日立母子6人殺害を考える 無罪主張と処刑願望と
重大事件を起こした拘置中の被告人にメディア関係者が面会したり、手紙を出して手記をものにしようと試みるのは毎度の話です。そのため現金を支払うメディアもあります。是非を論じたところで仕方がないのであり、メディアの側にすれば取材のための経費、という感覚なのでしょう
ただし、刑事被告人の書く手記を読んで、「ああ、これが真実か。巷で報道されているのとは随分違う。被告も血の通っている人間だったのだな」と思う人がどれだけいるのかは疑問です
被告は裁判を控え、少しでも刑罰が軽くなることを欲しており、ましてや死刑に問われるかもしれない事件ともなれば手記の形を借りて自己弁護に終始するのも珍しくはありません
「新潮45」2018年4月号に掲載された日立母子6人殺害犯、小松被告の手記がデイリー新潮のサイトで再掲されていますので取り上げます
2018年のこの手記の時点で小松被告は死刑に成ることを望む、と書いています
【無罪主張】日立妻子6人殺害の父親が寄せていた手記 「私はなぜ家族を殺めたのか」
妻子と同じ方法で処刑されることを望みます
昨年(2017年)10月に逮捕された直後は、なぜ私だけ死にきれずに生きているのだろうか、どうにか死ねないものかと、留置場で考えるばかりでした。毎日、県警一課の刑事さんから調べを受け、私はケガをしていたので(編集部注・筆者はやけどの他、手に傷を負うなどしていた)、警察署から車で北へ15分の病院に連れて行ってもらっていました。
道順は看守さん次第で、大通りを使う人もいれば裏道を使う人もいます。裏道を使うと、子供たちが通っていた保育園や妻が勤めていた病院……一度だけ妻の実家の前を通った時は、手錠をされた手を必死に合わせ、目をつぶっておりました。正直、実感がなくて、心のどこかで、皆あのアパートにいるのではないかなどと考えていました。そう思わないととても生きていられない、というのが本音だったのかもしれません。
実況見分も行いましたが、記憶が欠落している箇所があり、歯痒い思いでいっぱいでした。刑事さんに「良い思い出のまま、思い出さないほうが幸せということもある」と言われ、改めて自分の罪に気付かされました。すべてをきちんと、逃げずに受け止めなければと、今は考えています。
起床後就寝前の2回、鉄格子越しに磨りガラスに向かって手を合わせ、日中に般若心経を写経しています。写経は12月の、娘の誕生日から始めました。これ以外に私にできることは、一日も早く死刑判決を受け、執行されることだけです。現在の死刑は絞首刑ですが、私が妻や子供たちにしてしまったのと同じようにして、処刑されることを望みます。
私が死刑になっても、遺族に対しては何の償いにもならないとわかっています。謝罪の手紙を書こうと便箋を手にしたこともありましたが、私から手紙が行けば余計に傷付けてしまうと思い、止めました。後悔していると、私が言ってもいいのか? 反省している、そんな言葉を使う権利が私にあるのか? 何をもって償ったと言えるのか、誰か教えて下さい。これが本音です。
裁判で争う気持ちはありません。残された時間、知識を吸収し、考え、ほんの少しでもよいから真人間になりたい。この33年の人生で、私は何を思い、何を考え生きてきたのか、見つめたい。
もし許されるなら一度だけ、一瞬でもいいから、墓前で手を合わせたいと願うばかりです。
(以下、略)
(以下、略)
この手記を発表した後、2018年11月に小松被告は高血圧の持病のため心肺停止状態となり、脳に障害をおって事件前後の記憶を喪失しています。なので、脳障害を負うの前には妻子殺害を認め、死にきれなかった自分を責め、死刑になる覚悟を手記の中で表明していたわけです
しかし、初公判では無罪を主張していますので、死刑を覚悟した気持ちも記憶とともに失ってしまったのでしょうか?
あるいは弁護士が、「記憶障害で死刑判決を受けるのはおかしい。無罪を勝ち取ってみせますよ」と吹き込んだのか?
今後の裁判の被告人質問の中で、心境の変化について明らかにされる部分もあるのでしょう
上記の手記は大部分を省略して引用しました。省略した部分では妻やこどもを気遣う内容が連綿と書き綴られています。しかし、パチンコに狂って就労しようともせず、借金まみれの暮らしをしていた小松被告に、本当に妻子を思いやる心遣いがあったのかは大いに疑問です
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