「鬼滅の刃」ブームを読めなかった業界人
「サイゾー」の配信記事を取り上げるのは随分と久しぶりです。大手メディアの報道姿勢とは異なる、いわゆる裏読みの記事が多いのが売りですが、ここ数年はサイトにアクセスして読む機会がほとんどありませんでした
さて、「サイゾー」が「鬼滅の刃」ブームに乗り遅れたアニメファンの悲哀を記事していますので、取り上げます
アニメや漫画に関わる業界で商売をしている人たちは、次に来る作品を常に探し回り、いち早くその作品のブームに乗って一儲けしようとアンテナを張っているのでしょう
しかし、そうした目利きを自負する業界人でも「鬼滅の刃」がこれほどまでに大ヒットするとは予測できなかった、との内容です
『鬼滅の刃』大ブームなのに乗っかれない”鬼滅難民“の実態──“古参アニメファン”が阿鼻叫喚
アニメ映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の興行収入が公開から10日間で100億円を突破し、このままいけば2001年に公開されたスタジオジブリの『千と千尋の神隠し』超えもあるのではないかと期待の声があがっている。
これほどまでに大ヒットした『鬼滅の刃』だが、このブームを予測できた人──特に“往年のアニメファン”が、あまりにも少なかったことも関係者の間では話題となっている。
「『週刊少年ジャンプ』での連載中は“そこそこ”の人気でしたが、アニメ化に大成功しコラボグッズなどの関連商品も爆発的に売れるようになった。集英社の担当は1日数百件の関連案件の処理に追われて、死にそうな状態だとか。このフィーバーを取り逃したのが、フジテレビです。
連載中はなんせ“そこそこ”程度の評判だったので、アニメ化の話が出たときにフジテレビは一度蹴ったそうなんですよ。しかし、コロナ禍で在宅作業の人が増えた影響もあり、Netflixなどの配信動画サイトで異様な人気を得ていった。これを受けてフジも慌てて放映権を買い取ったんです。映画公開に合わせた総集編や一挙放送は今年のアニメ放送でもトップの視聴率となりましたが、フジテレビ発のアニメだとは誰も思ってないですし、グッズ販売なんかにもさほど絡むことはできず……結局映画の番宣を手伝っただけみたいな雰囲気もあります」(テレビ局社員)
もともと『ドラゴンボール』や『ワンピース』など、集英社の作品を多数アニメ化してきたフジテレビだったが、「鬼滅はヒットしない」とみて放送を見送り。結局ローカル局であるTOKYO MXなどでの放送となったわけだが、マーケターらの予想に反して『鬼滅』は社会現象に。
ただし、業界全体でもこの現象を予測できた関係者は少なかったわけで、そういう意味ではフジテレビも、なんとかギリギリ映画公開にかかわることができただけ良かったといえるだろう。
「メディアなどでは、『自分はさほどハマれなかったけどアニメ業界のコメンテーターとして仕事がくるので仕方なく』といった感じで概況だけの分析をするにとどまっている解説者が頓珍漢なコメントをしてしまい、ファンから『ぜんぜんわかってない』などとディスられています(苦笑)。原作自体がスタートして4年で終了するほど簡潔な内容なので、歴史的分析なんかもしづらい。今更分析できるような要素が少ないので、往年のアニメファンほど混乱している印象ですね」(広告代理店スタッフ)
(中略)
「『新世紀エヴァンゲリオン』『鋼の錬金術師』『魔法少女まどか マギカ』などのように、いわゆる“アニメファン”たちが好むメタ的な視点があったり、壮大な伏線回収があるというよりは、物語のエモさや簡潔さがお客さんを引っ張ってきた部分があるのが『鬼滅』です。それに対して『深みがない』という見方しかできず、これだけヒットしてもなお『見る気がおきない』なんてひねくれたコメントをする人も多い(笑)。世間はこの話題で一色なのに、ついていけず『鬼滅難民』となってしまっているようです」(同)
興味がわかないのなら黙っておけばいいものを、世間が沸き立つ作品がゆえ無視できず“アニメファン”として一言物申さずにはいられない厄介なオタク心理も働いている様子。深読み好きの彼らにとって、簡潔明瞭な『鬼滅の刃』はまさに鬼門なのかもしれない。
自分は漫画は未読で、テレビアニメの方は視聴しました。分類からすれば鬼滅難民に近い古いタイプのアニメファンでしょう
登場人物に感情移入するほど夢中にはなれず、「ああ、こうした展開の作品なのね」と思って観ていた立場です
ではあるものの、わざわざ「この作品はアニメをよく分かっていない初心者向けだね」などと、したり顔で書いたりはしません
その時代ごと、世代ごとに視聴者に刺さるアニメ(今風の表現を使ってみました)があるのは当然でしょう
「鬼滅の刃」ブームが続くのか、終わるのかは分かりません。ただ、劇場版の自作を期待するのは難しいようです。今回劇場版になった「無限列車編」以降は、グロ描写が増えるため親子で鑑賞できるアニメとは言い難くなるためです
漫画版の原作に依らず、炭治郎たちの5年後を描くオリジナルストーリー、といった続編もありだとは思いますが、さてどうでしょうか?
余談ながら、かつて大ブームを巻き起こした「妖怪ウォッチ」の劇場版アニメーション第6作目、「映画 妖怪学園Y 猫はHEROになれるか」が昨年12月に公開されたのですが、興行収入は7億3000万円にとどまりました。第1作目の「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」が興行収入78億円を記録したのに比べると、目を覆いたくなる状況です。が、ブームの終焉とはこうしたものでしょう
社会現象ともなったコンテンツも、時代の経過とともに消費され消耗され、消えてゆくのが常です。近年では特に、コンテンツの賞味期限が短くなっているのかもしれません。厳密に検証したわけではありませんが
さてそんな事情の中で、毎年大ヒットとなる劇場版「名探偵コナン」シリーズ(興行収入60億円から90億円)がいかに化け物であるか、わかります
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