大阪ビル放火 谷本容疑者死亡

重症と伝えられていた谷本盛雄容疑者が死亡した、と報じられました
ビル放火殺人事件の捜査は継続中ですが、刑事事件の手続きとしては被疑者死亡で決着します。谷本容疑者の犯行を手伝ったり、そそのかしたりした人物はいないと考えられますので、誰も訴追されず、責任を負わないのです
理不尽な幕切れであり、腹立たしい限りですが仕方ありません


大阪市北区のクリニックで25人が死亡したビル放火殺人事件。大阪府警天満署捜査本部は、谷本盛雄容疑者(61)=死亡=が自ら炎の中に突き進み、多数の人を巻き込んだとみて調べている。専門家は、自分以外の人に責任があるという他責的な傾向が強まり引き起こした「拡大自殺」の可能性を指摘。孤独感などが事件の背景にあったとの見方を示している。
府警によると、谷本容疑者はクリニックの出入り口付近で火を付けた後も逃げるそぶりは一切なく、院内中央付近のドア手前で倒れているのが見つかった。ドアを挟んで院内奥のスペースでは26人が見つかり、うち重篤の1人を除く25人が死亡。府警は同容疑者が閉じ込めたとみているが、クリニックとのトラブルなどは確認されていない。
「拡大自殺」に関する著書がある精神科医の片田珠美さんは事件について、「自殺願望を抱いた人が、他人を道連れにしようと大量殺人を引き起こした拡大自殺だ」と指摘する。
片田さんによると、自殺願望のある人は自責的傾向が強まることが多い。ただ、「人生がうまくいかないのは他人や社会のせいだ」と他責的傾向が強まるケースもあり、復讐(ふくしゅう)心から大量殺人につながる恐れがあるという。
谷本容疑者は2011年、25歳だった長男に対する殺人未遂罪で実刑判決を受けた。判決では、離婚後の寂しさに耐えかね、自殺の踏ん切りをつけるため別居中の長男らを道連れにしようとしたと認定された。
片田さんは今回の事件でも、谷本容疑者が出所後に経済的困窮や孤独に陥ったと推測。他責的傾向が強まり、患者として接点のあったクリニックの院長や患者らを巻き添えにしたのではないかと分析した。
(時事通信の記事から引用)


谷本容疑者がクリニックに通うようになった経緯などは、クリニックのカルテなど焼失していなければそこから判明するはずです。焼失してしまっているなら分からないままでしょう
「他人を巻き添えにして死にたい」というのは身勝手すぎる考えです。しかし、面と向かって説教したところで考えを変えたり、反省したりするとは思えません。それだけ深く、強く心の内に固まった信念めいた考えが存在しており、他人の忠告や助言は届かないのでしょう
さまざまな刑事政策、精神衛生対策が講じられている現在ですが、本件のような拡大自殺を企図する者の犯行を止める決め手はないのが実情であり、何らかの手段を模索しなければなりません
弁護士会や人権派法学者が忌み嫌う予防拘禁(犯罪を起こす懸念のある人物を、事件前に拘束し監禁する社会防衛措置)しかないのか、と思ったりします。が、あまりに問題がありすぎて、実現は困難でしょう
世界は精神障害のある人物に対しても開放処遇を実施し、施設に閉じ込めてきた従来の精神医学を批判する流れにあります
しかし、日本はいまだ精神障害者の長期入院が常態化しています。精神病棟に入院している患者は28万人とされ、その多くが1年以上の長期入院です
とまあ、批判される実態があるわけですが、それでも大阪ビル放火のような事件は防げないのです

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