京王線刺傷事件を考える 死にたがり男の凶行

京王線の車内で火をつけたりナイフを振りかざし、大量無差別殺人を行う振りをして逮捕されたジョーカー男こと服部恭太容疑者(24)について書きます
社会への憎悪や絶望感がきっかけで、無差別に人を殺し死刑になろうと凶行に走るケースを「拡大自殺」と言います
ただ、世間一般には馴染みのない用語なので、自分もあまり使いたくはありません
冒頭に「大量未差別殺人を行う振り」と書いたのは、服部容疑者にそれだけの覚悟があったようには見えないからです。前回、当ブログの記事でも書いたように、混雑する車内でならナイフをむちゃくちゃに振り回すだけで数人は殺傷できる可能性があるわけです。しかし、服部容疑者はそんな行動には出ておらず、所持していた可燃性の液体を撒いて火を付けた後はシートに座り込んでしまいました。ですから、服部容疑者が悪の権化のようなジョーカーになって大量殺人を試みた、とは思えないのです
ましてや本当に死刑になりたかったのかも疑問です。せいぜい九州の田舎の兄ちゃんが悪ぶって見せた程度、といえるのかもしれません(だから執行猶予付きの軽い刑罰で済ませるべき、とは言いません)
福岡の放送局が犯罪心理学者からコメントをとっていますので、その記事を引用します


10月末に東京の京王線で福岡から上京した男が逮捕された殺人未遂事件、11月8日には、走行中の九州新幹線で放火未遂事件が起きるなど、列車内での事件が相次いでいます。また、交通機関ではありませんが、9日には宮城県内の認定こども園に刃物を持って侵入した疑いで、男が逮捕されています。この3つの事件には共通点があり、容疑者が死刑を望んだり、自殺をほのめかしたりするなど「死にたかった」という趣旨の供述をしています。なぜ、こうした事件が相次ぐのか?その背景を専門家に聞きました。
■犯罪心理学者 東京未来大学・出口保行教授
「かなり思い込みというのが強いんですね。この手のタイプの人間というのは、基本的に被害感や疎外感が非常に強い。被害感というのは、人が悪意でものを言ってなくても悪意に聞いてしまう。疎外感というのは、人が何ものけ者にしてないのに自分だけのけ者にされたと思ってしまう。だから、社会に対する不満が募っていくわけですよね。」
一連の事件をこう分析するのは、法務省の職員として刑務所や拘置所で1万人を超える犯罪者を対象に心理分析を重ねてきた東京未来大学の出口保行教授です。事件が続く理由について、出口教授はこう指摘します。
■出口教授
「こういう事件は、基本的に模倣犯であり、連鎖犯であると、こういう事件を起こす人間に共通する特徴がある。それは、社会が自分のことを正当に評価してくれないという根強い不満。その社会に対して一矢を報いたい。行動化したいと思っていても、なかなか自分の背中を押すことができないわけなんです。そういう時に1つ先行する事件が起きると、それによって背中を押される形になって、次が連鎖していく。もう一つの見方というのは、こういう社会に対して、不満を持っているタイプは、基本的に社会の中から消え入りたいというような気持ちが強いわけですね。ところが、自死をするような勇気もないという時に、道連れにして死んでいくというようなこと、これを拡大自殺と呼んでいるんですが、そういう拡大自殺を図りたいというような希望もあって、その時に先行する事件が起きた時に、この手段があったかというような形で、さらに、自分の行動を前に進めてしまうことがある。」
相次ぐ事件に対し私たちはどう警戒すればいいのでしょうか。
■出口教授
「例えば襲撃をするにしても、相手が警戒してるなと思えば、大体それで思いとどまる。警戒感を強く出していれば、襲撃してくる危険性はすごく減ります。でも、相手が電車に乗った時に、電車に乗った時からスマートフォンずっといじっていて、降りるまでいじっている、こういうことがもしあれば、犯人にしてみれば非常に襲いやすい、襲われた方も刺されて、初めて気がつくことになる。」
その上で、出口教授は、こうした犯罪を減らすには、不満を抱えた人に対する社会の向き合いが必要だと言います。
■出口教授
「社会からはみ出してしまった人を作らないことが一番大事。被害、疎外感が最も強い人は、どうしてもいるわけですから、その人たちをどうやって、社会の中に取り込んでいくのか、社会全体で考えていかないと、個人で何かを考えたから防げるようなものではない。社会全体の問題。」
(FBS福岡放送の記事から引用)


「社会全体の問題」とは言いますが、どうなのでしょうか?
服部容疑者はプライドが高そうなので、人の助けを借りようとはしない人物なのでしょう。「自分はうまくやれる」と言いながら、うまくいかなければそれを他人のせいにし、社会のせいにする厄介な人物なのかもしれません
自分もそんなタイプは苦手であり、職場の中に迎え入れるのは難しい気がします
高校生なら同じ年代、同じクラスという仲間意識が根底にあり、なんとか歩調を合わせてやっていけるとしても、社会人になればさまざまな年代の人がいて考え方や価値観も違い、「誰とでもうまくやっていこう」という雰囲気は希薄になります。己の言動を正当化し、己の正しさだけを主張する人物は職場で厄介者扱いされ、弾き出されるのは珍しくありません
最近はSDGsが強調され、「誰一人として取り残さない社会」が理想とされます。が、実現は難しいわけで
服部容疑者のような人間を生み出さない社会を実現しろ、と言われてもどう対応すればよいのか自分には分かりません

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