富山交番襲撃犯 無期懲役判決

富山県の交番で警察官を刺殺して拳銃を奪い、さらに小学校の警備員を射殺した島津慧大被告の判決公判があり、富山地裁は無期懲役を言い渡しています。警察・検察は警察官を殺害して拳銃を奪い、さらに民間人を射殺(島津被告は小学校の警備員を警察官と誤認)した犯行を、社会秩序への重大な脅威であるとして死刑を求刑していました
が、島津被告に自閉症スペクトラム障害があって、犯行はその影響を考慮せざるを得ないのであり、さすがに死刑判決は下せなかったと思われます


3年前、富山市の交番で警察官を殺害して拳銃を奪ったうえ近くにいた警備員を殺害したとして、強盗殺人や殺人などの罪に問われ死刑を求刑されていた元自衛官に対し、富山地方裁判所は無期懲役の判決を言い渡しました。
元自衛官の島津慧大被告(24)は平成30年6月、富山市の交番で当時、警部補だった稲泉健一さん(46)をナイフで刺して殺害して拳銃を奪ったうえ、近くの小学校の校門前にいた警備員の中村信一さん(68)をその拳銃で撃って殺害したとして強盗殺人や殺人などの罪に問われました。
判決の言い渡しは5日午前11時すぎから始まり、富山地方裁判所の大村泰平裁判長は冒頭で島津被告に無期懲役の判決を言い渡しました。
ことし1月から始まった裁判員裁判では検察が「ほかに類を見ないほど凶悪非道な犯行だ」として、死刑を求刑したのに対し、弁護側は「警察官が倒れたあとに拳銃をとる意思が生まれた。強盗殺人ではなく殺人と窃盗の罪にあたる」などとして無期懲役が妥当だと主張していました。
裁判長は5日の判決の言い渡しの中で、強盗殺人罪が成立するかどうかについて稲泉さんを殺害したあとに拳銃を奪おうと考えたという事実が排除できず、殺害前に、拳銃を奪うことにどこまで意識があったかは疑問が残るとしました。
車いすに乗り、白いマスクに黒いスーツ、黒っぽいメガネで髪を後ろに結んだ島津被告は主文が言い渡しを終始動揺するような様子もなく聞いていました。
(NHKの記事から引用)


大村裁判長は判決理由で、被告が逮捕後の取り調べで交番襲撃を「武器を奪う目的もあった」などと述べたことについて「供述が揺れており、内心を表現したものか疑問」とし、強盗殺人でなく警察官への殺人と窃盗罪に当たるとした。
また、被告の自閉症スペクトラム障害を「動機の形成に影響があった」と指摘。「計画性が高いとはいえず、死刑がやむを得ないとはいえない」とした。
(産経新聞の記事から引用)


捜査段階での供述調書は、まともに話をしようとしない島津被告相手に警察と検察が苦心して作り上げたものなのでしょう。しかし、裁判官はこの供述調書に疑いを抱いた旨をわざわざ判決の中で表明しています。これは警察・検察にとって痛い指摘です。供述調書の中身が誘導あるいは取調担当者による作文の可能性がある、と言われたのですから
もちろん、被害者遺族はこの判決に不満であり、納得できないものと推測します
しかし、犯行前から島津被告の精神的に不安定で、統制の取れない行動を繰り返していた事実があり、凶悪な犯行ではあるものの死刑を回避して無期懲役にするのは妥当な判決だと思います

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