大阪交番襲撃 飯森被告「精霊さんの指示だった」

交番を襲って警察官から拳銃を奪う事件が相次いで発生したのですが、犯人の動機はさまざまです。自殺に使うために拳銃を奪おうとする者もいれば、警察官や自衛官に強いあこがれを抱き、権力の象徴たる銃を何としても手に入れたいと思って犯行を企てた者もいます
大阪の交番を襲った飯森裕次郎被告の場合はどうだったのでしょう
逮捕時、警察官から拳銃の在り処を問われた際、飯森被告は「オレが殺したいヤツ、全員殺したら教えてやる」と叫んでいました
しかし、取り調べの中で飯森被告の供述は二転三転し、何を目的に交番を襲って拳銃を強奪したのか、動機は絞り込めないままだったのではないか、との懸念が浮かびます


大阪府吹田市の交番で令和元年6月、警察官を刺して重傷を負わせ、拳銃を奪ったとして強盗殺人未遂などの罪に問われた無職、飯森裕次郎被告(35)の裁判員裁判の第3回公判が26日、大阪地裁(渡部市郎裁判長)で開かれ、被告人質問が行われた。飯森被告は統合失調症の悪化で頭の中に現れる幻覚・幻聴の「精霊さん」の指示に逆らえない状態だったと説明。事件時は「警察官を『刺して殺せ』という指示があった」と述べた。
飯森被告は法廷でほとんど目を閉じているが、その理由を弁護人に問われ、「テレビで見たり実際に目にした人すべてが、頭の中に現れて自分や両親を殺そうとしてくるから」と話した。また「現実と夢の区別がつかない」とも語った。
このほか、事件の約10日前に1人で沖縄に旅行に行った際、幻覚の指示で服薬をしなかったところ、「体調が最悪になった」と説明。一方、当時暮らしていた東京から大阪へ向かったことや警察官を襲った理由、犯行後に着替えをしたことなどについては「覚えていない。指示に従った」と繰り返した。
起訴状によると、被告は元年6月16日早朝、大阪府警吹田署千里山交番の駐車場で、当時巡査だった古瀬鈴之佑(こせすずのすけ)巡査長(28)の胸などを包丁で複数回刺して重傷を負わせ、実弾の入った拳銃を奪ったなどとしている。
(産経新聞の記事から引用)


冒頭書いたように、逮捕時の飯森被告の発言からすれば高校時代の同級生を射殺する狙いがあって拳銃を強奪した、と推測されます
今月19日の初公判で飯森被告は起訴事実を認めたのですが、「多分僕がやったであろうことは認めるが、正直よく分からない」という曖昧な言い分に終始し、弁護人は「犯行当時、飯森被告は統合失調症にかかっていて責任能力がなかった可能性がある」と主張しています
そして上記のように第3回公判では「精霊から警察官を刺し殺せと指示があった」との言い方に変わっています
おそらくは質問するたびに、違う答えが返ってくるのでしょう。飯森被告が質問に対して毎回、適当に答えているのか、でなければ精神的な障害が考えられます
公判ではこの後、飯森被告の精神鑑定を担当した医師が証人として登場するのでしょう。あるいは飯森被告が東京で生活していた時期、通院していた精神科の医師も証人に呼ばれているのかもしれません
仮説としては、高校時代の友人・知人と連絡を取ろうとしても、応じなかったのを恨みに思い、報復を企てたとの線が思い浮かびます。おそらく被害妄想によって、さまざまに脚色されてしまっているのでしょう。自分が迫害されたり、仲間はずれにされたりと
ですから、犯行を企てた際にどのような動機(あるいは妄想によって脚色された物語)に突き動かされて行動したのか、正確に再現するのは困難ではないのか、と推測します。精神障害者が語る妄想は根幹となる部分は共通していても、語るごとにさまざに変化し、色付けされるからです
それでも検察は刑事責任を問えると判断し、起訴したのですから、飯森被告の刑事責任をどのように追及するのか注目しましょう

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