公園遊具に接着剤まいた高校生5人逮捕
先日は岐阜市でホームレスの老人を襲撃し、死亡させた元少年2人の判決を取り上げました。当人たちは悪戯だと称していますが、どこから見ても殺人です。傷害致死罪という扱いでしたので懲役5年と4年という、あまりに軽い判決だったのは残念です(弁護人は実刑ではなく、執行猶予付きの判決を求めていました。人の命を奪っておいて執行猶予付き判決はありえないでしょう)
少年たちにとっては悪戯であっても、十分に反社会的行為であり、犯罪として扱うべき事件が繰り返されるのは、犯罪という実感が乏しい(善悪の判断がつかないのではなく、犯行の重大さを認識できるだけの知識、社会経験が乏しい)ことに起因します
成人式の会場で飲酒したり、車を暴走させたり、式典そのものぶち壊しても、それは友達や後輩に自慢するための武勇伝という認識しか持ち合わせておらず、犯罪として処罰される展開までは想像していないのです。せいぜい、警察に呼ばれて怒られる程度、くらいの理解でしょう
さて、前置きが長くなりました
稲城市の高校生5人が公園の遊具や水飲み場に木工用接着剤をまいた容疑で逮捕された、と報じられていますので取り上げます
東京都稲城市の公園の滑り台などに木工用接着剤を付着させて使用できなくしたとして、警視庁少年事件課は7日までに、建造物損壊と器物損壊の疑いで、いずれも同市に住む高校2年の16歳の少年3人と、高校3年の17歳の少年2人を逮捕した。同課によると「接着剤をまき散らしたら面白いと思った」と供述している。
同課によると、公園周辺の防犯カメラの映像などから5人が浮上した。昨年8~10月に川崎市内の二つの公園でも同様の事件があり、同課は少年らが関与したとみて調べている。
5人の逮捕容疑は3月7日午前2時40分ごろ、稲城市の吉方公園の遊具やトイレに接着剤を付けた疑い。接着剤は公園から約700メートル離れた建築現場から盗んだという。
(共同通信の記事から引用)
16歳から17歳の高校生であり、自分たちの行為が犯罪であると認識できないはずはありません。それでもウケ狙いの悪戯、という程度の認識なのでしょう。これは少年事件の処分経過がメディアによって詳細に報道されない事情があるため、ともいえます
まず、彼らの行為は建築現場から接着剤を盗み出しているため窃盗罪に問われます。そして建造物損壊と器物損壊です。警察に呼ばれて叱られて済む話ではなく、逮捕されており、逮捕状で48時間勾留されます(警察の留置場に留め置かれます)。5人の供述を突き合わせる必要があり、余罪についても調べる必要があるので裁判所に10日間の勾留を請求することになるでしょう。つまり自宅には帰れませんし、高校へも通学できません
余罪の調べが終わらないと更に10日間の勾留延長となりますが、そこは少年なので扱いは微妙です
事件と身柄は家庭裁判所に送られ、そこで家庭裁判所は観護措置決定を下すと考えられますので、5人は少年鑑別所に収容されます。観護措置は2週間であり、延長されて4週間以内に家庭裁判所で少年審判を受けることになります。なので、GW明けまで身柄が拘束され、高校の方は欠席が続きます。この程度の事件で退学処分にはならないとは思いますが、傷害事件や恐喝事件など悪質な犯行なら高校は退学処分でしょう。悪戯だったと弁解したところで通用しません。もちろん、この事件を理由に学校が停学処分を下したりすれば、出席日数不足で留年もあり得ます
身柄が拘束されている間に、親に頼んで被害額(器物の清掃、補修代、盗んだ接着剤の代金)を市役所等に支払う必要がありますが、5人の共犯だから5等分で話がまとまるかは微妙です。こうした事件では往々に被害額の弁済を拒む親が出てきます。5等分ではなく、主犯格が多く支払うべきだとゴネたり
少年審判の日までに余罪分も含めて被害弁済を終えたなら、5人は保護観察処分で済むものと思われます(少年院に送致するほどの事案ではありません)
本人たちはウケ狙いの悪戯であっても、社会はそう受け取らないのであり、責任も5分の1という扱いにはならないのだと理解する必要があります。これがもし強姦事件なら、5人とも少年院送致です
追記:公園遊具等の補修には約134万円かかる見込みであり、稲城市は少年たちに請求する考えだとか
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