岡山女児殺害事件を考える 無期懲役判決
未解決の事件は沢山あるわけですが、長年犯人が特定できないままだった事件の決着というのは感慨深いものがあります。当ブログで取り上げた今市女児殺害事件や、廿日市女子高生殺害事件、そして本件である津山市の女児殺害事件も長年捜査が続いた結果、ようやく容疑者を特定し逮捕し、起訴して公判に持ち込んだものです
起訴されていた勝田州彦被告は公判で無罪を主張し、最終陳述でも「冤罪だ」と訴えていましたが、岡山地裁は無期懲役の判決を言い渡しています
2004年、岡山県津山市で当時小学3年生の女の子が殺害された事件の裁判員裁判です。殺人などの罪に問われ、無罪を主張していた男に、岡山地方裁判所は求刑通り無期懲役を言い渡しました。
殺人と強制わいせつ致死、住居侵入の罪で判決を受けたのは無職の勝田州彦被告(43)です。
起訴状などによると、勝田被告は2004年9月、岡山県津山市で下校中だった当時小学3年生の女の子にわいせつな行為をしようと考えて後をつけ、家に侵入。
女の子の首を絞めた上、腹や胸などを刃物で複数回刺して殺害した罪に問われていました。
勝田被告は、2018年、別の事件で刑務所に服役中、警察の任意の取り調べに対し女の子の殺害をほのめかしたことなどから岡山県警に逮捕されました。
逮捕後、勝田被告はいったん女の子の殺害を認める供述をしましたが、その後否認に転じ、裁判では「事件当日、現場にも津山市にも行っていない」と無罪を主張。
検察側は「捜査段階での自白の内容は現場の客観的状況と整合していて信用性が高い」などとした上で、「反省の情がなく、再犯に及ぶ恐れが強い」として無期懲役を求刑していました。
一方、弁護側は「勝田受刑者と犯行を結び付ける客観的な証拠はない」、「捜査段階の自白は事件を取り上げた新聞報道やテレビの特番の記憶を参考にストーリーを考えたもので、犯人しか知り得ないいわゆる秘密の暴露はなく、客観的事実と矛盾する内容もある」などとして無罪を主張していました。
判決では勝田被告が取り調べの際に「女の子を左手で1回、右手で3回刺した」と供述し、実際の傷の状況と整合していたことを挙げ、「たまたま回数が当たったとしても、刺し傷の割り振りまでは偶然に偶然が重ならないと当たらず、実際にやったからこそ分かることだ」などとして「有力な客観的証拠はないが自白は信用できる」と有罪を認定しました。
その上で、岡山地方裁判所の倉成章裁判長は「見知らぬ男に刺された女の子の恐怖や遺族の悲しみは計り知れない」などとして、検察側の求刑通り無期懲役の判決を言い渡しました。
(KBS瀬戸内海放送の記事から引用)
自白が信用できるかどうか、という点にメディアは注目し記事にしているところが多いのですが、自分はこれまで述べてきたように無罪を立証できる根拠、証拠、証人を勝田被告が示せなかったという事由が有罪判決に影響したのだろうと考えます
犯行のあった日、勝田被告は津山市に行ってないと主張したわけですが、ならば当日どこに居て誰と会っていたのか立証できませんでした
もちろん、勝田被告が犯人ならば彼は津山市に居たのであり、それ以外の場所に居たと証明できるはずがありません
上記の記事では弁護側が、当初の自白はテレビの事件特番の内容や新聞報道を記憶した上で、勝田被告が考えたストーリーを語ったにすぎないと主張したわけですが、大阪刑務所に服役していた勝田被告の手元に新聞記事の切り抜きはなかったはずです。犯行の細部まで読んだり見たりしたものを記憶していたとの主張は無理筋でしょう
新聞記事を一度か二度読んだだけで細部まで記憶しているというなら、なぜ犯行同日どこに居て、誰と会っていたのか忘れてしまうのか、と言いたくなります
判決が出た後で言うのもあれですが、勝田被告は最初から犯行を認め反省の態度を示し、遺族に謝罪するなど真摯な姿勢を示していれば、無期懲役の求刑に対して懲役28年とか、情状を汲んでいくらかの割引を受けられたのではないでしょうか?
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