146キロ暴走事故で7536万円の賠償命じる判決
2018年12月、津市の国道を時速146キロで走り、タクシーに衝突させて4人を死亡させ1人に重傷を負わせる事故がありました。刑事裁判では1審津地裁が危険運転致死罪を適用せず、末広雅洋被告に過失運転致死傷罪で懲役7年の判決を下し、控訴審も同様の判断を示していました。判決はそのまま確定しています
末広被告は本件以前にも8回、事故を起こしている悪質ドライバーでした。それにしても一般道を時速146キロで走行しても「危険運転ではない」と判断する裁判所の感覚には唖然とさせられます。結果として死亡事故を起こしているのですから、危険運転致死罪を適用すべきでしょう。またしても過去の判例に縛られているのか、と言いたくなります
さて、そんな末広被告に対し、死亡した大西さんの遺族が損害賠償を求める民事訴訟を起こし、7536万円の支払いを末広被告に命じる判決が出ました
3年前、猛スピードの乗用車がタクシーと衝突し、5人が死傷した痛ましい事故で、遺族らが乗用車の運転手などに1億4000万円余りの損害賠償を求めた民事裁判が、11日に判決を迎えました。
3年前の12月、津市の国道を時速146キロの猛スピードで走行する白い乗用車。この直後、国道沿いの店から出てきたタクシーに衝突し、乗客の大西朗さん(当時31)ら男性4人が死亡、1人が重傷を負う惨事へとつながりました。
乗用車を運転していた当時IT会社経営の末広雅洋元社長(59)は、今年2月に過失運転致死傷の罪で懲役7年の実刑判決を受け、服役。一方、婚約者を含む大西さんの遺族らは末広元社長などを相手取り、およそ1億4400万円の損害賠償などの支払いを求め民事裁判を起こしていました。
刑事裁判に続く民事での争い。これまでの裁判で、末広元社長は答弁書を通じて過失は認める一方、賠償額については争う姿勢を示し、請求の棄却を求めていました。
11日の判決で、津地裁は「末広元社長には制限速度を大幅に超過するなどの過失があった」と指摘。一方で遺族らが総額1億4000万円余りを求めていた賠償額は、慰謝料など合わせて7536万円余りの支払いを命じました。
判決を聞いた大西さんの遺族は…。
大西さんの母・まゆみさん:
「厳しい判決やったなって。判決で認められないという、そういう辛さというのをやっぱり今日感じました」
大西さんの婚約者・牛場里奈さん:
「金額とかじゃないんですけど、私の人生ってこれ位の値段なのかなみたいな。本当やったら、結婚して子供が生まれてとか幸せな生活をこれからしようって」
(東海テレビの記事から引用)
交通死亡事故として大西さんの遺族には自動車保険会社から保険金が既に支払われているはずです。なので、この損害賠償請求は保険金支払いとは別です
末広被告は事故当時、三重県津市に本社を置く建築・土木工事積算ソフトウェアなどを開発販売する企業ビーイングの社長をしていました。が、事故後に「一身上の都合」で辞任しています
この事故では大西さん以外にも3人の方が亡くなり、1人が重傷を負っています。同じように末広被告に損害賠償請求を起こしたとして、同じ金額が支払われる、というわけにはいきません。裁判所なりに被害金額を見積もる計算式があり、請求金額の如何に関わらず裁判所が算定した金額で支払いを命じます
末広被告は被害者に賠償金を支払うのがそれほどまでに嫌なのでしょうか?
夜の国道をベンツで、制限速度を守って走っていれば事故にはならなかったのであり、どう考えても末広被告の責任です。タクシーの運転手といえども、一般道で140キロものスピードで暴走してくる車がいるとは予見できないわけで
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