新潟強盗放火殺人 無期懲役判決
強盗事件は刑罰が重い、という話を繰り返し書いてきました。さらに強盗殺人となればより刑罰は重くなり、ほとんどの場合で無期懲役の判決が下されます。強盗殺人でなおかつ強姦があったり、放火ともなれば死刑判決もあり得ます
さて、今日は昨年2月、新潟市で起きた強盗殺人の判決を取り上げます。新潟地方裁判所は強盗殺人と放火、死体損壊の罪で起訴されていた佐藤義春被告に対し、無期懲役判決(求刑も無期懲役)を言い渡しています
新潟市北区太田の住宅で2020年2月に運転代行業、本間則光さん(当時49歳)を殺害して現金を奪い放火したなどとして、強盗殺人と非現住建造物等放火、死体損壊などの罪に問われた住所不定、無職、佐藤義春被告(55)の裁判員裁判で、新潟地裁は2日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
佐藤英彦裁判長は判決で「身勝手な動機や経緯に酌量の余地はない。被害者は被告にお金を貸すなど便宜を図っていたが、恩をあだで返される形で生命を奪われた。遺族が極刑を求めるのも無理はない」と述べた。
佐藤被告は公判で強盗目的での殺人を否定していたが、判決は、強盗と殺人のいずれも計画性は高くなかったとした上で「売上金を強取する意思で被害者を殺害したことは間違いない」と指摘。「被害者が帰宅した時点で強盗を、もみ合う中で殺害を決意した」と断じた。「本間さんが包丁を持ちだし、怖くなり止めようと殺害した」として弁護側が主張した誤想過剰防衛による減刑を退けた。
判決によると、佐藤被告は20年2月4日、本間さん宅で本間さんの頭部をモンキーレンチで5回ほど殴り、延長コードを三重に巻き付けて絞殺。現金約11万を奪った。さらに火の付いたろうそくを放置し、住宅や遺体を焼損させた。佐藤被告は当時、本間さんが営む代行業の従業員で、借金を抱えていた。
佐藤被告の弁護人は控訴について「本人と協議した上で判断する」としている。
(毎日新聞の記事から引用)
佐藤被告は初公判で、「金を奪うために本間さんを殺害したわけではない」と主張し、「盗みに入ったところを本間さんに見咎められ、本間さんが包丁を持ち出したので怖くなり、身を守ろうとして殺してしまった」という趣旨の弁解をしています。つまり本件はあくまで窃盗事件であり、本間さん殺害は自衛のためであって(過剰防衛だとの言い分)ので有期刑が相当というのが被告・弁護人の言い分でした
しかし、上記の判決のとおり、佐藤被告は執拗に本間さんをモンキーレンチで殴打しており、さらに延長コードを首に巻きつけて絞殺しているのですから過剰防衛ではなく、あくまで殺意に基づく犯行と裁判官が断じたのは当然でしょう
ただ、それでも検察は死刑を求刑せず、無期懲役相当としたのですから多少なりとも情状を汲んだと言えるのかもしれません
もちろん遺族にすれば、金を貸してやった上で(佐藤被告は女に貢いでいた)代行運転で雇っていた佐藤被告に裏切られたとの思いがあり、死刑を求めるのは当然でしょう。しかも裁判では言い訳ばかり並べ、反省しているようには伺えなかったのでは?
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