少年誘拐ホルマリン漬け事件(昭和32年)
外国の報道で驚くような猟奇殺人事件が伝えられたりします。日本ではちょっと考えられないようなドロドロ、ギトギトした事件です
しかし、日本でも猟奇殺人事件が発生していないわけではありません
神戸連続児童殺傷事件や島根女子大生殺害事件、あるいは座間9人殺害事件など、日本で起きた異常な殺人事件といえます
今日は古い話で恐縮ですが、昭和32年に起きた少年誘拐ホルマリン漬け事件を取り上げます
異常な誘拐殺人事件であり、不快な思いをされる方もいると思います。繊細な方は読まずにページを閉じてください。
この事件について言及したサイトが、インターネット上にいくつもあります。その1つを紹介しておきます
断片の昭和史(10) 少年誘拐殺人・肉片ホルマリン漬事件
上記のサイトを補完する形で書かせてもらいます
事件は昭和32年、家庭に風呂がなく銭湯利用が一般的だった頃の話です
銭湯で知り合った美少年に見惚れた犯人が言葉巧みに自宅へ誘い込み、殺害した上で遺体を切断し、金魚鉢や水槽にホルマリン漬けにして保管していたのが発見された、というものです
犯人である林邦太郎(当時26歳)は少年が銭湯やそろばん塾に通うところを待ち伏せし、わいせつな行為をしたり抵抗すれば殴りつけることもあったとされます。銭湯で一緒だったのですから、林は少年の裸身に惚れ込んだのでしょう。12歳の少年は林の要求に従わざるを得ない心理状態にあったと考えられます(少年は林から執拗に住所を尋ねられ、教えてしまっています)
林邦太郎は囲碁棋士の長男として生まれ、明治大学商学部を卒業していますが、近隣の少年にちょっかいを出してわいせつ行為をしたり、猫を解体して食べるといった奇行があり、精神病院に入院していた時期があります。犯行時は病院を出て、自宅療養中でした
林は犯行前から自分の思っていること、感じたことを断片的にノートに書き記しており、そこには「理想的な少年を見つけた」「金魚蜂に入ったあの子は、見ても見ても飽きるということがない」、「生きているときよりも、死んだあの子の方がいっそうかわいい」などと書き込まれていました
少年を自宅へ連れ込み殺害した後、林は少年の自宅に身代金を要求する手紙を送りつけています。が、もとより身代金目当ての誘拐ではありませんし、金銭受け取りの場に林は出向いていません
さて、少年は本名、巣山和利(当時中学1年生)です。父親はプロレスラーでしたが両親が離婚し、巣山少年は母親と暮らしていました。おそらくは父親がおらず、寂しさや虚しさを内に抱えていたと思われます。そこに林がつけ込んだのか?
巣山少年を殺害後、ホルマリン漬けにした遺体を床下に隠し、時々取り出してはうっとりと眺めていた林ですが、精神状態が不安定になり再度、精神病院に入院させられます。病院では「少年を殴った」、「鼻血が出た」などと繰り返し主張したため、医師が不審に思い警察に通報します。これにより警察官が林宅へ出向き、床下の遺体を発見して犯行が発覚しました
憶測するしかないのですが、最初から巣山少年を殺害する目的で自宅に連れ込んだのではなく、あんなことやこんなことをするつもりだったのでしょう。しかし、抵抗されたはずみで殺害してしまい、悔いが残ったのかもしれませんし、大事な玩具を壊してしまったかのような罪悪感があったのかもしれません。ただ、その後遺体を解体してホルマリン漬けにしているのであり、何とも不可思議な話です
殺してしまったのは仕方がないとして、遺体を長く手元に置いて鑑賞したかった…と解釈するしかありません
精神鑑定を受けた林ですが、責任能力はあると判定され懲役10年の判決を受けて服役します。それでも懲役10年というのは誘拐殺人事件としてははなはだ軽微な扱いです。精神病の既往歴があることが斟酌された判決ではなかったか、と推察します
服役した林は刑務所内でトラブルを起こすこともなく、刑期を終え出所しています
その後の人生については特に調べていないので不明です
刑務所を出た時点でまだ若いのですから、少年愛の傾向が矯正されたとは考えられません。関心のある方は調べてみてください
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