14歳養女強姦事件を考える2 無罪判決を破棄し差戻し

14歳の知的障害のある養女を強姦した疑いで起訴された38歳の養父に対し、福岡高裁が1審の無罪判決を破棄し、差し戻す決定を言い渡しています。1審の無罪判決は前回取り上げましたの、今回は福岡高裁の判断を中心に考えます


同居していた14歳の養女に立場を利用して性的暴行をした罪に問われ、1審で無罪を言い渡された30代の被告の裁判で、2審の福岡高等裁判所は「1審の審理は被害者に対する十分な配慮に欠けていた」として、無罪判決を取り消し、審理をやり直すよう命じました。
福岡県内に住む30代の被告がおととし、同居していた当時14歳の養女に対して立場を利用して性的暴行をした罪に問われた裁判で、1審の福岡地方裁判所は「被告や養女などの家族がリビングでかなり密集した状態で寝ていて、家族が気付かなかったのは不自然だ。被害についての証言は信用性に疑問がある」などとして無罪を言い渡し、検察が控訴していました。
11日の2審の判決で福岡高等裁判所の鬼澤友直裁判長は「被害者の証言の信用性を否定した1審判決にはさまざまな疑問点があると言え、事実誤認の疑いがあると言わざるをえない」と指摘しました。
そのうえで「1審判決がこのような判断に至ったのは被害者に対する十分な配慮に欠け、証言を適切に評価するための審理が不足していたことにあった」などとして無罪判決を取り消し、福岡地方裁判所で審理をやり直すよう命じました。
(NHKの記事から引用)


最近は1審の死刑判決を2審の高等裁判所がひっくり返し、大幅に減刑する判決が目立つのですが、本件に関しては逆です
福岡高裁の判決は、被害者供述の信用性を否定した1審の問題点を挙げ、被害者の年齢や知的発達の程度に加え、家族から性被害を受けた経緯を話さなければならない立場を理解する必要があると指摘しています。性被害による精神的後遺症などの影響や、被害者特性からくる表現力不足の可能性にも留意するべき、とも述べており、1審の判断を添削するような内容です
福岡高裁の鬼澤裁判長の名前で検索すると、これまで1審で無罪とされた性犯罪事件を2審の福岡高裁で逆転有罪判決を言い渡した判決がヒットしますので、性犯罪については厳しい見方をする人物のようです
1審の判断がことごとく否定される形になり、差戻されたのですから、福岡地裁はやり直し裁判で再度無罪判決を出すのは難しいのであり、弁護人も相当にプレッシャーがかかります
ともあれ、やり直しの裁判がどのような判断を下すか、注目しましょう

鬼澤裁判長の過去の判決
飲酒によって意識がもうろうとしていた女性に性的暴行をしたとして、準強姦(ごうかん)罪に問われた会社役員椎屋安彦被告(44)の控訴審判決が5日、福岡高裁であった。鬼沢友直裁判長は、一審福岡地裁久留米支部の無罪判決を破棄し、懲役4年の実刑を言い渡した。
鬼沢裁判長は、椎屋被告が飲酒によって寝ていた被害者を直接見て行為に及んだと指摘。「被害者が抵抗できない状態だと認識していたと推論するのが当然」とし、一審の判断について「不合理なもの」とした。(2020年2月の判決)
女性に酒を飲ませて酩酊した状態で強姦する事件では、抗拒不能かどうか(抵抗する意思があったのか、なかったのか)が争点になります。被害者が「明確な拒絶の意思を示さなかった=性交に同意した」と認定し、被告に無罪を言い渡す判例が相次いでいました。そこへ一石を投じたのが、上記の判決です

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