障害者施設19人殺害 植松被告初公判で暴れる

2016年、神奈川県相模原市の障害者施設に侵入し、19人を殺害した植松聖被告の公判が始まっています
予想された通り、公判で植松被告は大声を発するなど暴れ出し、退廷する羽目になっています。初回公判を伝える産経新聞の記事から引用します

《相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で平成28年7月、入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員、植松聖(さとし)被告(29)の裁判員裁判の初公判が8日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で始まった》
《公判の主な争点は刑事責任能力の有無。植松被告は、横浜地検の鑑定留置で人格障害の一つである「自己愛性パーソナリティー障害」と診断されたが、地検は完全責任能力があったと判断し、起訴した》
(中略)
《検察官の起訴状朗読に移る。植松被告は28年7月26日未明、入所者の男女ら43人を刃物で突き刺すなどして19人を殺害、24人に重軽傷を負わせたとして起訴された。また、結束バンドで廊下の手すりに縛り付けた職員2人を負傷させたなどとされる。植松被告は検察官に体を向け、気を付けの姿勢で朗読を聞いている》
裁判長「今読み上げた内容に違っているところはありますか」
植松被告「ありません」
弁護人「植松被告には精神障害がありました。その影響で責任能力が失われていたか、著しく減退していました」
《起訴内容を認める植松被告。一方、続けて意見を述べた弁護人は心神喪失か心神耗弱の状態だったと訴えた》
《この後、弁護側は裁判長に植松被告に発言させてほしい旨を申し立て、裁判長が許可。証言台の前に立っていた植松容疑者が再度口を開く》
(中略、植松被告暴れ、退廷させられる)
《午前の審理は植松被告が暴れ、開始15分で休廷となった。午後の審理は植松被告が不在のままで検察側の冒頭陳述が始まった》
《まず検察官は植松被告がやまゆり園に侵入し、意思疎通のできない障害者を殺害しようと考え、43人を突き刺すなどして19人を殺害し、24人にけがを負わせたなどと事案の概要を述べた。その上で、こうした事実関係には争いがないとした。事件ではほかに職員2人が負傷している》
検察官「争点は犯行時における責任能力の有無や程度です。責任能力があったかなかったか、あった場合、どの程度であったのか」
《こう述べると、検察官は次に、植松被告が犯行に至った経緯や犯行状況の説明を始めた》
検察官「平成24年12月、被告人はやまゆり園で働き始めました。障害者を『かわいい』と感じ、友人にもそのように話していました」
《しかし、勤務を続けるうち、「意思疎通のできない障害者は不幸を生み出すので要らない」という考えを持つようになり、さらに、世界情勢などに興味を持ったことから「意思疎通のできない障害者は殺した方がよい。殺す」と考えるようになったとした》
《植松被告はその後、議長公邸を訪問。(施設襲撃を予告する)手紙を渡し、やまゆり園を退職。措置入院することになった。28年3月に措置入院が解除されると、障害者を殺害する計画を立てたという。検察官は淡々と計画の概要を説明する》
検察官「職員が少ない夜間に犯行を実行する。職員を拘束し、職員に確認しながら意思疎通のできない障害者を包丁などで殺害する。犯行後は警察へ出頭する。(職員拘束に体力が必要と考え)ムエタイのジムを利用し、報道された際に信用してもらうには見た目が良い方がよいと考え、美容整形をしました」
(以下、略)

検察側は犯行の計画性を強調し、植松被告にはそれを立案し実行するだけけの判断能力が備わっており、責任能力を欠いていはいないと言いたいのでしょう
対する弁護側は、植松被告の脱法ドラック使用歴、大麻の常用などを挙げ、精神障害の影響を強調し、責任能力を欠いていたと主張し、「植松さんに責任能力があることは、検察側が立証しなければなりません。責任能力があることが間違いないと判断される場合のみ有罪とし、それ以外は無罪としなければなりません。この事件については多くの報道がなされていますが、法廷での証拠のみで慎重に判断してください」と裁判員に語りかけています
検察のこの先、植松被告は精神状態が不安定であったものの、障害者の殺害という目的に沿って一貫した行動をしており、心神喪失とはいえないとして死刑を求刑するものと推測されます。これだけの事件ですから、心神耗弱を認め、罪一等を減じて無期懲役を求刑するとは考えられません
弁護側は精神鑑定の結果や、植松被告の常軌を逸した行動を知る人物を証人に呼び、責任能力を欠いていたと印象付ける戦術を取るのでしょう
さて、次回以降、植松被告は出廷できるのでしょうか?
今回同様、不規則発言を繰り返し、暴れ、騒ぐものと予想されます。裁判官によっても、裁判員にとってもしんどい公判が続きます
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