日韓海底トンネルを蒸し返す韓国 協力の起爆剤?

日韓関係が危険な状態にある中で、韓国の野党政治家が「いまこそ、日韓海底トンネルを推進すべきだ」とぶち上げ、議論になっています
日本ではまったく報道されていないのですが、日韓海底トンネル建設をきっかけに、日本との経済協力関係を再構築しようとの狙いがあるのでしょう
これまでにも指摘したように、韓国ではなぜか「日本は大陸から切り離されて孤立している。だから日本は韓半島とつながる海底トンネルを切望している」説が主張され、我々日本人が日韓海底トンネルに賛同している扱いです
およそ、見識のある日本人であれば日韓海底トンネルなど無謀なプロジェクトであり、維持するための莫大なコストを考慮すれば航路や空路で十分との認識を持つでしょう
韓国では「欧州まで鉄道で一つにつながる」メリットをしきりに強調するのですが、欧州まで鉄道で旅行しようという人間が大勢いるはずもないのであり、速さでなら航空機を利用するはずですし、大量輸送なら船を利用します
まずは韓国野党の「日韓トンネル」推進論を引用し、その後に「日韓トンネルを推進しようとする者は、日本の利益に迎合する裏切り者」と批判する主張の記事を貼ります


野党「国民の力」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長が3日、釜山(プサン)公約のひとつである「韓日海底トンネル」の親日議論について、「だれがそんな話をしたのか。海底トンネルと親日は関係がない」と反論した。
その上で「韓国の経済力は日本に対抗して十分な余力がある」と強調した。
金委員長はこの日午前に国会で開かれた非常対策委員会後に記者らと会い、「過去に韓国が日本を相手に経済力が弱かった時に日本に蚕食された、そんな話をした。日本は韓国の目的のために利用できるという考えをすべき」と説明した。
韓日海底トンネルをめぐっては1日に金委員長が釜山を訪問し、釜山の加徳島(カドクト)と日本の九州をつなぐ海底トンネル建設を積極的に検討すると明らかにして議論がふくらんだ。
金委員長は韓日海底トンネル事業に対し、「日本よりはるかに少ない財政負担で生産付加効果54兆5000億ウォン、雇用誘発効果45万人に達する途轍もない経済効果が期待される事業」と説明した。
これに対し金委員長は「例えば加徳島空港を作ったとして、空港が長期的に経済性を維持するならば物と人が集まる方法を探さなければならない。そのために海底トンネルの話をしたもの」と説明した。
(中央日報日本語版の記事から引用)


国民の力、キム・ジョンイン非常対策委員長が最近、建設を積極的に検討するといった韓日海底トンネルは「大陸進出を熱望する日本の長年の夢」という主張が提起されました。
歴史学者チョン・ウヨン氏は今日(3日)、 TBS 「キム・オジュンのニュース工場」に出演して「満州の地を訪れることが韓国人の数千年にわたるロマンならば、日本は国家建設直後から韓半島とつなぐことがロマンだった。海底トンネルが技術的に可能だから、南北関係がうまく解決すれば、日本人はすぐにヨーロッパまで進出できると考えた。」と説明しました。
それと共に「歴史的経験で韓国人は数千年間、日本を防ぐことに気を遣ってきたし、日本人は韓半島に入ってくることに関心を傾けた。植民地期にこの日本の見方が内面化され、日本と連結することが必要と考える韓国人が一部に生じた」と主張しました。
また「釜山港は日本と修好通商条約を締結しながら発展したが、港の特性上陸路の終わりなので大きな利益が得られた。韓日海底トンネルを通過させてしまえば釜山港自体は産業生態系を全部変えねばならない大問題ができることになる」として釜山市民の立場では該当公約が失業問題とすぐに連結されると指摘しました。
(韓国TBSの記事から引用)

韓国野党はトンネル建設による経済効果、雇用拡大を宣伝しています。しかし、トンネルが実現すれば釜山港は国際コンテナターミナルの地位を失うのであり、韓進海運の倒産でダメージを受けた釜山港に活気を取り戻すのは難しいと考えられます。まあ、日韓海底トンネルは実現しないので余計な心配ですが
ともかく韓国人の気質である「計画したら実現したも同然」という思慮の浅さにより、海底トンネルの掘削の困難さや莫大な維持費が必要なことはまったく頭にないのが分かります。トンネルを掘削する大型シールドマシンを製造できるのは日本だけであり、韓国は長大な海底トンネルの工事を請け負った実績はありません。それでもなぜか、韓国の優れた土木技術なら日韓海底トンネルは可能、という論調になっています
そして上述したように、「日本は日韓海底トンネルが欲しくてたまらないのだ。韓国が提案したらすぐに乗ってくる」と思い込んでいるのですから始末が悪いのです
日本の公共工事の鉄則として、トンネル建設費はトンネルの利用料金で賄う仕組みですから、どうしてもトンネル利用料は高額なものになります
これにトンネルの維持管理費を加えれば、さらに高額な料金設定になるのです。さらには建設費の分担をどうするのかで、揉めるのは必然であり、折り合いはつかないでしょう。韓国側には日本が韓国への謝罪・賠償の意味で建設費の大部分を負担すべきとの意見があり、折半などありえないとする雰囲気です
ですから、「計画したら実現したも同然」などと楽観視するのは大間違いであり、決して着工などありえない絵空事と断言しておきます

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