飲酒運転事故で児童死傷梅沢被告起訴 千葉
6月、仕事の途中で酒を飲みながら運転し、児童をはねて5人を死傷させた梅沢洋容疑者が起訴され、親会社「南武」と経営者である会長も安全運転管理者を選任していなかった道路交通法違反容疑で書類送検されています
安全運転管理者を選任していなかったという件は、本件事故を待つまでもなく警察で把握できたはずであり、なぜ事故が起きるまで放置していたのかと言いたくなります。もちろん、安全運転管理者を選任していたとしても、運転者が平気で酒を飲んでハンドルを握る実態が改善されたとは思えないのですが
梅沢容疑者起訴の報道と、会長の書類送検の記事の2本を貼っておきます
八街市の市道で下校途中だった市立朝陽小児童の列に大型トラックが突っ込み、1~3年生5人が死傷した事故で、千葉地検は19日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪で運転手の梅沢洋容疑者(60)=同市=を起訴した。被告は千葉市花見川区内のパーキングエリア(PA)で休憩中に飲酒し、事故当時は酒の影響で居眠り状態だったとされる。
起訴状などによると、6月28日午後2時55分ごろ、京葉道路下り線の幕張PAで酒を飲んだ後、大型トラックの運転を再開。同3時25分ごろ、八街市八街はの市道を時速約56キロで走行中、アルコールの影響で居眠り状態に陥り、進行方向左側の電柱に衝突、一列で歩いていた児童5人をはね、死傷させたとされる。
地検は認否を明らかにしていない。被告は東京都内に資材を運んだ後、勤務先に戻る途中だった。
県警は同法違反の過失傷害容疑で現行犯逮捕したが、飲酒の影響で正常な運転ができていなかった疑いがあると判断し、より罰則の重い危険運転致死傷容疑に切り替え送検していた。
死亡した男児の遺族は「裁判では被告に正直に話してもらい、事件の真相が明らかになることを望む」とするコメントを出した。
県警は被告の勤務先についても、安全運転管理者を置いていなかったとして、道交法違反の疑いで捜査している。
(千葉日報の記事から引用)
千葉県八街市で6月、飲酒運転のトラックに下校中の小学生がはねられ児童5人が死傷した事故で、県警は25日、安全運転管理者を選任していなかったとして、事故を起こした運転手の勤務先の親会社「南武」(東京都葛飾区)と同社の男性会長(71)を、道路交通法違反容疑で千葉地検に書類送検し、発表した。
県警は「安全運転管理者を選任していれば事故を防げた可能性もあり、事故の重大性と社会への影響を考慮し書類送検した」と説明。「厳重処分」の意見を付けたという。
交通捜査課によると、2014年2月28日から事故発生の今年6月28日にかけて、事故を起こした運転手に配車指示などをしていた南武の支店の「南武千葉工場」(八街市)で、白ナンバーの車を5台以上使用していながら、安全運転管理者を選任していなかった疑いがある。
道交法は、自社の荷物などを運ぶ「白ナンバー」の車を5台以上か、定員11人以上の車を1台以上使う事業者に、社内での交通安全教育などを担う安全運転管理者を選任して警察に届け出るよう義務づけている。安全運転管理者は、運転者の点呼をし、飲酒などで正常な運転ができないおそれがないか確認して、安全運転に必要な指示をする。
事故当時、千葉工場は白ナンバーを8台、運転手の勤務先の「南武運送」(同市)は5台をそれぞれ使用。ただ、南武運送は、法人としての独立性がないとして立件対象には含めなかったという。
(朝日新聞の記事から引用)
梅沢被告は危険運転致死傷罪で起訴されました
当ブログで何度も取り上げているわけですが、検察も裁判所も危険運転致死傷罪の適用に極めて慎重(臆病と言えるほど)で、よほど事故との因果関係がない限り、業務上過失致死傷罪で起訴し、判決を下しています
本件は梅沢被告の飲酒運転が明らかに事故の原因と認められるため、危険運転致死傷罪で起訴したのでしょう
裁判所がこの新たに設けられた「危険運転致死傷罪」の適用に慎重である理由として、「法の公平」という考えがあるとの話は前にも書きました
つまり、従来は業務上過失致死傷罪で裁かれていた事故が、新たに「危険運転致死傷罪」を適用することでより重く罰せられるようになるというのは、「法の公平」さに問題があるとの考えです
しかし、そんな理屈を並べて「危険運転致死傷罪」の適用を見送っていたのでは、いつまでも立法の趣旨が反映されないのであり問題でしょう
飲酒運転を含む危険な運転による事故の被害を防ぐため、より重く罰する趣旨で法を改正したのですから、裁判に反映させるのが当然です
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