山形の両親殺害柴田被告 懲役29年不服で上告

先日、日立市で妻とこどもの併せて6人を殺害した小松博文被告に死刑判決が下された件を取り上げました
また逆に、こどもが親を殺害する事件もたびたび起きており、親子間の葛藤、憎悪の深さ、複雑さに他人の入り込む余地はないのかもしれません
であるからこそ、逆説的に赤の他人、第三者である裁判官や裁判員が間に入って裁きを付けるしかないのでしょう
今回は2019年2月、山形県朝日町の無職柴田広幸被告が、同居する父母を電気の延長コードなどで絞めて殺害した事件を取り上げます
一審の山形地方裁判所の公判で柴田被告の弁護人は、「両親を悪魔と捉えて倒しただけで人間を殺した認識はなく、責任能力もない」と無罪を主張し、検察側と全面的に争う展開になったものの、懲役29年の判決が言い渡されていました。弁護人は戦術として、責任能力を欠いていたとして心神喪失を主張する作戦でしたが、通用しませんでした
一審山形地裁判決と二審仙台高裁判決を伝える記事を2本貼っておきます


朝日町両親殺害裁判 被告の息子に懲役29年
裁判は朝日町新宿の無職・柴田広幸被告(47)が去年2月、自宅で同居する母の幸子さん(当時68)の首を手で絞めた後、父の節男さん(当時72)の首に延長コードを巻いて絞め、それぞれ窒息死させたとして、殺人の罪に問われたもの。弁護側は、これまで被告は両親を悪魔と認識し、人を殺した意識はなかったなど「刑事責任能力はなかった」として無罪を主張していた。20日の判決で山形地裁の今井理裁判長は、犯行後に偽装工作をしていることなどから精神障害は認められず、「自己の行動の善悪を判断し、制御できる責任能力があった」と指摘した。また、犯行当日、被告の長女の通学などを巡って母親から非難されたことで激高し殺害に及んだことに一定の酌量の余地はあるが、両親を殺害したことは極めて重大な結果などと断罪した。そして、有期刑で最も重いのは懲役30年だが、それに近い29年の判決を言い渡した。弁護側は、控訴するか本人の意思を確認するとしている。
(NNNの記事から引用)

山形県朝日町の住宅で両親を殺害した罪に問われ、懲役29年の判決を受けた男の控訴審で、24日、仙台高裁は一審の判決を支持し、控訴を棄却した。判決の言い渡し途中で、被告が突然、裁判所の職員につかみかかろうとした。男はすぐに取り押さえられましたが、法廷は一時騒然とした。
この事件は2019年2月、朝日町新宿の無職・柴田広幸被告(48)が、同居する父・節男さんと母・幸子さんの首を延長コードなどで絞めて殺害したとされるもの。5月に始まった控訴審で、被告側は一審と同様に「事件当時は心神喪失状態で殺意がなかった」として、「無罪」を主張していた。
きょうの判決で仙台高裁の秋山敬裁判長は、「被告に責任能力があり、殺意もあったと認定した一審判決は妥当である」として、一審判決を支持し、控訴を棄却した。
柴田被告は、この判決を法廷の中央にある証言台のイスに座って聞いていたが、判決の読み上げ終了間際、突然立ち上がると、脱いだ上着を後ろに向かって投げつけ、大声をあげながら走り出し、書記官につかみかかろうとした。法廷内にいた警備員2人が柴田被告にとびかかり、なんとか取り押さえ、書記官にけがはなかったという。
今後、上告するかどうかについて担当弁護士は、「柴田被告の強い希望によりコメントできない」としている。
(さくらんぼテレビの記事から引用)


控訴審である仙台高裁で暴れた、という部分が目を引きます。が、記事にある「法廷内にいた警備員2人」が被告を取り押さえたとの記述は間違いであり、公判に立ち会っていた仙台拘置所の刑務官が取り押さえたのでしょう。記者は刑事事件の裁判の仕組みを理解していなかったようです
余談はともかく、柴田被告の両親は2人そろって新聞配達のアルバイトをして家計を支えいたのですから、広幸被告が無職のまま家にいるのが不満であり不安だったのでしょう
柴田被告が本当に両親を悪魔と誤認して殺害したのでしょうか?
山形地裁、仙台高裁の裁判官がその主張を退け、責任能力に問題はなかったと断じているのですから、おそらく刑罰を逃れるためのでっち上げだろうと思われます。もし、両親を悪魔と誤認して殺害するほど重篤な精神錯乱があったのなら、それ以前にも錯乱状態が何度か出現していたと考えられます。ですが、柴田被告が精神錯乱を繰り返していたとのエピソードは確認されなかったのでしょう
実家で柴田被告は妻、こどもと同居していたのですから、この2人が証言したはずです
さて、柴田被告は懲役29年の判決を不服として、最高裁に上告しています。まだまだ親を殺害した己の罪と向き合う気はないのでしょう

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