チア練習で下半身不随 高校に賠償求め提訴
高校のチアリーディングの全国強豪校(私立)で、練習中に怪我をし下半身不随となった元女子生徒が、高校に対し1億8千万円の賠償を求める裁判が始まったと報じられています
公立高校なら管理責任者である自治体を相手にするわけですが、私立高校の場合は学校法人が相手方になります
記事を読む限り、学校側は自らの責任を限定的に捉え、過失割合は3割だと主張しています(つまり、本人の過失責任が7割)
これはいかに何でも無茶な言い逃れでしょう
チア練習中に下半身不随 元部員が賠償請求、高校側は棄却求める
岡崎城西高校(愛知県岡崎市)のチアリーディング部の練習中に下半身不随の大けがをしたのは、安全対策が不十分なまま、習熟度に見合わない危険性の高い練習をさせられたためとして、元女子部員(18)が同校を運営する学校法人を相手取り、将来にわたる介護費など約1億8300万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が21日、名古屋地裁(佐野信裁判長)であり、学校側は「元女子部員や保護者も本件危険の予知や回避が不十分で、責任がある」として請求棄却を求めた。
学校側は答弁書で安全配慮義務の怠りは認めたものの、「当時15歳であるから、ある程度の危険が存在することの予見は可能」として元女子部員の責任も指摘。保護者も含め「危険を検討し、必要ならば学校に安全対策を求める行動が求められる」としている。
また課外活動である部活は強制参加ではなく、「生徒の自主的活動」として「学校側は顧問やコーチを置いて援助するが、正規の教育課程よりは副次的なものにとどまる」と主張し、過失割合は3割が相当とした。
訴状によると、元女子部員は入部4カ月目で、顧問ら監督者不在中に補助者のないまま先輩に持ち上げられて高所から前方宙返りの練習をして事故に遭い、「(学校法人側が)生徒を保護する注意義務を怠った」と主張している。
第三者も交えた学校側作成の事故調査報告書では、監督者不在や補助者無しでの危険な練習が常態化していたと認定。「責任者不在状態のもと、安全指導が徹底されず練習をしていた」と指摘している。
◇両親「学校側は私たちに向き合って」
岡崎城西高校(愛知県岡崎市)のチアリーディング部の練習中に大けがをし、下半身不随になった元女子部員(18)の両親が毎日新聞の取材に応じ、「日ごろから危険な状態が放置されてきた結果の事故。なぜ対策が取られなかったのか、学校側は私たちに向き合ってほしい」と涙を浮かべて訴えた。
活発だった元女子部員は小学生の時からチアダンスを始め、アクロバティックな技が加わるチアリーディング部にあこがれ、2018年4月に同校に入学した。同校のチアリーディング部は全国大会の出場経験もある強豪校だった。
練習はほぼ毎日あり、朝練、昼練、夕練と続く。父親(55)は「帰宅は午後9時を過ぎることもあり、毎日疲れている様子だった」と語る。同部では、当時部員だった姉(19)も事故の数カ月前に脳しんとうで救急搬送されるなど事故を起こしていたという。練習では指導者不在の時間も多く、練習メニューは先輩が作っていた。母親(48)は「先輩が『やるよ』と言えば従わざるを得ない状況だったのだろう」と話す。
元女子部員は突然の事故でふさぎ込み、「何もしたくない」と将来を悲観していたころもあったが、今は車椅子でも通える大学に進学し、心理学を学んでいる。片道1時間、高速道路を使って送迎する母親は「娘は神経を痛めたため体調を崩しやすく、送った後も毎日心配」と語る。
母親によると、元女子部員は下肢が動かず感覚がないが、ストレッチをしたり、装具をつけて立つ練習をしたりするなど筋力維持に努めているという。学校側が争う姿勢を見せていることについて、母親は「私たちの責任も追及され納得できないし残念な気持ち。二度と事故が起きないように、再発防止策は徹底してほしい」と訴える。
(毎日新聞の記事から引用)
学校の部活動であり、しかもチアリーディングの全国大会出場もあるのですから、学校がそれなりに力を入れていたはずです
顧問が不在でも朝練などするのが常態化していたのですから、事実上は安全管理を怠ったままだと解釈できます。そこで重傷を負う事態となったのですから学校側の過失は3割、などという主張は通用しないでしょう
ただ、学校(幼稚園から高校、専修学校まで)での授業や部活動で怪我をした場合は、独立行政法人日本スポーツ振興センターが給付金を支払う仕組みが日本にはあります。この件の場合はどうだったのか、記事では触れていないのでよくわかりません
入院費用など当座の医療費はスポーツ振興センターの給付金で賄ったのかもしれません。ただ、退院した後も日常生活の支援が必要な状態なので損害賠償請求に踏み切った、とも考えられますし、怪我をして以降に責任の所在を巡って学校側と意見の相違、対立が続いていたとも考えられます
ただ、練習の場にいた上級生に損害賠償はしないのか、気になるところです。上級生には監督責任や安全に配慮する法的な義務はないとしても、先輩面して練習を仕切っていたのは事実であり、道義的責任があるのでは?
下級生に怪我をさせても、「自分たちは高校生だから責任はない」とする考えには賛成できません。上級生として練習を仕切っていたからには、下級生が怪我をしないよう最低限の配慮はするべきであり、何ら責任は負わないでよいと無罪放免にするのは間違っていると思います
高額の賠償金を負担しろとは言いませんが、見舞金くらいは出すのが道理では?
上級生たちも高校卒業後は社会人になるわけで、職場での事故を防ぐ必要性について今のうちから学んでおくのは有益でしょう
また、ラグビーやサッカーなど怪我をする可能性のある部活をこどもが選択した場合、保険に加入しておくことも考慮してほしいものです
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