日立母子殺害を考える 死刑求刑

自分の妻子6人を殺害し起訴されている小松博文被告に対し、検察は死刑を求刑しています
先の公判では弁護人が小松被告の記憶喪失を理由に公判停止を申し立てていましたが、裁判官は被告の記憶回復の見込みはないと認定しながらも、「弁護人や裁判所の適切な援助などによって、訴訟行為を理解し、コミュニケーションを取ることは可能」と指摘し、心神喪失に該当しないと判断して公判停止としませんでした
弁護人は最終弁論でも訴訟能力を欠いていると主張し、公訴棄却を求めているのですが、論告求刑まで裁判を進めてきたのですから判決で公訴棄却の判断を下すとは思えません


茨城県日立市の自宅で2017年10月、妻子6人を包丁で刺し、家に火をつけて殺害したとして、殺人罪などに問われた小松博文被告(36)の裁判員裁判は17日、水戸地裁(結城剛行裁判長)で結審した。検察側は「6人もの命が奪われた結果は重大」として死刑を求刑。弁護側は「心神喪失または心神耗弱だった」と主張し、無罪または刑の減軽を求めた。判決は30日。
小松被告は事件直後、日立署に出頭し、殺人容疑で緊急逮捕された。公判では、小松被告の刑事責任能力が主な争点となった。
検察側は論告で、小松被告が出頭後の調べに対し、殺害を迷っていたと供述した上で、殺害行為の一部や放火の経緯を具体的に説明したと主張。「完全な責任能力があった」と述べた。
また、妻の恵さん(当時33歳)と子供5人(同3~11歳)の就寝中に襲いかかり、心臓などを狙って刺していたと説明。「危険性を認識しながら殺害したことは明白」とした。
弁護側は最終弁論で、小松被告は離婚を切り出されてほとんど眠れず、うつ病や抑うつ状態だったと主張。「善悪の判断能力や行動を制御する能力が失われていたか、著しく低下した状態だった」と反論した。
このほか、勾留中の18年11月に病気で心肺停止となり、「後遺症で事件の記憶を失った」と改めて訴えた。法廷で認否すらできず、訴訟能力がないとして、公訴棄却も求めた。
小松被告は最終意見陳述で、結城裁判長から「言っておきたいことはあるか」と問われ、「特にないです」と答えた。
起訴状では、小松被告は17年10月6日午前4時40分頃、自宅アパートで恵さん、子供5人を包丁でそれぞれ複数回刺し、玄関付近にガソリンをまいて火を放ち、6人を失血や一酸化炭素中毒などで殺害したとされる。
(読売新聞の記事から引用)


おそらく判決では小松被告に求刑通り死刑を言い渡すものと予想します
当然、弁護人は控訴するでしょう。控訴審が曲者で、東京高裁の裁判官には一審の判断を覆すのを趣味にしているのではないか、と言いたくなる人物もいますので、誰が控訴審を担当するかによって判断が揺らぐ可能性があります。例えば被告人の訴訟能力について判断を誤っているとし、差し戻しの決定をするとか
ともあれ、弁護人は小松被告の記憶喪失を盾にして訴訟能力の欠如を主張しているので、控訴審もそこが焦点になるのでしょう
さて、この事件は小松被告の当初の主張では「家族を道連れに心中を図ったが死にきれなかった」という、心中事件になります。が、本当に小松被告に家族とともに死ぬつもりがあったのかどうか、今となっては確かめようもありません
心中を図りながらもこどもだけが死に、親が生き残るケースがままあります
この場合はこどもを殺害したとして殺人罪に問われ、実刑判決が下される場合がほとんどです。ただし、その後は自責の念から刑務所内で自殺する親も少なくありません
たまたま、大阪での心中未遂事件についての判決がウェブサイトにありましたので、参考のために貼っておきます
シングルマザーの女性が息子を道連れに練炭自殺を図ったのですが、幸いに親子とも無事で未遂に終わった事件です
執行猶予付きの判決ですからその機会を活かし、母子とも強く生きてもらいたいと願います。おそらく民間の支援団体がバックアップしてくれるでしょう
パチンコ三昧の生活をし、家族にも暴力を振るっていた小松被告とは比べようもありません


大阪市都島区のマンションで昨年6月、練炭を燃やして長男(8)と無理心中を図ったとして、殺人未遂罪に問われた母親(26)の裁判員裁判の判決公判が16日、大阪地裁であり、渡部市郎裁判長は懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役4年)を言い渡した。
被告は事実関係を認めており、裁判では情状面や量刑が争点となった。
弁護側は、被告はシングルマザーとして子育てしていたと説明し、証人尋問で専門家は原因不明の体調不良などが重なり重度の鬱病になっていたと指摘。一方、検察側は「犯行を思いとどまることができない状態ではなかった」と主張した。被告は法廷で、幼少期に母から虐待を受けていたと明かし、「死にたいという気持ちを抱いていた」と述べた。
渡部裁判長は判決理由で、犯行は「鬱病による限定責任能力の状態で行われた衝動的なもの」と認定。長男にけがや後遺症がなかったことも踏まえ、「強く非難すべきとまではいえない」と述べた。その上で、「社会との交流の中で事件と向き合い、更生していく機会を与えるのが相当」として、保護観察付き執行猶予が適切とした。
(産経新聞の記事から引用)

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