ディズニー映画「ムーラン」の評判は
あのドナルド・トランプ大統領をして、アメリカの映画業界が中国と結びつきを強めているのはけしからん、と批判するほど、昨今のハリウッドは中国べったりです
中国は国内産映画を振興するため、外国映画の上映本数を厳しく制限しています。ただし、中国資本が資金を出したアメリカ映画は例外扱いされ、中国国内で大々的に上映できるとあって、ハリウッドの映画会社は中国から資金提供を受け、中国人俳優を起用するなどしているわけです
ニューズウィークがディズニー映画「ムーラン」は中国市場で大当たりを狙ったもののコケてしまった、という記事を配信しています
しかし、Wikipediaを見ると、ディズニーが巨額の収入を手にしたと書かれており、判断に迷います。どうなのでしょうか?
中国でも世界でも評判は散々......映画『ムーラン』はなぜコケた?
中国でムーランを知らない人はいない。読み人知らずの漢詩「木蘭辞」に由来するムーランは、現代でも国語教材として子供たちに暗記させているからだ。
中国人のムーランに対するイメージは「孝」だ。体が弱い父親の代わりに男の姿をして戦場に行き、故郷に凱旋した時は朝廷の俸禄を断って、娘の姿に戻り昔のままに生きていく。ムーランの伝説には古代中国の伝統的な美意識が宿っている。
ディズニーが実写版の映画『ムーラン』に2億ドルを投じた理由は言わずとも分かる。中国人にとって千年不朽の伝説であり、中国市場での大儲けが期待できる。しかしその狙いは外れ、9月4日からディズニーの会員向け動画配信サービスで公開したところ、中国でも世界でも評判は散々だ。ムーランを演じた女優・劉亦菲(リウ・イーフェイ)が香港デモで「警察を支持する」と表明したこと、エンドロールで新疆ウイグル自治区の地方当局や公安機関へ「特別感謝」したことが国際的な反発を買った。
中国国内では9月11日から劇場公開したが、ムーランを伝統的な親孝行者ではなく、愛国戦士へと変身させたことが中国政府にこびる行為だと、自由派に嫌悪感を抱かれた。愛国調で有名な環球時報からも芸術レベルが低く、中国の物語を正しく表現していない上に欧米人が勝手に思う中国の伝統要素を集めただけ、と批判された。
一般の観客も失望した。戦場帰りのムーランがなぜ、まるでピエロのような化粧をしたのか。映画の中に出てきた中国人男性はなぜ緑色の帽子をかぶっていたのか(中国で男性に緑の帽子をかぶせることは、妻の浮気を意味する)。中国人の美意識に全く合っていないこのムーランは、中国最大手の映画情報サイト豆瓣で10点満点中、4.9点しか集められていない。
主演女優の劉だけは中国外務省に褒められた。香港警察支持を公言したためである。スポークスパーソンは「彼女は現代のムーランだ。真の中国人民の優れた娘だ」と言った。
これに対する中国人ネットユーザーの面白い投稿がある。
「真の中国人民の優れた娘だって? 何かの間違いだろう。彼女はアメリカ国籍だよ!」。中美脱鉤(米中デカップリング)の悲喜劇だ。
(ニューズウィークの記事から引用)
中国での公開は、作品へのさまざまな批判により目論見通りにはいかなかったようです
脚本はハリウッドでそれと知られた脚本家が手掛けているものの、中国の歴史や文化に造詣が深いわけでもなく、中国風の装束や舞台を用いた無国籍映画になってしまっており、中国で酷評されるのも当然でしょう
しかし、アメリカや日本では映画館での公開を見送り、Disney+での配信に切り替えたのがかえって幸いしたとWikipediaに書かれています。コロナウィルスの影響でステイホームを強いられた人たちにとって、動画配信サービスは何よりの息抜きだったのかもしれません。アメリカでは2億6000万ドル(約272億円)の収入なのだとか
『ムーラン』日本版最新予告編
中国映画といえばワイヤーアクションです。ディズニーの制作ですからどうだろうと思ったら、やっぱりワイヤーアクション山盛りでした
自分には剣を構えてビヨーンと飛んでいく姿が、とんでもなく間抜けに見えるのですが、映画関係者はワイヤーアクションをなぜか好むようです。ワイヤーアクションなどに頼らず、殺陣をもっと工夫すればよいのに、残念ながらそうした発想はないようです
You Tubeのコメント欄には、映画のロケ地が新疆ウイグル自治区であることを指摘し、「中国によるウイグル人迫害を許すな」というメッセージや、「絶対見ない」と拒絶する意見がいくつも書き込まれています
ただし、残念なことに日米とも「ディズニーの映画だから、家族で安心して見ていられる」と受け止めている人が多いのでしょうし、中国政府によるウイグル人弾圧などまったく関心がないのが現実なのかもしれません
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