメ映画元年」
19年の中国映画市場では、他にも中国製アニメ映画が相次いで大ヒットしている。まず、19年1月に中国で公開された『白蛇:縁起』が、4.49億元(約68億円)の興行収入を記録。中国の映画市場で最も書き入れ時となる旧正月の2月には、中国の人気CGアニメ映画シリーズ第6弾『熊出没・原始時代』が公開されて、7.11億元(約107億円)の興収を上げている。
そして特筆すべきは、7月に中国で公開された『ナタ~魔童降臨~(哪吒之魔童降世)』だ。道教の少年神である哪吒(なた)を主人公にしたこの作品は、中国の映画市場で50億元(約770億円)もの興行収入を記録。日本でも話題を呼んだ『三体』と同じ作者によるSF小説を実写映画化した『流転の地球(流浪地球)』や、中国でも大人気の『アベンジャーズ/エンドゲーム』といった強力なライバルを押さえて、アニメ映画で初めて中国映画市場の興行収入年間1位に躍り出ている。
(中略)
『羅小黒戦記』の日本配給を行っているチームジョイ株式会社で、代表取締役CEOを務めている白金氏は、「2019年は中国のアニメ映画元年」と評した。白金氏によると、19年に中国製アニメ映画が相次いで登場し大ヒットしたのは、その制作期間を逆算すると、15~16年に中国のアニメ制作会社に対して、大規模な資本を投じた投資家たちがいたはずだという。その背景を、白金氏は以下のように語っている。
白金氏: 日本の映画マーケットが約2600億円なのに対して、中国の映画マーケットは約1兆円(※いずれも19年)です。そして2600億円の日本映画市場のうち、アニメが25~30%を占めています。米国(アメリカ)でも、映画マーケットの約10%がアニメです。
それに対して数年前の中国では、映画マーケットに占めるアニメの割合は1~2%でした。しかもその1~2%を、アメリカと日本のアニメが分け合っている状態で、中国産のアニメはないんです。
でも日本やアメリカの例を考えれば、中国でも映画興収の15~20%がアニメになる可能性は十分にあるはずです。そう考えた投資家たちが、15~16年【※】に中国のアニメ制作会社に対して大量に投資した結果が、19年の「アニメ元年」に結びついたのだと思います。
(以下、略)

長文の記事なので、引用はここまでにしておきます。全文を読みたい方は上記のアドレスからITmediaビジネスオンラインへアクセス願います
ともかくも、記事は相変わらずお金の話ばかりが続きます。別個に配信されている記事では『羅小黒戦記』について語られているのですが、中国国内で48億円の興行収入に達した作品とはいえ、自分は素晴らしい出来栄えとは思えません。「頑張って作ったね」と感じる程度です
上記の記事では中国アニメのライバルはディズニーであり、ピクサーであって、日本はもはやライバル視される対象ではないと書かれているのですが、さっぱり理解できません
日本のアニメ作品は良くも悪くも日本国内向けに作られているのであり、海外に輸出して大儲けしようとの企んでいるわけではありません。ビジネスメディアとしては「それじゃダメだ」という話になり、もっと輸出して儲けるべきだ、海外ウケする作品をつくるべきだとの主張が連なります。商売としては正しい判断なのかもしれませんが、逆に海外ウケを狙った作品では国内のアニメファンが納得しないのであり、両立は困難でしょう
そして、中国アニメがどれだけ頑張ったところで日本で成功するのは困難、という事実があります。日本のアニメ市場は小さいとしても、そこに中国アニメが入り込む余地はありません
結論として、中国アニメが粗雑な作品を量産し、中国市場で売上を上げるのは勝手ですが、それを羨ましいとは思いません
大ヒット作品とされる『羅小黒戦記』も『ナタ~魔童降臨~(哪吒之魔童降世)』も、決して傑作とは言い難い内容であり、映画館で見るなら『劇場版呪術廻戦0』や『シン・エヴァンゲリオン』を選ぶでしょう

『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』本予告映像

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