冤罪確定事件でも被告を犯人扱い 滋賀県警が謝罪
湖東記念病院事件で有罪判決を受け、12年もの間和歌山刑務所に服役していた元看護助手西山美香さんは再審請求が実って無罪判決が確定しました
事件の経緯や再審については前回書きましたので省略します
西山さんは滋賀県警の違法が取り調べの結果、犯人に仕立てられたと損害賠償請求の訴訟を起こしています。訴訟に応じる準備書面において、滋賀県警はまだ「西山さんが犯人」と記載しており、物議を醸しています
そもそも再審の無罪判決言い渡しの場で、裁判長は「取り調べや証拠開示などが一つでも適切に行われていれば、逮捕・起訴はなかったかもしれません」と滋賀県警側に説諭したのですが、滋賀県警側は「承服し難い」と反論していました
なので、「裁判では負けたが捜査は適切であり、西山被告以外に犯人はいない」との考えを滋賀県警側が抱いたまま、というのが分かります
殺人罪で服役後、昨年4月に再審無罪が確定した元看護助手、西山美香さん(41)が滋賀県と国に計約4300万円の損害賠償を求めた大津地裁の訴訟をめぐり、同県の三日月大造知事は17日、県側が提出した「心肺停止状態に陥らせたのは原告(西山さん)である」などと主張する準備書面について、「不適切な表現で、心情を傷つけた」と謝罪した。
県側が15日に大津地裁に提出した準備書面では、平成15年に同県東近江市の湖東記念病院で患者を心肺停止状態に陥らせたのは西山さんだと主張。再審無罪判決を否定するような内容に対し、西山さん側は「名誉を甚だしく毀損(きそん)するものだ」と県に抗議する意見書を16日に提出していた。
三日月知事は17日に記者会見し、無罪判決が確定している西山さんが患者を殺害したかのような表現がされている点に関し、「極めて不適切と言わざるを得ない。心からおわびする」と陳謝。滋賀県警の滝沢依子本部長も同様の見解を示していたことを明かし、準備書面を無罪判決を踏まえたものに訂正して再提出することを検討しているという。
また、準備書面の内容は把握していなかったとし、「今後はこのような重大な事案について確認する。訴訟を提起している人の心情に思いを致し、丁寧に主張を行っていく」と述べた。
(産経新聞の記事から引用)
準備書面の作成は滋賀県の代理人(弁護士)が滋賀県警の言い分を聞き取った上でまとめたものであり、滋賀県の知事部局の人間はノータッチだったのでしょう
つまり滋賀県警は、上記のように西山さんをいまだに真犯人であると考えており、裁判を通じて県警の正しさを立証する気で準備書面を用意したと考えられます。そして県警本部長にも報告せず、現場サイドの意見だけで押し切ったのでしょう(前回は警察庁の指示ではないか、と書いたのですが、上記の記事を読むと現場サイドの強い意向によるもの、と考えられます)
完全に「お飾り」扱いされた滝沢依子本部長は激怒したと思います。各県警本部は地元出身者で固められており、本部長だけは警察庁から送り込まれてくるという形です。そして女性の本部長というのも、「お飾り」扱いがまかり通っていると思われます
話が逸脱するのですが、佐賀県警でも警察による捜査の怠慢が問題となる事件があり、杉内由美子佐賀県警本部長が何度も県議会に呼ばれて釈明する事態になりました。県警本部長という立場からして、現場の警察官の捜査に問題があったとは口が裂けても言えなかったのでしょう。結局、杉内本部長は心身を壊して更迭され、警察庁長官官房付に異動となっています
女性の警察官僚が県警本部長に就くのは良いことなのでしょうが、現場は「お飾りなんだから何もしないでくれ」という扱いなのかもしれません
さて、この件で滝沢本部長が準備書面作成に関わった警察官を処分しようとすれば、県警本部の幹部連中が邪魔するに違いありません。
警察組織は典型的な男性社会ですから、女性の警察官僚が生きていくのはなかなかに大変そうです
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