高校に侵入しセーラー服姿に 服装倒錯という症状

今年の7月、和歌山県の公立高校に男が侵入し、女子のセーラー服やスカートを身に着け校内を歩き回っていたとして55歳の男性が逮捕される事件を取り上げました。この種の事件を手がかりに、服装倒錯あるいは異性装フェティシズムと呼ばれる症状について考えてみようというのが今回の狙いです
さて、逮捕された男性は55歳ですが、実は10年前にも同じ手口で女子体操服を盗み、逮捕されています


和歌山市内の高校の教室に忍び込んで女子生徒の体操服を盗んだとして、和歌山西署は12日、紀陽銀行松江支店営業課長代理、A容疑者(44)(和歌山市梅原)を窃盗と建造物侵入の疑いで逮捕した。
発表によると、A田容疑者は昨年6月29日から7月9日までの間、同市内の和歌山県立高に侵入、1階教室から女子生徒の体操服上下を盗んだ疑い。
校内で見つかった遺留物からA容疑者を突き止めた。「ほかにも数回、この高校に侵入した」と供述し、容疑を認めているという。
紀陽銀行の大門忠志広報室長は「行員が逮捕され、誠に申し訳ない。事実関係が明らかになれば、しかるべく処分をしたい」とコメントした。
(読売新聞の記事から引用)


A容疑者は2005年から何度も高校に忍び込み、体操服やセーラー服を盗んでいたとして懲役3年執行猶予4年の判決受けています。そして再犯で捕まったのであり、これは病気と考えるべきケースでしょう。前回に述べたように、繰り返し逮捕される前に治療を受けようとしなかったのは疑問です
治療を受けなかった理由として考えられるのは、自分の甘美な幻想(女子高生になりきって、あんなことやこんなことをして快楽に浸りたい)を手放したくなかったから、なのでしょう
下着盗の場合は、数百枚もの下着を盗んで貯め込み、盗みそのものが目的化してしまってやめられなくなるケースがあります。これは下着の数だけ女性の私生活の一部を盗み取り、自分のものにする快楽から逃れられなくなるため…と考えられます。下着を自慰行為に使うとしても、それだけが目的ではありません
上記のA容疑者の場合、女装だけが目的ではなく、高校に侵入する行為それ自体が女子高生の生活に侵入する行為であり、その中で自分の思い描く幻想に浸り、物語を紡いで快楽を追求しようとする欲求に抗えなかったと考えられます
MSDマニュアル(アメリカで広く使われている医師用診断マニュアル)では服装倒錯を以下のように定義しています


服装倒錯(transvestism)では、異性装により反復的な強い性的興奮が生じるもので、それが空想、衝動、または行動として現れることがある。異性装障害(transvestic disorder)は、著しい苦痛または機能障害を引き起こす服装倒錯である。
服装倒錯はパラフィリアの一種であるが、異性装者の大半はパラフィリア障害の臨床診断基準を満たさず、その基準では、本人の空想、強い衝動、または行動によって苦痛または機能障害が生じてるか、他者が害を被っていることが要件とされている。また、この状態が6カ月以上認められることも条件の1つである。
異性装を行う男性の一部はそれを強迫的に行い、自身の行動により苦痛と機能障害が生じていることがなお事実であるとしても、国際疾病分類(International Classification of Diseases:ICD)の次回改訂時には異性装フェティシズムを削除すべきであると考えている学者もいる。
「クロスドレッサー(cross-dresser)」は、「異性装者(transvestite)」よりも一般的で容認されやすい用語である。 異性装および異性装障害は出生時の性が女性である場合は極めてまれである。
女性の衣服を着用する異性愛の男性は、典型的にはそのような行動を小児期後期に始める。男性の最大3%が異性装を行って、それにより少なくとも一度は性的刺激を覚えるが、定期的な異性装を報告する男性はそれよりはるかに少ない。異性装は、少なくとも当初は、強い性的興奮を伴う。衣服それ自体によりもたらされる性的興奮はフェティシズムの一種と考えられ、異性装とともに生じる場合もあれば、異性装とは別で生じる場合もある。
治療
・社会的支援団体
・ときに精神療法
大半の異性装者は治療を求めて受診しない。受診するのは通常、困った配偶者に連れて来られた人、裁判所から紹介されてきた人、または社会的および職業的に好ましくない結果を経験することへの懸念から自ら受診した人である。併存する性別違和 、物質乱用 、または抑うつ の治療のために受診する異性装者もいる。
異性装を行う男性のための社会的支援団体がしばしば大きな助けとなる。
確実に効果を示す薬剤は存在しない。
精神療法の適応がある場合は、自己受容とリスク行動の修正が目標となる。


本人に治療動機がない場合、治療も難しいのが現状です。異性装で悩みを抱える人の集まる互助団体のようなものがあれば、そこで話し合う手立てもあると考えられますが、治療のための方法論が確立されていわけではないので、手探り状態でしょう
もちろん、それ以前に心療内科を受診するとか、カウンセリングを受ける手もあります(本人が希望すれば、ですが)
そこからいくつかの心理療法を試みるうちに、何か有効な対処法が見つかるかもしれません
繰り返し万引を行うクレプトマニア(窃盗症)については裁判官の理解もあり、障害と認める判例も出ています(だからといって無罪放免になるわけではありません)
他方で性にまつわる症状についてはまだこれを病気(障害)と扱うほど、司法の理解が進んではいません。なので、上記のA容疑者についても窃盗罪で有罪判決が下されるのでしょう
マレーシアでは服装倒錯者を収容する矯正施設をつくる、というニュースもありました。イスラム教国として服装倒錯者が街を出歩くなど許せないのでしょう。これは治療という言うよりも、刑罰を科す内容ではないかと思われます。なので、治療効果は期待できません

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