新潟女児殺害事件15 控訴審の行方

2018年5月、新潟市で下校途中の小学2年の女児=当時(7歳)が殺害された事件で、一審新潟地裁は無期懲役の判決を下したのですが、弁護側は殺人ではなく傷害致死でありわいせつ行為はしていないとして控訴しています。また、新潟地検は無期懲役とした判決を不服として控訴しています。つまり死刑判決を求めるとの主張です
一審新潟地裁の判決では小林被告のわいせつ行為があったと認め、「弱者を狙った無差別的な犯行で悪質」とは指摘したものの、犯行には計画性がなく、殺害方法も特に残虐ではないとして死刑を回避していました
また、例によって永山基準にのっとり、被害者が1人の場合は死刑を回避するべし、という縛りもあったのでしょう
しかし、永山基準は1983年に最高裁が示したものであり、見直してしかるべきものと考えます。それにこの永山基準は、世間の同情を集めていた永山則夫に対し死刑を言い渡すために最高裁がひねり出した方便です。かくかくしかじかの厳格な基準に照らして判断しても、永山則夫に死刑を言い渡すしかないと世間を納得させるため、用意されたものと考えた方がよいものです
さて、控訴審では遺体の解剖をした医師が、「殺害方法も特に残虐ではない」と判断した一審を批判し、殺意を持って3分から4分、首を絞め続けたとの所見を語っています


新潟市西区で小学2年生の女の子を殺害した罪などに問われている男の控訴審です。3月1日、検察側の証人として遺体を解剖した医師がリモートで出廷し、1審判決について「法医学的に間違っている」と主張しました。
新潟市西区の元会社員・小林遼被告(26)は2018年5月、下校中の小学2年生の女の子を連れ去り殺害。遺体を線路に遺棄した罪などに問われています。
1審で新潟地裁は小林被告に無期懲役の判決を言い渡しましたが、検察側、弁護側双方が判決を不服として控訴しました。
控訴審の初公判で、検察側は改めて死刑を求める一方、弁護側は殺意や生前のわいせつ行為はなかったとして有期刑が妥当としています。
3月1日の公判では小林被告はスーツ姿で出廷。検察側の証人として遺体を解剖した医師がリモートで出廷しました。
医師は1審の判決について「法医学的に間違っている」と主張。首を圧迫した時間について「少なくとも3分、あるいは4分程度圧迫があったと考えられる」と証言しました。
次回の公判は4月30日に開かれます。
(TeNYテレビの記事から引用)


記事の書き方が悪いので、何が争点なのか上記の記事だけでは分からない方が多いと思います
一審判決では小林被告の殺意を認めていますが、首を絞めた動機は「気絶させようとした」とする被告の主張に沿うもので、当初から被害児を殺害しようという計画性によるものではなかった、と判断してるのです
なので、医師は気絶させようとするような絞め方ではなく、確実に殺すつもりで首を絞め続けた、と証言し一審判断の誤りを指摘しているのです
ちなみに小林被告は殺害後の遺体を線路上に放置し、列車に轢かせています。これは被害者が列車に轢かれて死亡したと偽装する狙いもあれば、わいせつ行為の痕跡を隠す意図もあったのでしょう(絞殺後、屍姦したというのが解剖初見です)。さらに列車に轢かれてズタボロになった遺体と対面した両親が、どれだけの衝撃を受けたことか?
被害児を2度殺したも同じであり、これを残虐と言わずにはいられません
「既に死んでいるのだから、遺体を煮ても焼いても、屍姦してもバラバラにしても残虐とは言えない」などと口にする輩がいたら小一時間くらい説教してやりたくなります
ただ、最近の裁判の風潮からして、一審の裁判員裁判で死刑判決を下しても二審の高裁でひっくり返し無期懲役にするのが常態化しています。裁判員裁判で死刑判決が増え、従来の量刑基準が損なわれていると最高裁が判断しているためでしょう。この事件は一審が無期懲役の判決なので、二審で死刑にする可能性は限りなく低い、と思います

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