日本薬科大女子学生殺人 広瀬被告の初公判

昨年1月末、女子大生を自宅アパートまで招き入れた上に殺害し、遺体を空き地に埋めたとして広瀬晃一被告が逮捕されたのですが、その後は続報もなく(単に自分が見落としていた可能性もありますが)、ブログで取り上げないままでした
殺人及び死体遺棄容疑で起訴された広瀬被告の初公判を報じる記事がありましたので、取り上げます
そもそもこの事件は、被害者である菊池捺未さんが何のために茨城県神栖市の広瀬被告の許を訪ねていったのか、はっきりしません
検索して調べると、2019年2月の週刊新潮が記事を掲載しています。目撃者もいない事件ですから、週刊新潮は捜査関係者から情報を得て記事にしたものと思われます。2人が接触した経緯を以下のよう書いています


「菊池さんは廣瀬から事前に、会うことの対価として一定金額の提示を受けていたようです。彼女はお金を受けとれると見込んで、片道の交通費しか持たずに神栖まできた」(同)
ところが“約束”通り部屋で2人きりですごしたにもかかわらず、お金は受けとれなかったうえ、体よく畑でクルマから降ろされてしまった。アパートへ戻ったのは、その“抗議”のためだったとされる。
「結局、お金を払わなかったのか、金額が少なかったかでもめた。怒った菊池さんが、(廣瀬の)写真を撮って“SNSで拡散してやる”と言って騒ぎはじめ……」(同)
そして悲劇は起こった。廣瀬容疑者が菊池さんに提示していた金額は、十数万円だったとも、あるいは30万円だったともいわれる。
(デイリー新潮の記事から引用)


ゲーム関係のサイトで知り合い、広瀬被告が菊池さんに「会ってくれたら30万円支払う」などと申し向けて誘い出したものと推測されます。広瀬被告は以前、携帯電話のサイトで知り合った千葉県内の女子中学生を誘い出し、みだらな行為をしたとして罰金刑を受けており、同じ手口を踏襲したと考えられます
しかし、広瀬被告が金を払おうとはしなかったため(金に困って会社からも前借りしていた広瀬被告です。最初から払う気はなかったのでしょう)、菊池さんは携帯で顔写真を撮影し「ネットに晒す」と申し向けたため、広瀬被告は菊池さんの顔面を押さえつけ窒息死させた、というのが事件のあらましのようです(週刊誌の記事等に書かれたものからの推測です。初公判の様子を報じた記事に、そこまでは書かれていません)


日本薬科大1年の女子学生=当時(18)=を殺害して遺体を茨城県神栖市の土中に埋めたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職広瀬晃一被告(37)の裁判員裁判の初公判が6日、東京地裁(野原俊郎裁判長)であり、被告は「殺意を持って、というところだけが違う」と述べ、起訴内容を一部否認した。
弁護側は殺人罪は成立せず、傷害致死罪にとどまるとした。
検察側は冒頭陳述で、広瀬被告は2018年11月、無料通話アプリで知り合った学生を神栖市の自宅に連れていった後、金の支払いをめぐってトラブルになったと指摘。「被告は別の事件で執行猶予中だった。トラブルの発覚を恐れ、殺意を持って学生の鼻と口をふさいだ」と主張した。
弁護側は冒頭陳述で、「殺意はなかった。学生に撮影された顔写真を消去しようとしたところ抵抗され、気付くと動かなくなっていた」と述べた。
起訴状によると、広瀬被告は18年11月20~21日、茨城県鹿嶋市や隣接する神栖市などに停車した自動車内で学生を殺害。遺体を神栖市内の刈草置き場の土中に埋めたとされる。
(時事通信の記事から引用)


広瀬被告は幼い時に父親を亡くし、母子家庭で育ったようです。他方、菊池さんも親が離婚して父子家庭で育ったのだとか
なので、菊池さんの側にもお金を必要とする事情があったのかもしれません
さて、裁判の方では広瀬被告側が「殺害はしたが殺意はなかった。過失致死だ」と主張しています
ただし、過失致死であると立証するのは困難です。遺体を埋めて隠したのは菊池さん殺害を隠蔽するためであり、そこには殺意があったからではないか、との推測が成り立つからです
殺害した直後、自首していれば、「誤って殺害してしまった。殺意はなかった」との弁明も通用する余地があるのでしょうが
追記:東京地裁は広瀬被告に懲役14年の判決を言い渡しています。求刑は懲役20年でした。「被害者の鼻や口をふさぎ、力を込めて5~6分間押さえ続けた」被告の行為には殺意があったと認める判斷を示しています

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