小4女児誘拐で懲役15年求刑
2020年9月、横浜市で小学4年の女子児童が連れ去られた事件で逮捕された大竹晃史被告の裁判で、検察は懲役15年を求刑しています
被害者と家族の苦痛を斟酌するとともに、多発する同種の事件に対し歯止めをかけるため厳罰の意味で15年の刑を求めたのでしょう
こどもを虐待して死に至らしめる事件で懲役15年くらいの量刑ですから、その重さを大竹被告は噛みしめることになります
事件の発端を伝える記事と、求刑の記事を2つ貼っておきます
横浜市の小学4年生の女児(9)が2日午後から行方不明になり、神奈川県警が捜査していたところ、5日未明に東京都葛飾区で発見し、一緒にいた同区西水元3丁目、自称無職の大竹晃史(あきひと)容疑者(38)を未成年者誘拐の疑いで現行犯逮捕した。女児にけがはなかった。大竹容疑者は「オンラインゲームで知り合った」と話しており、県警は詳しく調べる。
県警捜査1課によると、逮捕容疑は2日午後4時ごろ、横浜市青葉区の路上で女児を誘拐したというもの。大竹容疑者は「未成年と知りながら車に乗せて連れ去ったことに間違いない」と、容疑を認めているという。
捜査関係者によると、女児は2日午後、自宅近くの公園で同年代の友人4人と遊び、「東京の友達に会う」と言って別れた。門限の午後5時になっても帰宅しないことから、母親が近くの交番に届けた。
付近の防犯カメラには、キックボードに乗った女児が男と歩く姿が映っていた。複数の防犯カメラの記録をつなぎ合わせ、連れ去りに使ったとみられる車種やナンバーの一部が判明。捜査員が大竹容疑者の自宅周辺で待機していると、4日夜までに、カメラの映像とよく似た男が1人で帰宅した。帰宅前から家の電気はついており、他にも人がいるとみて観察を続けた。
5日午前3時過ぎ、大竹容疑者が車に乗って自宅を出たことから、捜査員が車を取り囲み、後部座席におびえた様子で座っている女児を見つけた。大竹容疑者は「帰りたがっていたので家に帰すつもりだった」と話したという。
現場周辺の防犯カメラには、保護された女児が捜査員に付き添われながら歩き、捜査車両に乗り込む様子が映っていた。
女児は普段から、親が管理するスマートフォンを使い、ロールプレイングゲームなどのオンラインゲームで遊んでいたという。捜査関係者によると、大竹容疑者は、複数の参加者がグループに分かれて競い合うゲーム上で女児と連絡を重ねていたとみられ、県警は、事前に会う約束をしていた可能性があるとみて調べている。SNSで連絡を取った形跡はないという。
(朝日新聞の記事から引用)
横浜市青葉区で昨年9月、オンラインゲームで知り合った小学4年の女児(9)が2日半にわたって連れ回された事件で、未成年者略取などの罪に問われた無職の男(38)=東京都葛飾区=の論告求刑公判が8日、横浜地裁(青沼潔裁判官)であった。検察側は懲役15年を求刑し結審した。判決は9月6日に言い渡される。
検察側は論告で、未成年者略取について「被害者の苦痛は著しく深刻。行方不明の間、両親の苦痛は多大なもので、保護された後も母親は水以外を口にできないほどだった」と被害の深刻さを強調した。
弁護側は、計画性がないことや略取後に脅していないこと、女児を帰そうとした点などを訴え、反省しているとして酌量を求めた。
起訴状などによると、被告は昨年9月2日夕、青葉区内で女児を連れ去り、被告宅近くの車内にいた女児を捜査員が保護した同5日未明まで連れ回した、とされる。
(神奈川新聞の記事から引用)
前にも書いたように、逮捕された容疑者は取り調べに当たる刑事に自分の刑罰がどれくらいになるのか、執行猶予がつくのかどうか繰り返し尋ねます。もちろん刑事には量刑を決める権限はありませんので、「この後、検事調べがあるので検事に訊け」と答えるのですが、中には刑事が「おまえは懲役3年だ」とか、「これくらいなら執行猶予付きで刑務所には入らないだろう」などと安易に発言する場合も少なくありません。凶悪事件の場合、「おまえは死刑だ」などと圧を加え、供述を引き出そうとした例もあります
本来、こうした発言は慎むべきなのですが、警察官もいろいろで取調べの場における暴言・暴行など野放しになっているのが実際です。最近でこそ、取調べの様子を録画して記録に残すようになりましたが
さて、大竹被告が女児を誘い出したのはあんなことやこんなことの猥褻行為をするためであり、場合によっては暴行・傷害から殺人、死体遺棄事件になっていた可能性もあります。が、まだ起きていない事件について可能性だけで裁くわけにはいきませんので、現に行われた犯行内容で裁くわけです
未成年者略取は懲役3月以上7年以下の懲役が課せられます。なので、これだけでは懲役15年になりません。おそらくわいせつ行為や裸の動画を撮影するといった児童ポルノ法違反など、いくつもの罪を合算した上で懲役15年なのでしょう
概ね、懲役7年以下は短期刑の刑務所に送られ、それ以上は長期刑の刑務所に送られます
判決時点でいくらか割り引かれるとしても、大竹被告自身、自分の犯行が懲役10年を超える刑罰に値するとは思ってもいなかったでしょう
しかし、被害者とその家族はこの事件がトラウマになり、長く苦しめられる可能性があるわけで、刑期の長さどうのこうのという問題ではありません
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