「涼宮ハルヒの直観」で直観したもの
谷川流の新作「涼宮ハルヒの直観」を読みましたので、取り上げます
楽天ブックスのポイントとクーポンを使い、村上春樹の新作と併せて電子本で購入しました。前作があまりにひどい出来栄えだったので、購読するかどうか迷ったのですが、ここ最近は「涼宮ハルヒ」シリーズを当ブログで取り上げている以上、読まずに放置するわけにはいかないと判斷した結果です
で、期待通りひどい出来栄えでした
書き下ろしである「鶴屋さんからの挑戦状」を読むと、中には推理小説の話がびっしりと詰まっています。してみると、谷川流は休筆している間、内外の推理小説を読みまくっていたのかな、という気がします(谷川流は関西において、推理小説愛好者の間では知られた人物なのだとか。大学時代のミステリー同好会や、書評などで活躍していたのかもしれません。調べていないのでよく分からないまま書いています)
ただ、その推理小説の話が少しも面白くないのであり、読み飛ばしたくなるほどでした
谷川流としては仕入れた推理小説の薀蓄を語って満足なのでしょうが、推理小説に関心のない身としては退屈極まりない展開です
自分としてはこのシリーズを読むのはこれで終わりにしよう、と決めました
ついでにアマゾンのレビューを貼っておきます
残念な内容
短編2編を含む3編が収められているが書き下ろしは「鶴屋さんの挑戦」のみ。『退屈』の 孤島症候群を思わせるミステリで陰の主役は鶴屋さん。アニメ化したらOVA数話だろう。詰まらないというほどではないが、『消失』や『驚愕』のような充実感はなかった。約10年のブランクを埋めるほどの感動もなかったし、まだ解決していないはず(と自分は思っている)の伏線は触れられることすらなかった。作者が小遣い稼ぎに書いたのでは、と疑ってしまう残念な内容だ。
「王道にして最前線」という帯カバーがついているが、今となってはこの手の小説は『青ブタ』シリーズの方が面白いように思う。『ハルヒ』はすっかり後方に退いてしまった。
往年の読者は「あとがき」から、アニメファンは「最後に」から読まれることをお勧めしたいが、そこにはプロの物書きとしての自覚は感じられず、京アニへの想いもどこか他人事のように書いているように感じた。この作者は『ハルヒ』以外の作品も長期間放置状態にしたままだ。デビュー後あれよあれよという間にベストセラー作家になったけれど、精神的には未熟なままなのかもしれない。作者は「またっ」と締めくくっているが、もうこの人の作品を手に取ることはないだろう。
なお、初回生産のみカバーがリバーシブル仕立てになっている。
9年振りという期待感は捨てて読んだほうがいい
どんな不思議が起こるのだろう?
そう期待に胸を弾ませる人も多いと思う。なんせ9年ぶりの新刊。
しかしその勝手な期待感は捨てたほうがいい。きっとこの新刊をよりつまらなくするだろう。
今回、不思議らしい不思議は起こりません。
とりあえず作者が書きたかったものを、ハルヒの名を借りて書いた、そんな感じです。
読者としては本編にかかわる内容を少しでもいいから進めてくれよと思いでしょうが、そうは問屋が卸しません。
進みません。
強いて言えば、鶴屋さん情報が少し補間された程度です。
この残念な思いも、すべては9年という月日のせいでしょう。
これが通常通りのサイクルで発売されていれば「ふーん、前回はがっつりSFだったし、まあこういうのもいいよね」と思えたかもしれません。
すべては「9年」。これにつきます。
でも、楽しみにしてるのは変わらないので、次の巻が早く発売されることを祈ります。
別の書評サイト、「ブックメーター」では好意的な書評が並んでいます。してみると、「この内容でも読み手次第で楽しめる」と解釈するべきなのかもしれません
うーむ
自分は仕事として犯罪に走った人たちとか関わってきた経験があり(殺人犯や精神異常者、性犯罪者もいます)、推理小説を「知的なゲーム」として楽しむという感覚にはどうしても違和感を覚えてしまいます
おそらくライトノベルや推理小説を読む人のほとんどは、殺人事件などテレビの画面の中の出来事であり、自分には縁のない出来事として見ているのでしょう。なので、「本格ミステリーとは云々」の会話を読んでも、犯罪者と接した経験のない人間が何を言っているのか、との思いが先に立ち、しらけるだけです
他方で、米沢穂信の「氷菓」のように殺人事件が絡まない推理物は面白いと感じますが
これまでSFベースだった「涼宮ハルヒ」シリーズが今後は推理小説仕立てになるのかどうかは分かりませんが、見限る時期が来たな、と感じた次第です
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