岡山女児殺害事件を考える 自供内容は全部ウソと主張

岡山県津山市で小学生の女児を刺殺した疑いで逮捕・起訴された勝田州彦被告の公判が続いています。容疑を否認しているため、捜査段階での自供が信用できるかできないか、が争点になっています。検察は捜査関係者など証人を大量に動員し、捜査段階での自供が任意によるもので信用できると立証する作戦のため、長い裁判になっています
11月1日の公判の模様は読売新聞の記事から、11月5日の公判は時事通信の記事からそれぞれ引用します


2004年の岡山県・津山市女児殺害事件で、殺人罪などに問われた勝田州彦くにひこ被告(42)の裁判員裁判の第13回公判が1日、岡山地裁(倉成章裁判長)であり、3日にわけて行われた取り調べ映像の「反訳書」の朗読が終わった。勝田被告は殺害を認めた上で、女児の無念や遺族の怒りについては「何も思わない」と応じたことが明らかにされた。
検察官3人が休憩を挟みつつ、計約1時間30分、取調官役と被告役に分かれ、取り調べの様子を朗読した。
勝田被告は18年5月の逮捕前、事件を取り上げたテレビ番組を視聴。起訴直前に行われた18年10月の県警の聴取では、作成した女児宅の間取り図などについて「実際の記憶と、テレビ番組で見たものを混ぜて描いた」と説明した。番組の出演者が「絶対に犯人を追い詰める」と発言したのを見て「やれるもんならやってみろと思った」と振り返った。
聴取の終盤で、勝田被告の供述に基づき作成した調書を読み上げた取調官に対しては「大収穫ですね。出血大サービスです」と述べる一方、署名・押印は拒否したことも明らかにした。
(読売新聞の記事から引用)


岡山県津山市の民家で2004年9月、小学3年の女児=当時(9)=が殺害された事件で、殺人と強制わいせつ致死などの罪に問われた勝田州彦被告(42)の裁判員裁判の公判が5日、岡山地裁(倉成章裁判長)であり、被告人質問が行われた。勝田被告は「(事件当日は)遠くには行っていない」と述べ、改めて無実を訴えた。
事件当時、勝田被告は兵庫県に住んでおり、公判で弁護側は、事件前に追突事故に遭ったため長距離の運転はできなかったと主張している。
勝田被告は「女の子の首を絞めた」などと記した母親宛ての手紙に関して、「全部うそです」と話した。捜査段階で現場の図面を描いたことについては、「テレビ番組と、自分でも津山市に行ったことがあることから、その情報を基に書いた」と訴えた。
起訴状によると、勝田被告は04年9月3日午後、女児宅に侵入し、女児の首を絞めた上、胸や腹を複数回刺して殺害したとされる。事件と被告を結び付ける直接的な証拠が乏しく、公判では自白の信用性が主な争点となっている。
(時事通信の記事から引用)


別の事件で服役していた大阪刑務所から岡山県警へハガキを出し、本件への関与をほのめかしたのは、自身の犯した殺人事件について何か思うところがあったからだろうと推測します
しかし、女児殺害事件で重い刑罰を受ける結果になるのを恐れたのか、供述を翻し無罪を主張し始めて現在に至ります
一部、報道されたところによれば服役していた勝田容疑者は夢の中に殺害した女の子が出てくる、と悪夢を繰り返し見て悩まされたのだとか
女児を殺害する場面を夢の中で繰り返し味わったものと推測されます
ゆえに、悪夢から開放されるためには犯行を自供するしかないと思い立った…と推測できるわけですが、現在の勝田被告はそれも否定するのでしょう
以前に書いた話で恐縮ですが、自分が法務省に勤務していた頃、施設に勾留されている1人の男(恐喝容疑)が「自分はやっていません。恐喝なんてできませんよ」としきりに主張していました。腰が低く、柔和な語り口でいかにも好人物という体裁でした。しかし、夜の就寝時間中には大きな声で、「てめー、オレを誰だと思ってるんだ。ぶっ殺すぞ!」などと恫喝する口調で寝言を発しているのが何度も観察されました
昼間は心して柔和で誠実そうな人間を演じていたのでしょうが、就寝時はその本性のまま恐喝を繰り返す夢を見ていたのでしょう。寝言で真犯人だと断定するわけにはいきませんが、そうした二面性のある人物だと推定はできます
勝田被告は上記の記事にあるように、女児の無念や遺族の怒りについては「何も思わない」と述べていますが、それが本心であるかどうかは不明です。少なくとも、大阪刑務所で悪夢に苛まれていた頃は、心の中でやましさとか、罪の意識があったと思われます。現在は虚勢を張り、知らぬ存ぜぬで押し通すつもりでいるのでしょう
しかし、事件当日に津山市には行っていないと勝田被告は立証はできないのであり、証人もいません。昔のように、「1点でも不明なところがあれば被告人の利益に」と、検察の立証が不十分ならば無罪にすべきとの法理が通用するなら勝田被告の勝ちとなるのでしょうが、そうはいかないと考えます

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