作家川上未映子がネットの中傷に賠償求め提訴

インターネット上での誹謗中傷に対し、芸能人や作家が反撃に出るケースが増えています
これまでは有名税だとして誹謗中傷を受け流す対応が一般的でしたが、悪質な行為には断固として反撃し、損害賠償を求めて民事訴訟を提起するなり、名誉毀損で刑事告訴するなりの法的措置を取るように変化していくのでしょう
ですから、従来のようにSNSに中傷する内容を書き込んでも、「特定されないから大丈夫」とはいかなくなります
作家の川上未映子が悪質な中傷行為や殺害予告を繰り返した人物に対し、450万円の損害賠償を求めて提訴し、その第一回公判が開かれたと報じられています


ネット上で中傷や脅迫を受けたとして、芥川賞作家の川上未映子さん(44)が、投稿者に対し約450万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
第1回口頭弁論が26日にあり、投稿者は請求の棄却を求めた。
訴状によると、2018年10月、川上さんについて「レ(死)んでしまえと思っている。やるっきゃない、さ(刺)すしか」、「(イベントがある)11月18日やろうと思えばやれる」などの投稿がネット掲示板に書き込まれた。警察に相談した川上さんは、イベント出演を急きょ中止。ほかにも、川上さんの小説を「私の書き込みの流用だった」として、川上さんが盗作したかのように読める投稿もあったという。
プロバイダー責任制限法に基づき投稿者の情報の開示手続きをしたところ、書き込みをしたのはすべて同じ人物と判明。(1)危害予告で仕事に支障をきたした(2)オリジナル作品を創作して世に送り出す作家の評価を低下させた――として提訴した。川上さんの代理人弁護士は取材に、中傷や脅迫で「小説家としての活動が実際に制限された。見過ごせない」と話している。
(朝日新聞の記事から引用)


当然ながら民事訴訟を起こす前、加害者が特定された時点で弁護士を介して損害賠償を求めた交渉が行われたはずです。しかし、加害者は賠償を拒否したため、民事訴訟になったのでしょう
示談をまとめる選択肢があったのにそうしなかったのですから、かなり強気のようです。その強気の根拠は不明です
いかに強気な主張をしたところで、脅迫や中傷の事実を裁判所は認定するはずです。損害賠償の額は、請求した450万円からどれだけか割り引かれるとは思いますが、決して安い額にはならないでしょう
まあ、訴訟に負けても払わないという人もいるわけで、そこまで開き直るつもりなのでしょうか?
開き直った挙げ句に刑事事件など起こさなければよいのですが
作家とて生身の人間であり、特別に守られているわけではありません。暴力から身を守るだけの備えを、自身で行う必要があります。創作活動以外にストーカー対応のため目配り、気配りしなければならないというのはかなりの負担でしょう。さらに家族についても守る必要にせまられ、対策を講じなければなりません
川上未映子が長年のストーカー被害について語っている記事がありましたので、貼っておきます

「悪いのは加害者であり、被害者に非はない」ネット危害予告を受けた川上未映子さんが語る
自分の活動を制限されるのはおかしい
「表現を仕事にしていると、ネット上の誹謗中傷などはつきものです。作品であれ私個人にたいするものであれ、結局は嫉妬や妄想がほとんどなので、私には関係ありません。でも危害予告は別です。大勢の人や生活にかかわることです。
私は10年以上、複数のストーカーの問題を抱えていて、弁護士などを通して当該人物たちの動向をチェックしています。ストーカー問題の根が深いのは、時間がたっても「これで終わり」という線引きができないことなんですよね。
よく言われるのは相手を刺激しない方がいいということなんですが、そうすると結果、自分の活動を制限することになる。でもそれはおかしい。悪いのは加害者で、被害者には非はないのですから」

(関連記事)
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