和歌山カレー事件再審請求 大阪高裁も棄却
和歌山カレー事件とは、1998年町内会の夏祭りで提供されたカレーにヒ素が混入され、4人が死亡したほか多くの中毒者を出した事件で、林眞須美被告に死刑判決が出て最高裁判所で確定しています
林真須美死刑囚は判決を不服として再審請求を求めていましたが、2017年和歌山地方裁判所で請求を棄却され、大阪高等裁判所に即時抗告していたものです
本日3月24日、大阪高裁は林死刑囚の即時抗告を棄却する決定を言い渡しています
さて、これだけでは内容が乏しいので、林眞須美死刑囚の起こしていた民事訴訟について取り上げます
死刑判決の決め手の1つとなった、ヒ素鑑定に誤りがあったとして、ヒ素の鑑定をした科学者を訴えた民事訴訟です
和歌山毒物カレー事件で殺人などの罪で死刑が確定した林真須美死刑囚(58)が、確定判決の根拠となったヒ素などの鑑定に誤りがあったとして鑑定人2人に計6500万円の損害賠償を求めた訴訟で、鑑定人らの尋問が31日、大阪地裁(山地修裁判長)で行われた。2人は「極めて高い精度の鑑定だった」などと述べ、誤りはないとした。
林死刑囚は2017年3月に和歌山地裁で再審請求を退けられ、大阪高裁に即時抗告中。鑑定人らの尋問内容や大阪地裁の認定を再審請求審で証拠提出した場合、審理に影響する可能性がある。
2人は東京理科大の中井泉名誉教授と、聖マリアンナ医科大の山内博客員教授。
(共同通信の記事から引用)
林眞須美死刑囚の冤罪を主張する弁護団が執着しているのが、このヒ素鑑定に謝りがあるとの見解です
2013年の週刊朝日は次のように、中井・山内鑑定を誤りとする記事を掲載しています
カレー事件では、林真須美死刑囚の自宅にあったプラスチック容器から見つかったヒ素と、犯行に使用された紙コップに付いたヒ素が「同一」とされた鑑定結果が「決め手」となった。捜査段階で鑑定したのは、東京理科大の中井泉教授ら。ヒ素に含まれる不純物としてスズなど4種類の重金属を調べた。これらの不純物から両者の同一性を導いた。
その鑑定に異議を唱えているのが、京大大学院の河合潤教授だ。河合氏は約3年前、林死刑囚の弁護団から鑑定について意見を求められ、自宅のヒ素と紙コップのヒ素は異なるものだという衝撃の結論を出した。同氏が注目したのは、ヒ素に含まれていた不純物のモリブデンや鉄の分量が、両者では明らかに違い、まったくの「別物」と結論づけたのだ。
昨年7月、河合氏の指摘を受けた中井氏が学会で発表に立ち、林死刑囚の自宅台所のプラスチック容器と、紙コップに付着したヒ素以外に、林死刑囚の親族や知人宅から発見されたヒ素、計7点を鑑定したと説明した。河合氏は言う。「プラスチック容器と紙コップのヒ素は同一で、親族宅などのヒ素とは違うから、林死刑囚が犯人となったはず。だが中井氏は7点とも同じだ、と。ビックリですよ」。
中井氏は本誌の取材に、「私は検察側から、プラスチック容器と紙コップに付いたヒ素の同一性の証明を求められました。鑑定して結果が同一だったのでそう鑑定書に書いた。きれいに鑑定できたという自信があり、検察側も満足していた。河合氏の理論は学術的。鑑定書と学術論文は違う。河合氏の指摘はズレている」と反論する。
(週刊朝日の記事から引用)
しかし、弁護団が再審請求の決め手として提出した河合教授の鑑定については、和歌山地裁は第三者による再鑑定によって検証しようとはせず、河合教授の証人尋問も行われませんでした。死刑判決を下した原判決に誤りはないとして、再審請求を退けています
以上のような経緯があって、弁護団は中井、山内両教授に対し損害賠償請求を提起し、鑑定に問題があったと争っているわけです
今回の大阪高裁の再審請求棄却の判断の中で、河合鑑定がどう扱われたのかは分かりませんが、再審請求の決め手にならなかった(裁判官が取り上げなかった)のでしょう
なお、ヒ素の鑑定は死刑判決の判断材料の1つですが、唯一絶対の証拠というものではありません。検察の立件に1か所でも疑義があれば無罪を言い渡すべき、などという理屈は通用しないのです
林眞須美が犯人でないなら、誰が犯人であるのか?
考えられるのは林家の人間であり、夫の林健治かこどもたちです。ですが、林健治は金のために自らヒ素を飲み、中毒になって保険金を手にするような男ですから、夏祭りのカレーにヒ素を入れても金にならないと理解しており、犯人とは思えません。ならばこどもたちでしょうか?
林家の台所の流しの下に、容器に入ったヒ素が置かれていたのですから、こどもたちでもカレー鍋にヒ素を混入するのは可能です。ですが、動機となるものがあったのかどうか?
町内の祭りの係で、カレー鍋の当番に当たった家族のうち、カレーを食べなかったのは林家だけです。林眞須美はこどもに「祭りのカレーは食べるな」と命じ、カラオケに出かけています。祭りが始まり、カレーが配られるその時間帯に、自分はその場にいなかったとアリバイを作るためではなかったのか、と言いたくなります
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