「えんとつ町のプペル」はディズニー越えたと宣伝する芸人

映画を見てそれぞれ人が感動したり、感心したりする理由があります。なぜ心が動かされたのかを言語化して表現するのを批評と呼びます。あるいは心が動かされなかった理由を説明する行為も批評でしょう
西野亮廣原作の絵本をアニメーションにした映画「えんとつ町のプペル」は月曜日の興行収入成績によれば、20億円を突破するヒットになっています。十分、成功したといえます
ただ、作品自体の評価とは別に、彼の芸人仲間がどうにも下手な宣伝トークをしているところが気になります
作品を持ち上げ、褒めているつもりなのでしょうが、まったく批評になっていないのが残念です


『プペル』はディズニー超え? 芸能人の“他作品ディス”に批判「やり方が下品」
2月6日、お笑いコンビ『ロンドンブーツ1号2号』のYouTubeチャンネルに、メディアクリエイターの西野亮廣氏が出演。西野氏のアニメ映画『えんとつ町のプペル』についてトークしたところ、一部で疑問の声があがってしまったようだ。
動画に出演したのは、『ロンブー』の田村淳と西野氏。淳は開口一番、「プぺル見に行きましたよ。4回泣いたかな」と大絶賛する。そして「(映画は)西野そのものだよね。俺、ガシガシ刺さった。西野と思考が似てるのかな」と、西野氏と同じような境遇だからこそ、自身に映画が響いたのではないかと推測した。
さらに、西野氏が日ごろから掲げている「ディズニーを超える」という言葉を持ち出して、「当然、ディズニーと比べたら向こうの方が作品の数とか多いけど、映画っていうところだと並んだ」「俺、ディズニーの映画よりもプペルの方が泣いた回数多いからね」とディズニー超えに太鼓判を押す。
その後、淳は「俺トイストーリーで泣いたことないもん」と続けたが、さすがに言い過ぎたと思ったのか、「なんで俺わざわざディズニーを敵に回さなきゃいけないんだ」とセルフツッコミを入れていた。
しかし淳の予想通り、プペルと比較してディズニーを落としたことに対して、ネット上では
《何かを評価する時に違うモノと比較しなきゃ評価出来ないのはなぁ》
《プペル絶賛してる奴が、どいつもこいつも揃って鬼滅やディズニーをディスるのはなんなんだろうな。別に面白かったなら面白いって感想で良いけど他を下げる意味が分からん》
《そんなに良けりゃただただ褒めりゃ良いのに、必ず他を引き合いに出して貶めてから褒めるのはなんなの》
《なぜいちいち他をsageて褒めるのか》
《他を下げるのは下品だし、ディズニーファンをなめてる》
《物を褒めるときに他の物を下げるのやめなよ子どもかよ》
と苦言が相次いでいる。
他作品との比較と言えば、『オリエンタルラジオ』中田敦彦も『プペル』を褒める時に、『鬼滅の刃』や『ポケットモンスター』よりも面白かったと絶賛していた。


「4回泣いた」とか「ガシガシ刺さった」というのは批評ではありません
そもそも小学生や幼稚園児向けである劇場版アニメーションを見て、「4回泣いた」と口にしている時点でアレでしょう
どこの場面の描写、表現、台詞に心を動かされたかを言語化してこそ、批評です
もしディズニー作品と比較した上で語りたいのであれば、どの作品のどの部分と比べた上での評価なのか、明確にする必要があります
「トイ・ストーリー」の名前を挙げてはいますが、シリーズの何作目と比較しているのか分かりません
こうしたベタな持ち上げトークをしたところで、「田村淳が激賞してるんだから、観に行かなくては」と思う人が何人いるのか
おそらくは芸人仲間である西野を持ち上げることで、「オレら芸人は凄い才能の持ち主なんだぜ」とアピールしたいのかもしれませんし、ビジネスの成功を誇って吉本興行に勝った気分に浸りたいのでしょう
低年齢児童向け作品である「プベル」は自分の興味の対象外なので、観に行くつもりはありません。素晴らしい出来栄えであるなら、それはそれで日本の映像コンテンツにまた1つ、良好な作品が加わったのであり、目出度い話です
スタジオジブリや京都アニメーションでなくとも、質の高い劇場版アニメーションを作れると示したのですから
さて、前回この「えんとつ町のプペル」を取り上げた際、「毒にも薬にもならないディズニー作品」と書きました。その基本的な認識は変わらないのであり、「毒にも薬にもならない」アニメーション作品をファミリー層に売って儲けるのがディズニーのビジネスモデルだと思っています

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