神戸5人殺傷事件を考える 「ゾンビを殺した」
親族を含む3人を殺害し、2人に重傷を負わせる凶行で逮捕された竹島叶実被告の裁判が続いています
第4回と第6回公判の模様を伝える神戸新聞の記事を以下、引用します
犯行時、竹島被告は自分以外人間ではない(ゾンビであると)思い込むようになった、と法廷で明かされています。突発的な凶行も、「ゾンビに取り囲まれ殺すしかない」と思い極めたものとすれば理解できます。従来の報道では動機が、「誰でもいいから殺そうと思った」とされ、腑に落ちませんでした
逮捕後、精神状態が不安定だった竹島被告ですが、現在は投薬治療を受けており法廷では問題なく受け答えができる状態にあるようです
神戸市北区で2017年7月に男女5人が死傷した事件で、殺人や殺人未遂などの罪に問われた竹島叶実被告(30)の裁判員裁判の第4回公判が18日、神戸地裁(飯島健太郎裁判長)であった。被告人質問で竹島被告は被害者や遺族に「取り返しのつかないことをしてしまった」と謝罪した。
竹島被告は、死亡した祖父、祖母=いずれも当時(83)=について「長い間、お世話になったのにこんな形で別れることになって悲しい」と供述。亡くなった女性=同(79)=とその遺族に対して「何の罪もない人をあやめ、申し訳ない」とも話した。
負傷した母親(57)には「いつも優しくしてくれた母に傷を負わせ、両親を奪って申し訳ない」。けがをした近くの女性(69)には「すごく怖い思いをされたと思うので、すごく申し訳ないです」と述べた。親族以外の被害者を優先に、預金を賠償に充てる意思も示した。
自身の統合失調症の症状にも言及。現在、投薬治療により幻聴は数日に1回程度だが、事件直前にはほぼ休みなく聞こえ、前日夜には幻聴の声と自分以外は人間ではないと思うようになっていたとした。
(神戸新聞の記事から引用)
神戸市北区で2017年7月に男女5人が殺傷された事件で、殺人や殺人未遂などの罪に問われた竹島叶実被告(30)の裁判員裁判の第6回公判が20日、神戸地裁(飯島健太郎裁判長)であった。証人尋問で精神科医2人が、争点となっている精神疾患が事件に及ぼした影響の程度について、異なる意見を示した。
神戸地検は起訴前に2度の鑑定留置を実施し、それぞれ別の精神科医に鑑定を依頼。19日の公判によると、最初の鑑定医は同被告との11回の面会などから統合失調症と診断し、「犯行と元々の性格に直接の関係はなく、症状の中で行われた」と判断した。
20日の公判では、2度目の鑑定をした医師が検察側証人として証言。統合失調症は「疑い」で、症状は中等度にとどまり、竹島被告は「思いとどまる判断を行う自由が一定程度あった」と話した。鑑定は、同被告側の拒否で1回しか面会できなかったとも明かした。
これに対し、弁護側証人として出廷した3人目の精神科医は「最初の鑑定は優れている。2回目の鑑定は不十分」と主張。事件時に同被告が抱いた「周りの人は人間ではない」という内容の妄想は「かなり荒唐無稽」で、本人の性格などからも飛躍があり、統合失調症の影響は「圧倒的」との意見を述べた。
(神戸新聞の記事から引用)
統合失調症については世間一般に誤解が多く、「わけのわからない妄想にとらわれ、正常な判断を失い、他人に危害を加える病気」だと思い込んでいる方が少なくないのでしょう
しかし、現在の竹島被告のように適切な投薬治療によって病状をある程度コントロールし、妄想や幻聴を抑え、正常に近い状態を維持できる場合が少なくありません。ただ、本人に治療動機がなく薬の服用を拒否する患者もいるため、症状の悪化を招くケースが見られるのも事実です
話はそれますが、竹島被告はひきこもり状態の中でゾンビを倒すシューティングゲームなど、やり込んでいたものと推測されます。周囲の人がゾンビに思えたという竹島被告の言い分は奇抜に感じられますが、現実検討能力が低下した状態ならそうした錯覚もあり得るでしょう
ただ、それはゲームの悪影響と考えるのではなく、病気による影響で現実検討能力が著しく低下した結果だと理解するのが妥当です
ひきこもりになった時点で統合失調症が発症していたと推測でき、早期に適切な治療を受けていたのであれば事件を回避できたかもしれません。ただ、その時点で竹島被告自身に「自分は病気である」との認識はなかったのでしょう。診察を受けるのを拒否したのでは?
統合失調症は青年期の病気と言われ、完全に治癒するのは難しくとされますが、投薬で症状を軽減したりできますので早期に受診するのが大切です。本人に病気を理解させ、納得させ、治療を受けようという気構えをもたせるのが肝要です
上記の記事によれば竹島被告には3度の精神鑑定が行われ、うち2度の鑑定では統合失調症によって事件を起こしたとの意見です。検察は死刑を求刑するとしても、判決では死刑を回避して無期懲役を言い渡すものと予想します
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