神戸5人殺傷事件を考える 初公判で心神喪失主張
4年前の2017年、神戸市北区で包丁や金属バットを振るって5人を殺傷した竹島叶実被告の裁判が始まりました
事件から裁判まで4年もかかったのは竹島被告の精神状態が不安定で、2度の精神鑑定を実施したためでもあります
初公判で竹島被告は起訴内容を認めていますが、弁護人は「犯行当時心神喪失であり、刑事責任を問えない」と主張し争う構えです
この手の争点(刑事責任能力の有無)となる裁判では当ブログで述べてきたように、心神喪失が認められて無罪が言い渡されるケースが最近減っているように感じます。統計上の根拠に基づく話ではなく、自分の所感というレベルの話なのですが。30年前、40年前なら統合失調症という病名がつけば無罪(ただし、措置入院で精神病院へ)という扱いが多かったように思います
現在は精神疾患があっても、有罪判決を下すケースが増えている、つまり安易に心神喪失とは認めないケースが増えているように感じます。起訴前に精神鑑定を実施し、重度の精神疾患が認められて有罪に持ち込むのが困難と検察が判断した場合、不起訴にしているというのも、背景にあるのでしょう
神戸市北区の住宅地で2017年、親族と近隣住民計5人を殺傷したとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた無職竹島叶実(かなみ)被告(30)の裁判員裁判の初公判が13日午前、神戸地裁(飯島健太郎裁判長)で始まった。竹島被告は起訴内容を認めた。弁護側は、事件当時、被告は罪に問えない心神喪失の状態だったとして無罪を主張した。
起訴状によると、竹島被告は17年7月16日朝、神戸市北区有野町の自宅で、同居していた祖母の南部観雪(みゆき)さん(当時83)と祖父の達夫さん(同)を金属バットで殴ったり、包丁(刃渡り約16センチ)で突き刺したりして殺害。母親(57)も同様に殺害しようとして、重傷を負わせたとされる。
その後、2軒隣の民家の敷地にも侵入して、辻やゑ子さん(当時79)の首などを包丁で突き刺すなどして殺害。さらに別の民家の敷地内にあるアヒル小屋にも侵入し、中でアヒルの世話をしていた女性(69)を複数回刺し、殺害しようとしたとされる。
竹島被告は、包丁と金属バットを持ち、近くの有間神社付近にいたところを現行犯逮捕された。その際、兵庫県警に「誰でもいいから攻撃しようと思った」という趣旨の供述をしたという。神戸地検は2回にわたって計約8カ月間、刑事責任能力を見極めるための鑑定留置を実施。刑事責任能力を問えると判断し、18年5月に起訴していた。
刑事責任能力は、善悪の判断や行動を制御する能力のこと。刑法39条は、この能力が著しく減退した「心神耗弱」なら刑を軽くし、能力がない「心神喪失」は罰しないと定める。
今回、「心神耗弱」にとどまるとする検察側に対し、弁護側は「心神喪失」を主張。刑事責任能力の有無や程度が争点となる。
初公判を控え、亡くなった辻やゑ子さん(当時79)の遺族と負傷した住民女性(69)が、代理人弁護士を通じて報道各社にコメントを寄せた。
辻さんの長女と長男は「事件から4年以上が経ちましたが、今なお、信じられない、悪い夢なら覚めてほしいという感覚は変わっておらず、母を失った悲しみは深まりはしても、薄れはしません」との心境をつづった。
負傷した女性は「事件のことを考えないでおこうと努めてきましたが、今でも忘れることはできません。被告人には裁判を通じて事件に向き合って、反省してほしい」と訴えた。
(朝日新聞の記事から引用)
竹島被告の犯行動機はこれまでにも、「誰でもいいから刺そうと思った」と報じられるばかりで、いまひとつはっきりしません
多くの場合は、「家族あるいは近隣住民が自分の悪口を言っている」等の被害妄想があり、あるいは誰かが自分の生活を邪魔しているとか、干渉してくるといった被害体験(それ事態が関係妄想によるものなのですが)への反撃として凶器を手にするパターンがあります
竹島被告の場合はどうだったのでしょう
統合失調症の症状がいつ頃から、どのような形で見られるようになったのか、が重要です
精神鑑定の内容等を含め、この先の公判で明らかにされるものと思われます
検察は竹島被告を起訴した以上、「統合失調症の影響はあったが限定的であり、罪を問うべき」との考えで公判に臨むはずです
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