舞台「熱海殺人事件」で女優開眼と書く記事 今泉佑唯

つかこうへいの演劇「熱海殺人事件」や「幕末純情伝」は繰り返し上演され、新人女優の登竜門とされてきました。つかこうへいの舞台を経験すれば女優として一人前、という評価がいつの頃からか確立していたのです
ただし、本当にそうであるのか、自分は常々疑問に思っていました
現代演劇にありがちな、機関銃のごとく台詞をまくしたてる芝居のどこをどう評価したら、女優として一人前と言えるのか
ただの早口言葉大会ではないか、と
つかこうへいは、「間だの芸だのいらない。芝居はF1レース。0.01秒間違えると死ぬという真剣勝負を観に、客は来る。金を払って車庫入れを観に来る客はいない」と主張し、ファンはそのアクロバティックが台詞の乱打こそ芝居のだいご味と感じていたのかもしれません
さて、欅坂46を卒業した今泉佑唯が「熱海殺人事件」の舞台に立ち、その経験を「日経エンタテインメント!」の中で語っています
彼女なりに真摯に取り組み、達成感と自信を得たと伝わってくる内容です


元欅坂46の今泉佑唯 女優の覚悟「反骨心で快感知る」
(前略)
壁は高いほど乗り越えたときの達成感が大きい
「稽古期間は追い詰められすぎて誰とも話せず、毎日泣いていました。まず舞台のイロハを知らないから、自分は何ができていないのかすら分からなくて、頭の中がパニックになって…。欅坂46時代はプレッシャーを感じることがなかったんですよ。自分ができなくてもメンバーがいるからという安心感があったので。
でも、舞台は私がダメなら作品が成立しない。プレッシャーに押しつぶされそうになって、休憩になるたびに稽古場から逃げて、泣いてました。演出の岡村俊一さんから『絶対大丈夫だから』と励まされても、『なんの根拠があって大丈夫なんですか』って言ってまた泣いて(笑)。でも、『舞台に立てば絶対変わるから』と言われて、その言葉を信じて、自分を奮い立たせて頑張ったら、その通りでした。
同じ物語なのに毎日お客さんの反応が違うんですよ。昨日はここですごく盛り上がったのに今日は反応が薄いなとか、そういうのがはっきり伝わってくる。そうなると今度はこっちに火がついて、芝居のテンションが上がる。同じ話、同じセリフなのに芝居は毎日違うというのが楽しくて…。稽古中は二度と舞台なんかやらないと思っていたのに、終わった時にはまた舞台をやりたいって思ってました。
壁が高ければ高いほど乗り越えた時の達成感は大きいじゃないですか。反骨心が私のモチベーションなので、できないと言いつつも絶対に諦めないし、困難を克服して、やり遂げた時の快感をまた味わいたいんですよね」
(以下、略)


芝居をやる上で、最初は台詞の少ない端役からスタートし、徐々にステップアップして主役に至る、という過程はいまやないのでしょう
話題性のある人物を、芝居未経験でも主役や準主役に据え、舞台に上げるのが現代のやり方です
そして機関銃のごとくベラベラと長大な台詞をしゃべらせるという…
ただし、熱海殺人事件の動画を見ても、どこが面白いのか自分にはさっぱり分かりません

熱海殺人事件 今泉佑唯



新・幕末純情電 北原里英



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