ひきこもり殺人 親子の修羅場

ひきこもりの息子の暴力に苦にして殺害してしまう、という事件が珍しくない時代です
あるいがひきこもりの息子が暴発し、通り魔殺人のように無関係の人まで巻き込む事件が起きたりもします
週刊誌「フライデー」が、ひきこもりの息子を殺害してしまった父親の事件についての記事を掲載しているので、考えてみましょう
長文の記事なので、全容は以下のサイトへアクセスねがいます

20年以上ひきこもりの息子を殺害した父親の「残酷な家庭事情」

高校生の頃には煙草の吸殻を収集するという、異常な行動が見られており、精神科への通院も始まっています。そして母親が暴力の対象となるのも多くにケースに共通して見られるのであり、母親を自宅から避難させて安全を確保する対応も適切だったと考えます
ただし、この長男は生活能力がない状態ですから、アパートを借りて独り暮らしをさせても自活できないのですから、何かが解決するはずもなく長続きはしません


40歳を迎える春、清太郎の精神状態をさらに悪化させる出来事が起こる。ほとんど唯一の外部の理解者だった地域活動支援センターの担当の女性が定年退職したのだ。
清太郎は、理解者を失った混乱からか、アパートで安男に対して暴力をふるった。これまで母親に手を上げることはあっても、安男にだけはしなかった。安男にしてみれば、ついに来る時が来てしまったという気持ちだったかもしれない。
さらに清太郎は長女一家にまで敵意を向けるようになる。7月の初め、長女の子供たちの誕生会に呼ばれた清太郎が、突然長女一家への殺意をほのめかすようになったのだ。幸せな家庭を目の当たりにし、逆恨みをしたようだ。
「なんであんなに幸せなのかな。みんなぶっ殺してやりたくなってくる!」
翌日になっても恨みはおさまらず、清太郎は殺意をむき出しにした。安男は、清太郎の言動にただならぬ不安を抱くようになる。


長男の精神状態が不安定になり、他の家族へ危害を加える虞がある以上、入院させるのが適切な選択でしょう。あるいは父親や母親に対する暴力を警察に通報し、逮捕させるという強硬手段も考えられます
もちろんそれで家族関係は悪化し、場合によっては破綻するかもしれません。しかし、家族で抱え込むのには限度がある以上、いつまでも「家族でなんとかすべき」だと考えるのは誤りです
残酷な言い方になりますが、どこかで見切りをつけなければならないケースもあるのですから


「清太郎は15歳の時から数えきれないくらいの病院へ行っていました。行く先々でたくさんの薬を処方されて、一生懸命に治療に励んでいたんです。それなのに、20年以上経って別の医者の先生から『統合失調症だった』と診断を覆されました。こんな中で、清太郎に医療者を信じろ、ちゃんと治療しろとは言えませんでした。
レスパイト入院も、他人と一緒にいると脅迫観念が膨らんでしまうので逆効果なんです。病院からもどってくると、毎回病状が悪化していて落ち着かせるのが大変でした」
警察については、もし清太郎が通報されたことを知れば、復讐されるという恐怖があったらしい。
第三者はよく「入院させろ」「警察に通報しろ」という。だが、事件にいたるプロセスを見ると、そんな簡単なことではないことがわかる。
本記事で紹介できるのはごく一部なので、詳細は拙著『近親殺人』を読んでいただければと思うが、こうした事件を理解するには、家族を取り巻く状況を的確に見つめなければならないのだ。
8050問題は、近い将来、今以上に大きな社会課題になることは間違いない。だからこそ、家族の間で起こる近親殺人の実態をしっかりと見つめて考える必要がある。


何でもかんでも精神病院に入院させるべきだとは言いませんが、本件のように父親が思いつめて息子を殺害する事態に至るより、強制入院させた方がより被害は小さくて済みます
残念ながら長男は在宅で治療を継続しても大きく改善する見込みはないのであり、家族がボロボロになってしまうのを避ける選択をする必要があります。苦渋の選択ではありますが、長男を見捨てる決断を早い時期にするよう、自分なら進言します
「どうにかしなければならない」という親の責任感は理解できますが、「どうにもならない事態」というのもあるわけで、抱えきれない事態を抱え込もうとするのは無理があります
日本は世界中を見ても長期入院患者が多いのですが、そのほとんどが精神疾患による長期入院によるものです
「精神疾患の患者を病院に閉じ込め薬漬けにしている」と批判される実態はあるものの、代替する手段がそう簡単に実現するものではないのであり、家族が犠牲になるのを防ぐという側面も強制入院の措置は必要でしょう
記事では、第三者はよく「入院させろ」「警察に通報しろ」という。だが、事件にいたるプロセスを見ると、そんな簡単なことではないことがわかると書いてありますが、それでも決断しなければ家族は守れません。どうにもならないのに、どうにかしなければと思い、抱え込んでしまう方が問題だと自分は思います

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