中国アニメ「ウィッシュ・ドラゴン」は世界で通用するか?
評論家小野寺系がNetflixで配信されたアニメーション映画「ウィッシュ・ドラゴン」を取り上げています
まずは予告編の動画を貼っておきます。ドラゴンがフェルトで作ったぬいぐるみ風に描かれており、およそ怪物らしさはありません。視聴するのを小学生やその親といったファミリー層を想定した上での判断なのでしょう
通常、こうしたファミリー層向けのアニメーション作品は自分の関心外であり、ブログで取り上げないのですが、小野寺系の書く記事に思うところがあり、言及します
長文の記事なので、読んで気になった部分を抜き書きして引用させてもらいます。引用部は赤字で、自分のコメントは黒字で表示します
全文を読みたい方は以下のサイトにアクセスねがいます
『ウィッシュ・ドラゴン』から考える中国アニメーションの現在 世界の趨勢にも変化が?
まず、「ウィッシュ・ドラゴン」のあらすじです
これはファミリー向け劇場版アニメーションにある異形の存在(恐竜・ロボット)と少年ないし少女との心の交流を描くというほのぼの路線ではなく、中国の現代社会にみられる格差を取り上げた内容になっているのが特筆に値します
『ウィッシュ・ドラゴン』の主人公となる男の子ディンと、その幼なじみの少女リナは、小学生の頃に、上海でもまだ開発に取り残されている貧困地区に育った、気持ちの通い合う親友同士。だが、リナは父親の事業が成功したことによって、ハイクラスのエリアへと引っ越してしまう。ディンは成長して大学生となるものの、いまだに家計には余裕がなく、上海名物・小籠包の小さな店を営む母親と賃貸住宅に住んでいる。一方のリナは、いまや大富豪の令嬢であるばかりか人気モデルとしても活躍していて、すでに近づき難い存在になってしまっている。しかし、ディンはまだリナのことが忘れられず、恋心を抱いているのだ。
この二者は、ある意味で現代中国の象徴といえる存在だ。つまり、新しい中国と古い中国、富める中国人と貧しい中国人という構図である。凄まじい経済発展によって、たしかに中国は豊かになっているが、その恩恵を受けるのは時代の波にうまく乗れた人であり、新しいビジネスのかたちに順応できない人々は、古い世界でいままで通りに生き続けることになる。同じ街に住んでいても、両者の住む世界には大きな隔たりがあるのだ。
本作では、この格差を一気に埋める奇跡が、ディンの前に現れる。それが、『アラジンと魔法のランプ』に似た、魔法の急須から登場する、願いを3つ叶えてくれる“ウィッシュ・ドラゴン”のロンである。ロンは天界からの言いつけによって、急須を手にした者の願いを聞くという役目を担わされていた。ディンは、ロンの力を借りて現代の“王子様風”にめかし込んで、大富豪の御曹司を装って、リナの誕生パーティーに潜り込もうとする。
現代中国を舞台にしつつ、それでも社会批判にならない線で貧富の格差を描き、なおかつファンタジーに仕立てるという、苦し紛れとも映る構成ながら破綻なくまとめられているのでしょう(予告は見ていますが、本編は未視聴なので)
ところでこのフル3DCGのアニメはいまや世界の主流であり、日本は2Dと3Dを混在させたアニメをまだ手掛けています。それをガラパゴス化と言う人もいるわけですが、日本のアニメが日本のアニメファンを対象として作られているのですから、ファンの嗜好を無視してフル3DCGに移行するわけにはいかないのでしょう。これは技術的な問題ではなく、嗜好の問題です
他方、中国のアニメはフル3DCGに舵を切っており、2Dと3Dを混在させる日本のようなアニメは作らなくなるのでしょう
しかし、上海の街並みに象徴されるように、中国が近年になって目覚ましい近代化を遂げると、潤沢な資金によって新たに中国のアニメーション製作が活発化し始める。とくに、アメリカをはじめとする世界の潮流に乗って、フル3DCGの作品が発表されていく流れは見逃せない。その代表例が、やはり孫悟空を主人公とした、『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』(2015年)だった。
また、『ネクスト ロボ』(2018年)、『フェイフェイと月の冒険』(2020年)など、アメリカのスタジオとの共同製作でアニメーション映画を生み出すケースも増えてきている。アメリカのスタジオにしてみれば、それは膨大な人口と経済力を持った中国市場へのビジネスを本格化させていく上で、文化的にも接近しなければならないという意志の表れだといえよう。逆に中国のスタジオは、アメリカのアニメーション製作のノウハウを吸収できるチャンスとなる。アメリカのテイストで中国社会表現される、本作のような作品は、この共存共栄によって成立しているのだ。
中国のスタジオが吸収するノウハウは、CG技術だけにとどまらない。ディズニーやライカなど、複数のスタジオでコンセプトアートなどを担当してきたクリス・アペルハンス監督の演出や、洗練された画面のデザインは、今後、世界的な作品の製作で独り立ちしていくであろう中国のスタジオにとって、何よりも必要な技術に違いない。そして、中国社会の発展にともなう分断という、外部的な視点によるシリアスなテーマが描かれるという部分もまた、大きな刺激になるはずである。優れた知性と問題意識があることで、作品には個別の描写を超えた意義が生まれることになる。
一介のアニメファンにすぎない自分がアニメ業界について語るつもりはありませんが、上記のような中国とアメリカの資本が提携した作品がこれから数多く制作されるようになるのでしょう。そして、そのうちのいくつかは大ヒットすると思われます
日本では「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が間もなく興行収入100億円に到達しようとしており、日本アニメは健在であるかのように映りますが、これはあくまで国内での話です。劇場版アニメーション作品は毎年、何本も作られてはいますが、ほとんどは興行収入10億円未満であり、あまり稼ぎになっていないのが実際です
世界で稼げる作品を生み出さないと、いずれはじり貧になるのでしょう
日本にアニメ作品はその評価は高いにしても、ビジネスとしても成功しなければいずれは世界の市場で生き残れなくなるかもしれません。
テレビアニメは相変わらず異世界物ばかり目立ちますが、テレビアニメにせよ劇場アニメにせよ、そろそろ風穴を開ける作品に登場してもらいたいものです
まずはこの夏、細田守監督の「竜とそばかす姫」に期待しましょう
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『竜とそばかすの姫』予告2
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