原宿自動車暴走事件 日下部被告の被害妄想とは?
2019年1月1日、無差別殺害事件を起こす目的で軽自動車を運転し、原宿竹下通り(当時、交通規制による自動車の通行は禁止されていた)を走行して歩行者を次々にはね、8人に重軽傷を負わせた日下部被告の裁判が続いています
初公判で8人のうち5人については「殺意はなかった」と主張し、「犯行時、被告は統合失調症の影響で心神喪失状態だった」と弁護人は無罪を主張しています
車にはねられた被害者は日下部被告に殺意があろうとなかろうと殺されかけたわけであり、それは日下部被告が統合失調症であろうとなかろうと関係ありません
さて、「FRIDAY」が日下部被告の被害妄想について記事を掲載していますので取り上げます
原宿暴走テロ 21歳男子を無差別殺人に向かわせた深刻な被害妄想
検察側冒頭陳述によると、死刑制度反対の思想を持っていた日下部被告は、死刑制度そのものや、それを支持する国民を狙い大量殺人を企てるなかで「大勢の人がいる明治神宮で無差別殺人を行おう」と考えるようになったという。
そんななか、2018年7月、地下鉄サリン事件などで死刑が確定していたオウム真理教の元代表や幹部らの死刑が執行される。これにより日下部被告は「ますます死刑制度を支持する国民が許せないと思う気持ちになった」という。
(中略)
対する弁護側冒頭陳述では日下部被告の生い立ちや、彼が高校の頃から被害妄想に苦しんでいたことが明らかになった。小学生から中学2年生までの被告は、スポーツ万能で学校の成績もよかったが、その頃仕事がうまくいかなくなった父親がアルコールに溺れたことで、家庭環境が悪化する。家の中で暴力もふるわれ、成績にも影響した。そして高校に入学後「毎日のように嫌がらせやいじめをうけるようになった」というが、これは被告の被害妄想だったのだという。
「学校で臭いと言われる。ネットで『日下部・枚方・臭い』と検索すると、いっぱい自分のことが書いてある」
こう被告に訴えられた母親は、ネットで検索してみたが、そうした記述は確認できない。
「そんなことないよ、あんま気にせんとき」
母親は励ましたが、被告は徐々に家に閉じこもるようになっていったという。高校卒業後に一浪して東京の専門学校に入学したものの「すれ違いざまに『なにその顔、うざい』『臭い』と言われる」などの妄想に悩まされ数ヵ月で退学。地元に戻り大学を受験し直した。2018年、大阪の大学に進学したが、その頃には「死刑は無力化されたひとりの人間の命を奪うもので許せない。支持している国民も許せない」という思いにとらわれていたという。そして事件を起こした。
「周りの誰もが被告人の病気に気がついていなかった。まさか病気だとも思いもしなかった。被告人自身も、もちろんわかっていませんでした」(弁護側冒頭陳述より)
日下部被告の父親は不動産業を営んでいたようですがアルコール依存症であり、家庭は惨憺たる状況だったと思われます。そのため日下部被告の精神的な変調が見過ごされてしまったのかもしれません。本来なら高校生のうちに精神科を受診し、治療を受けた方がよかったのでしょう
東京の専門学校に通うため、一人暮らしを始めたことも妄想がさらに進む要因になったと思われます
前回も書いたように日下部被告の死刑廃止論→大量殺人という論理がどのようなものか、まったく分かりません
おそらく法廷でも日下部被告が死刑廃止論に絡む犯行の動機を述べる機会はないのではないか、と思います(被告人にとって必ずしも利益にならないので弁護人が止めるでしょう)
現時点で日下部被告は自分の犯行を反省してなどおらず、死刑廃止論を世に問うための正当な行為であると確信しているのでは?
なので、無罪判決を言い渡すのは彼の屁理屈を肯定してしまう結果になりかねません。処罰できなかった=無罪=自分の行動は正しいと裁判所が認めた、という流れで
ならばこの先も、機会を見て大量無差別殺人を繰り返す危険があります
もちろん、刑事責任能力がないとして裁判所が無罪を言い渡してもそのまま放免とはならず、都道府県知事に措置入院(精神保健福祉法29条に定める)を申請し精神病院に強制入院させる展開になるわけですが
ただ、強制入院は無期懲役ではありませんので、病状が好転したら措置解除によって退院させます。退院後、日下部被告が再び無差別殺人を企むことはないとは、誰も断言できません。精神科医とてそんな保証はできないのです
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