甲府放火殺人　精神鑑定実施へ: 夾竹桃日記

2021年12月08日

甲府放火殺人　精神鑑定実施へ

ここ最近発生した事件の多くで、逮捕した容疑者の鑑定留置が行われています。鑑定留置とは精神鑑定です

検察が起訴するかどうか判断する前に精神科医らによる鑑定を求め、主に刑事責任能力に問題がないかどうかを調べる手続きです

列挙すると、立川ホテル殺傷事件の少年、地下鉄白金高輪駅の硫酸男、小田急線での傷害事件、京王線でのジョーカー男、神戸弘陵高校生殺害事件、そして甲府の放火殺人の遠藤容疑者です

多くの場合、大学医学部付属病院の精神病棟に身柄を移して鑑定が行われるのですが、未成年者の場合は少年鑑別所に身柄を置いたまま鑑定が実施されるケースもあります。検察が行う精神鑑定は本格的な鑑定留置（約３か月）かける場合と、簡易鑑定の２種類があります。前者の場合は費用が７０万円から１００万円ほどかかり、検察庁の予算で賄われます。簡易鑑定は１日ないし２日くらいで行うもので、費用はおよそ１０万円以下です。少年鑑別所の鑑別技官が検察庁の依頼で成人被疑者の簡易鑑定を行う場合もあります（精神障害の可能性はないものの知的能力が低く、どこまで善悪の判断がついているのか不明という被疑者などが対象です）

甲府の放火殺人と神戸広陵高校生殺人の２つの報道を貼っておきます

ことし１０月、甲府市の住宅で夫婦が殺害された殺人・放火事件で、逮捕された１９歳の少年について、検察は刑事責任能力を調べるための「鑑定留置」を８日から始めました。

甲府市に住む１９歳の少年はことし１０月、甲府市の住宅でこの家に住む夫婦を刃物で刺して殺害したあと住宅に火をつけたとして、殺人や放火などの疑いで逮捕されました。

警察によりますと少年は、夫婦と同居する長女と面識がありこれまでの調べに対して「長女に好意があったが思い通りにならず、家族４人全員を殺害するつもりだった」などと供述しているということです。

長女や家族に対して一方的な感情を募らせ事件を計画したとみられますが、甲府地方検察庁は刑事責任を問えるかどうか詳しく調べるため、「鑑定留置」を裁判所に請求し、認められたということです。

捜査関係者によりますと、期間は８日からおよそ３か月間を予定しているとみられ、延長などにより、変わることもあるということです。

期間中、専門家による精神鑑定が行われ、検察は得られた結果などを踏まえて今後の手続きを判断することになります。

（NHKの記事から引用）

神戸市北区で平成２２年１０月、私立神戸弘陵学園高校２年、堤将太さん＝当時（１６）＝が刺殺された事件で、神戸地検は７日、殺人容疑で逮捕された当時１７歳だった元少年（２８）について、鑑定留置を来年１月２４日まで延長するよう神戸地裁に請求し、認められたと明らかにした。

事件は２２年１０月４日午後１０時４５分ごろに発生。元少年は堤さんの頭や首などを調理用ナイフで刺して殺害したとして、今年８月に逮捕された。神戸地検は同月、元少年の犯行当時の刑事責任能力の有無を調べるため、鑑定留置を請求し、１２月１３日までの期間で認められていた。

（産経新聞の記事から引用）

鑑定人は公判に呼ばれ、鑑定結果について検事や被告弁護人から質問を受け、答えるよう求められます。被告弁護人は刑事責任能力に問題はないとする鑑定結果を不満としてイチャモンのような質問をぶつけ、鑑定が信用できないと裁判官に印象づけようとし、あるいは再度の精神鑑定を求める場合もあります。この際、弁護人が鑑定人を推薦する例もあります

ただ、宮崎勤事件のように再度の精神鑑定を求めた結果、鑑定書が３つも並ぶ事態になるケースもあり、いかにも無駄な気がします

話を甲府放火殺人に戻して、被疑者は綿密な計画を立てた上に予め凶器やライター用オイルを用意し、犯行に及んでいます。とても精神障害で判断能力を失った状態であるとは考えられません。あるいは高校在学中、妄想や幻聴の影響で奇矯な言動を繰り返したとのエピソードもないのであり、刑事責任能力が欠如していたと判断するのは無理です

失恋して自棄になった程度の心的葛藤がせいぜいなのでは？

家に火を放ち、家族を皆殺しにしようという残虐性は被疑者生来のものかもしれません。精神鑑定を必要とするほど難しい事件だとは思わないのですが、どうなのでしょうか

死刑の求刑が考えられる事件ですから、光市母子殺害事件のように人権派弁護士や死刑反対派弁護士が大規模な弁護団を組み、未成年者である被告の死刑阻止に立ち上がる展開があると検察は予想したのかもしれません

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