「華麗なるギャツビー」のアニメ化

2015年、江戸川乱歩生誕50年という契機にテレビアニメ「乱歩奇譚」という企画がありましたが、残念ながら企画倒れというか、つまらない作品でした。制作費もそれ相応にはずみ、話題作になる予定だったろうとは思いますが
結局のところ企画を具体化する人間の能力に左右されるのであり、50周年記念とか生誕100年記念という節目を飾るにふさわしい作品になるかどうかは博打みたいなものです
さて、海の向こうからスコット・フィッツジェラルドの小説「華麗なるギャツビー」を劇場版アニメーションでやる、との話が伝えられているので取り上げます


「華麗なるギャツビー」がオスカー受賞監督によりアニメ映画化へ
F・スコット・フィッツジェラルド著の「華麗なるギャツビー」(「グレート・ギャツビー」)が、アニメ映画化されるという。製作会社「DNEG」の長編アニメ部門がツイッターと公式HPで発表した。
2012年に『The Fantastic Flying Books of Mr. Morris Lessmore』(原題)でアカデミー短編アニメ賞を受賞したウィリアム・ジョイスがメガホンを取るという。ジョイスは「これまでに映画化された作品は、実写であるゆえの制約がありました。革新的なアニメなら捉えどころのない特色を実現が可能です」と自信を見せている。
製作陣には、ジョイスの長年の友人だというイラストレーター&作家のブライアン・セルズニックも名を連ねる。「ウィリアム・ジョイスが構想する豊かなおとぎの国は、フィッツジェラルドの書いたきらめく散文の世界に見事にマッチすることでしょう。このユニークなシネマ体験を実現させる手伝いができることに興奮しています」とコメント。
「華麗なるギャツビー」はこれまで何度も映像化されてきたが、今年に入って新たな映像化ラッシュが進んでいる。理由の一つとして挙げられるのは、1925年に出版された「華麗なるギャツビー」は、今年1月1日に米国で著作権保護期間が終了したため。先月も「実写ドラマ化」企画が進んでいることが報じられたが、こちらはフィッツジェラルドのひ孫がコンサルティング・プロデューサーとして参加する、リミテッドシリーズだ。
(シネマ・カフェの記事から引用)

ウィリアム・ジョイスがどのような人物であるか知らないので、記事にあるアカデミー賞短編アニメ賞受賞作を紹介しておきます

The Fantastic Flying Books of Mr. Morris Lessmore


記事にもあるように「華麗なるギャツビー」は何度も映画化されています。最近では2013年のレオナルド・ディカプリオ主演で映画化されています。見せ場であるギャツビー邸の豪華な造り、内装や調度品など、アメリカ人の描く成功者の姿を反映しており、視聴者にウケるのでしょう(日本人にとっては成金趣味すぎて辟易としますが)
さて、どのようなアニメーション作品になるのでしょうか?
絢爛豪華なギャツビー邸をCGでこれでもか、と描くのではなく、ギャツビーの孤独な内面を描く作品になるのではないか、と予想します
それにしてもフィッツジェラルドの作品をアニメーションでやろうという企画には驚かされます
先日は村上春樹の小説「納屋を焼く」を映画化した「バーニング」を取り上げ、小説を映画化する上での話法に問題があると書きました
既存の映画の作り方では村上春樹の作品世界を表現できない、と考えたからです
だとしても、「納屋を焼く」とか「ノルウェイの森」をアニメーションでやれとは安易に言えません。ギリギリ、「海辺のカフカ」なら実写ではなくアニメーションの方が適しているかな、とは思いますが

デカプリオ主演 「グレート・ギャツビー」


劇場版アニメ「華麗なるギャツビー」が興行的に成功するのは難しいのかもしれませんが、アニメーションの可能性を広げる企画として注目しましょう。もし、成功するなら次はサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を劇場版アニメーションでやってもらいたいもので。新海誠監督で

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