大阪ビル放火殺人 谷本容疑者の素性

大阪の心療内科のクリニックに放火した事件では、谷本盛雄容疑者(61)による犯行の可能性が高いと報じられています。谷本容疑者は現場から救急搬送で入院していますが、重態だとされ、このまま死亡するのかもしれません。多くの人が犠牲になった衝撃的な犯行でありながら、犯人は罰せられないまま死亡という結末を迎えそうです
文春オンラインが谷本容疑者の素性を記事にしていますので、一部を抜粋します


男は意識不明の重体で大阪市内の病院に入院
「火をつけたとみられる男は、現在大阪市内の病院に入院しています。死んではいないが意識不明の重体。年齢は61歳で、このクリニックの診察券を持っていたことから患者の一人だったことが分かっています」(捜査関係者)
男の住む同市西淀川区の自宅では、火災事件の約30分前にぼや騒ぎが起きていた。事件担当記者は「男の住む部屋から煙が上がり、1時間あまりで消火されました。自宅についても放火の疑いが持たれています」と解説する。府警と消防は、18日午前、男の自宅の実況見分を始めた。
男が住んでいたのは古びた3階建ての戸建て。直前にボヤ騒ぎがあったこともあり、壁は煤けていた。
「近所付き合いがほとんどなかったようで、近隣の住民はまったくどのような男だったのか把握していません。かつて結婚はしていたようですが……」(事件担当記者)
男が起こした衝撃の事件「玄関に血溜まりが…」
取材班が、男の元妻が住んでいるというマンションに足を運ぶと衝撃的な話を聞くことができた。近隣の女性住民はこう証言する。
「元々近所付き合いがない方々でしたが、やはり10年くらい前に起きた“あの事件”が気まずいんとちゃいますかね。事件の数年前になるんかな、父親以外の3人で15年ほど前に越してきました」
この近隣住民によると、女性と息子2人の一家だったようだ。父親である男が同居していたかは不明。近隣住民は姿を見たことはなかったという。
「私の息子が見たんですけど、ある日、朝方に警察の方がたくさんいたことがあったそうなんです。しかもあの部屋の玄関が空いていて、中を見ると血溜まりができてたって。親子トラブルで、お父さんが息子さんを刺したそうなんです」(近隣女性)
別の近隣住民の男性も「血まみれの部屋から男性が救急車へ運ばれてた」と約10年前の事件の状況を振り返る。
「刺されたのは2人の息子さんのうち、お兄さんの方。どうやらお兄さんが働くか働かないかで揉めたのが原因やったと聞きました」
当時の報道によると、男は長男の頭部などを包丁で刺したとして、殺人未遂容疑で逮捕。別居していたとみられる男が、妻と息子の住む部屋へ来て食事、飲酒し、酔った勢いでかばんに入れていた包丁で刺したという。
何が男をそんな凶行に駆り立てたのだろうか。当時の裁判を知る関係者にも取材することもできた。
「2008年秋頃に男は離婚し、ひとり暮らしを始めています。しかしひとり暮らしの寂しさが募り、翌年に元妻へ復縁を申し込むも失敗。孤独感が深まり、次第に自殺を考えるようになったそうです。しかし1人で死ぬのは怖かった。そこで、“働かず元妻に迷惑をかけている”という理由で長男を道連れにしようという考えに至ったようでした」
その後、男の心情は移り変わり、「家族は一緒でなければならない」という理由から、元妻や次男も道連れにすべきだと考えるようにもなった。そこで男は2011年4月、ついに実行に移す。
長男と酒を酌み交わした後、頭部に包丁を振り下ろした
「長男から家族みんなで遊びに行こうと誘われ、家族が一堂に会すことがあったんです。男は日中、家族と一緒に過ごし、その後に『寿司を買ってるから』という理由で元妻の家に上がり込みました。その際、包丁を数本、鞄に忍ばせていますが、まだ無理心中に対してはためらいがあったようです。
しかしその後に長男と2人で酒を飲み交わした。どんな話をしていたかはわかりませんが、酒の勢いも手伝ってか、明け方6時頃に長男に切りかかったのです」(同前)


谷本容疑者は逮捕され、裁判では「孤独によるうつ病といった精神疾患などを原因に減刑」を求めたようですが、裁判官は「仕事を辞めたにも関わらず、金を競馬に費やして自身の生活費にも困るような状態に陥り、さらに自身の行いが招いたことを打開するために、家族を犠牲にするのは『家族に対する甘え』である」懲役5年の判決を下しています
出所後、谷本容疑者は現場となった心療内科へ通院するようになったと思われます
なので、最初は長男を道連れに死のうと事件を起こし、今回はクリニックの医師や臨床心理士、患者をも巻き込んで死のうとしたのでしょう
迷惑な限りです
以前にも取り上げたように、こうした無差別殺人を精神科医は「拡大自殺」と呼びます。自分一人だけでは死ねず、無関係の人まで巻き込んで死のうという行動です
誰がこうした「拡大自殺」を企てるのか、事前に察知するのは困難であり、防ぎようがありません。「二度とこのような事件が起きないよう」と口にすることはできても、実効性のある対策を講じるのは無理がありまります
巻き込まれた方とその家族の無念さはいかばかりかと思います。実に理不尽な犯行です

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