作家川上未映子をネットで中傷 320万円の賠償命令

オリンピック東京大会も終わりを迎えますが、出場したアスリートへの執拗な誹謗中傷をSNSに書き込んでいる人物がいると報じられています
誹謗中傷を繰り返すことによって何を得ようとしているのか、望んでいるのか、理解不能です
おそらく、「自分には批判する権利がある。批判する理由がある」と思い込んでいるのかもしれませんし、身許がバレるはずはないのでどれだけ誹謗中傷しても自分は大丈夫と過信しているのかもしれません
アスリートへの誹謗中傷で思い出したのが、作家川上未映子に対する中傷や殺害予告を書き込んだ、として民事の損害賠償請求を起こされた東京新宿区に住む女性の件です
どうなったのか、調べました
今年6月に東京地裁の判決が出ており、名誉棄損及び脅迫行為への慰謝料合計200万円、そしてインターネット上の書き込みから被告と特定するためプロバイダーに情報開示請求を求めた訴訟の費用124万円の、計324万円を支払うよう命じる内容になっています


芥川賞作家の川上未映子さんが11日、自身のツイッターを更新。自身への殺害予告をネット上に書き込んだ投稿者に損害賠償を求めた訴訟の判決が出たことを報告した。
この日、「昨日、東京地裁において、2018年に受けた殺害予告にたいする訴訟の判決が出ました。わたしは和解の提案を退け、名誉毀損、強迫の違法性が認められた結果、被告には請求額の約8割に相当する324万円の支払い命令が下されました」と判決内容を報告した川上さん。
「誹謗中傷や強迫を受けて、訴えを起こすのはいろんな側面で勇気が要ることだと思います。費用はいくらかかるのか、どれくらい時間がかかるのか。さらに厄介なことに巻き込まれるのではないか。勝訴したとしても、結局、精神的にも金銭的にも大きな負担が残るのではないか。本当に不安です」と今回の訴訟への思いを率直に明かし、「でも、昨今のネットにおける誹謗中傷や脅迫は、人の生き死にかかわる問題で、受け流せるものではありません。卑劣な加害行為をした者は必ず『現実的に』追及され『現実的に』罰せられるということ、被害者は決して泣き寝入りしないということを常識として周知する必要があります」と続けた。
その上で「324万円のうち慰謝料は200万、相手が匿名である場合にかかる約100万の情報開示の費用も、今回は賠償額に含まれることになりました。これは画期的なことだと個人的に思っています。これが前例となり、抑止に繋がることを願っています」とし、「また今回は家宅捜査まで行われましたが、被告は初犯で身元が明らかであったことから、逮捕は見送りになりました。これに関しては思うところもありますが、まずは心配くださり見守ってくださった皆様、ありがとうございました。今後ともしっかり対応して参りたいと思います」と結んでいた。
(スポーツ報知の記事から引用)


刑事事件としては被害届を提出後、加害者が特定された上で家宅捜索が行われ、殺害予告を書き込んだパソコンなどが押収されています。が、加害者である女性は初犯という事情もあって逮捕には至らなかった、とされます。その後、刑事処分がどうなったのか、確認できませんでした
厳重注意の上で不起訴処分だったのか、あるいは罰金刑だったのか。顛末が分かり次第、追記します
また、犯行動機もいまいちはっきりしません。犯人は女性だったという情報から、強いて憶測すれば作家川上未映子への嫉妬が根底にあるのではないかと思います。が、女性=嫉妬、と杓子定規に決めつけるのはどうか、という気もします(男性でも著名人に対し、嫉妬の感情を抱いて嫌がらせをする例があります)
さて、刑事事件の処理とは別に民事でも損害賠償請求がなされ、上記の結果となっており、全面勝訴といえる内容です。ただし、被告である女性が判決通り損害賠償の支払に応じるかどうかは別な問題です。資産がないとの理由で支払いを拒むことも予想されるのであり、その場合は強制執行の申立を裁判所に行い、家財を差し押さえて競売にかけ現金化して回収、という手順になります
ともあれ、誹謗中傷に殺害予告までしていた加害者の方は、まさかこんな結果になるとは予想もしていなかったのでしょう。インターネット上の書き込みだから身許はバレないと高をくくっていたはずです
それにしても、誹謗中傷を繰り返す人物を特定するため、いちいちプロバイダーを相手に民事訴訟を起こし、勝訴しなければ身許を特定する個人情報を得られないという制度上の問題をどうにかしてもらいたいものです(個人情報だから裁判所の命令なしには開示できない、とインターネット・プロバイダー側は主張するわけですが)

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