フィリピン人殺害野崎浩死刑囚 病死
同棲していたフィリピン人女性2人を殺害し、遺体をバラバラにして遺棄したとして死刑が確定していた野崎浩死刑囚(61)が、13日未明、収容先の東京拘置所で病死したと報道されています
腎不全であったものの治療を拒絶していたとの話ですから、覚悟の死だったと思われます
野崎死刑囚は1999年4月、同棲していたフィリピン人のヨネダ・ロンガキット・エルダさん(当時27歳)の首を絞め、殺害したとして埼玉県警に逮捕されたのですが、死体損壊と遺棄は認めたものの殺人は否認。結果、死体損壊・遺棄で起訴され有罪となり服役。刑務所から出所後の2008年、同棲していたフィリピン人のカミオオサワ・ハニーフィット・ラティリアさん(当時22歳)を殺害し、同様に遺体をバラバラにして遺棄し、警視庁に逮捕されました。この時の逮捕で1999年のエルダさん殺害を自供したため、2件の殺人で起訴され死刑判決が確定していました
ただし、裁判で野崎死刑囚は供述をコロコロと変更し、裁判官がブチ切れるという異例の展開でした
その嘘の多さと、供述の一貫性のなさが野崎浩という男を如実に物語っていたように記憶しています
野崎はフィリピン人ホステスのヒモとして生活しており、女性からの愛情が薄れたと邪推して殺害に及んだ、と推認されるのですが、それが本当であるかどうかは分かりません。殺害動機についてはペラペラと無関係な話をし、はぐらかし続けていた、と言うほかないわけで
以下、プロの傍聴人である高橋ユキの傍聴記を参照してください
フィリピン女性バラバラ殺人被告「死刑になるように努力した」控訴の顛末
ヒモ生活でバラバラ殺人と聞けば座間9人殺害事件の白石被告を思い出しますが、安易に2つの事件を結びつけ、「似ている」などと決めつけるのはジャーナリストの犯す間違いの1つです
少年による殺人事件と聞けば「神戸の連続自動殺傷事件と似ている」と口走ったりするように。こうした過ちは先入観でものを見てしまうがゆえであり、事件の本質を読み間違える結果をもたらします
犯罪者ごとに個別の心理検査をいくつか実施すれば、犯行の外見は類似しているように見えても、1人1人性格も資質も大きく異なっているのが通常であり、外見的な特徴で「同じだ」と判断するのは早とちりです
野崎死刑囚の話に戻りましょう
上記の記事にあるように、埼玉県警は最初の事件で殺人罪の立証ができず、遺体の損壊と遺棄だけ(遺体として発見できたのが被害者の歯と毛髪だけであったため)で送検しています
2度めの事件で警視庁は野崎死刑囚の口を割らせ、1999年にエルダさんを殺害し遺体を横浜の運河に遺棄したとの供述を引き出し、2件目のラティリアさん殺害と併せて2件の殺人の立件に漕ぎ着けました
ただ、それは警視庁の手柄とは言い切れません。この時、野崎死刑囚は大腸がんに冒されており、余命幾ばくもないと弱気になっていたのでした。結局、野崎死刑囚は被告として拘置中に大腸がんの手術を受け、死を免れるのですが
後は裁判で供述をコロコロと変遷させ、トンチンカンな主張を展開して裁判官を怒らせ、呆れさせた挙げ句、死刑判決を受けたわけです
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