髪の黒染強要 大阪府立懐風館高校訴訟の結果
大阪府立懐風館高校で生徒の髪が茶色であることを問題視し、黒く染めるよう強要した事件をめぐり、女子生徒が大阪府を相手取って訴訟を提起していました。その判決が出ましたので取り上げます
まずは問題の経緯の振り返りを含めた記事を引用し、それから判決を報じる記事を貼ります
「生徒に黒染め強要」地毛の色で主張対立、司法判断は
「黒染め強要」はあったのか、なかったのか――。生まれつき茶色の髪を黒く染めるよう学校から強要されたとして、大阪府羽曳野市の府立懐風館高校に通っていた女性(21)が、約220万円の慰謝料などを府に求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁で言い渡される。地毛の色や指導の妥当性を巡り、主張は対立。校則や生徒指導のあり方に一石を投じた訴えの行方は。
同校は校則で、髪の染色や脱色を禁じている。女性は2015年春に入学後、髪を黒く染めるよう再三指導され、2年生の2学期から不登校に。弁護士事務所に教員を派遣してもらうなどして授業を受け、18年3月に卒業した。
再三の注意で不登校、席なく名簿も削除
女性側は入学時、生まれつき茶髪で、黒染めを強要しないよう母親が配慮を求めていたと主張。教諭から4日ごとに髪の色を注意され、「黒染めしないなら学校に来る必要がない」などと言われて不登校に追い込まれたとして、「生徒指導の名を借りたいじめだ」と訴えている。
一方、府側は入学前説明会で、頭髪への配慮を求めた生徒はいなかったと指摘。教諭が指導した際、女性の髪の根元が黒かったことを確認しており、地毛は黒だと主張する。校則に反して茶色に染めていたため指導しただけで、違法性はないと反論している。
不登校になった後の対応も焦点だ。女性側は教室に自分の席がなくなり、名簿からも削除されたことで、「筆舌に尽くしがたい精神的苦痛を被った」と主張。府側は「不登校状態が目立たないようにした」と反論したが、府教委は提訴後の記者会見で「不適切だった」と釈明している。
頭髪指導を巡る訴訟は過去にも起きている。熊本県内の公立中で男子生徒を丸刈りとする校則の違法性が争われた訴訟で、熊本地裁(1985年)が「著しく不合理ではない」とした判決が確定。奈良県生駒市立中の女子生徒が黒染めは体罰だとして市に賠償を求めた訴訟では、大阪地裁(11年)が「教育的指導の範囲内」として請求を棄却、最高裁で生徒側敗訴が確定した。
(毎日新聞の記事から引用)
訴訟となった後、大阪府教育委員会は教室から生徒の席を撤去したり、生徒名簿から名前を削除した対応を誤りだと認めています。が、懐風館高校の校長や教師は、自分たちの対応を正当な指導であると言い張ったわけです
おそらくは訴訟の途中で和解を探る動きもあったと思われるのですが、学校の対応に不信感を抱いた元生徒は裁判所による判決を求めたのでしょう
生まれつき茶色の髪を黒く染めるよう学校から強要されたとして、大阪府羽曳野市の府立懐風館高校に通っていた女性(21)が府に約220万円の慰謝料などを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(横田典子裁判長)は16日、府側に33万円の賠償を命じた。
同校は校則で髪の染色や脱色を禁じている。女性側は2015年春の入学後、教諭から4日ごとに髪の色を注意され、不登校に追い込まれたと主張。府側は女性の地毛は黒で、茶色に染めていたのを指導しただけで違法性はないと反論していた。
(毎日新聞の記事から引用)
判決内容は別の報道によると、髪を染めるよう指導した分に違法性はなく、強要とはいえないとの判断です。教室に席を設けず撤去した件と生徒名簿から削除したのは違法だとしています(判決内容に従い、以下の部分を一部書き直しています)
これまでにも書いてきたように、教育行政は市や都府県の行政から独立しているものという扱いになっています
そのため、市長や都府県知事もこれを改めるよう手出しできません。結果として、学校現場や教育委員会の独善的な行動、あやまった教育指導が漫然と繰り返されているわけです
教育行政を一般行政と切り離し、独立させたのは教育現場への政治介入を防ぐためとされます
しかし、現在では弊害の方が大きいのではないでしょうか?
今回の件は大阪府側の敗訴ですが、大阪府の責任ではなくあくまで懐風館高校の校長ら教師の行動や判断に責任があります
生徒指導の範囲を超えた強要行為(裁判所の判断では強要ではないとなっていますが、髪の毛を黒く染めろと再三求めたのですから事実上の強要でしょう。さらに教室からの席を撤去や名簿からの削除は「おまえはもう生徒ではない」と宣言したも同然であり、退学事由に該当しないのに退学扱いしたも同然です)によって生徒を不登校に追い込んだとして、懐風館高校の校長らを懲戒処分すべきですが、大阪府教育委員会にはできるのでしょうか?
身内である教師をかばって処分はしないと思われます
こんな教育委員会制度による教育行政の独立など止めてしまうべきです
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