中国人姉妹殺害事件 無期懲役判決

夏休み明けのこの時期、裁判所では判決公判が相次ぎます。毎日、注目していた事件の判決が下されるので、ブログで取り上げる方は大変です
一審の裁判員裁判で懲役23年の判決が出ていた横浜の中国人姉妹殺害事件で、東京高裁はその判決を厳しく批判し、差し戻しの決定を下していました
2人を殺害し、遺体を遺棄したにもかかわらず懲役23年というのは随分と軽い判決です。一審の判断の根拠は犯行に凶器が使われておらず、被告が手で絞殺したので残虐な犯行であるとは言えず、凶器を準備していなかったのだから咄嗟に思いついて殺害したもの、と判決の中で述べられています
また、「過去の類似事件の裁判員裁判でも、死刑や無期懲役が選択された例はない」としているのですが、これは誤りでした
なので東京高裁は、過去の判例を誤って解釈したもの、と批判したわけです(が、これも過去の判例ばかり重視する裁判所の旧態依然たる考え方であり、どうかと思ってしまいます)


知人の中国人姉妹を殺害して遺体を山中に遺棄したとして、殺人や死体遺棄などの罪に問われた無職、岩崎竜也被告(43)に対する差し戻し裁判員裁判で、横浜地裁は3日、求刑通り無期懲役を言い渡した。
差し戻し審では量刑が争点となった。景山太郎裁判長は、被告が2人の首を5分程度圧迫したことについて「危険性が高く、凶器を使用した際と大きく異ならない」と指摘し「強固な殺意に基づく執拗(しつよう)な犯行」と非難。単独犯で、親族以外の複数人を殺害した事件の裁判員裁判での量刑は全て無期懲役以上であることを踏まえ、無期懲役を選択した。
最後に景山裁判長が「2人の命を奪った重大さを一生かけて見つめ、償いをしていただきたい」と語りかけると、岩崎被告は「分かりました」と応じた。
判決などによると、岩崎被告は2017年7月、横浜市中区のマンションに侵入し、無職の陳宝蘭さん(当時25歳)と妹で専門学校生の宝珍さん(同22歳)の首を絞めて殺害し、遺体を神奈川県秦野市の山林に遺棄した。
18年7月の1審・横浜地裁判決は、被告が凶器を使っていない点を重視し、懲役23年の判決を言い渡した。しかし、東京高裁は19年4月、1審が量刑の根拠にした過去の事件はいずれも親族間だったことから「全く類型が異なる」として1審判決を破棄。審理を地裁に差し戻していた。
(毎日新聞の記事から引用)


この事件は中国でも注目されており、中国の新聞やテレビ局も取り上げています。「中国なら当然死刑」、「なぜ懲役23年?」などの意見が多数寄せられ、日本の裁判は不公平だとの不満が示されていました
ただ、この事件の背景には姉妹のオーバースティが原因としてあるわけですが、中国メディアは触れようとしません。殺害された被害者は日本での在留資格を得るため、岩崎被告に偽装結婚をもちかけています。陳宝蘭さんにベタぼれし、彼女のいる飲食店に通い詰めていた岩崎被告ですが、偽装結婚の相手(都合の良い男)としか見られていなかったことに激怒し、殺害を思い立ったというのがそもそもです
もちろん、どのような理由があろうと殺人は殺人であり、偽装結婚が岩崎被告の罪一等を減じる理由にはなりません
裁判の争点とはならなかったため公判では取り上げられていない、岩崎被告と被害者姉妹のきなくさい噂も出回ったのですが、それもいまさら取り上げるべきではないのでしょう

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