俳優新井浩文の強姦事件 懲役5年の判決
派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして、強制性交罪に問われた俳優の新井浩文被告の判決公判があり、東京地裁の滝岡俊文裁判長は新井被告の「同意があったと思っていた」との主張を退け、求刑通り懲役5年を言い渡しています
判決というのは検察側の求刑を多少なりとも割り引くのが一般的ですが、今回のように求刑そのままの量刑を言い渡すのは珍しいケースです。それだけ新井被告側の自分勝手な主張や解釈に、裁判官が不快感を覚えたのでしょう
同時に、弁護人が法廷戦術を誤った、とも言えます
当ブログでは産経新聞の記事から引用する例が多いのですが、これは無料で読めるからです。朝日新聞や毎日新聞の場合、主要記事が有料配信になっていますので、ブログを書く側としては引用できない事情があります
加えて、法廷でのやりとりを取り上げた産経新聞のライブ感覚の記事は情報量も各段に多く、参考になります
以下、争点部分を判決がどう判断したか引用します
(事件の被害者である女性をAと記載しています)
裁判長「Aの証言と被告人の供述は、暴行および、Aの抵抗の内容の点で食い違っているので、これらの信用性について判断する」
裁判長「まずAの証言については、客観的な経緯や状況と整合し、これらによって裏付けられており、とりわけ、暴行の内容が(女性が記した被害の)メモの内容とよく符合する」
「また、Aはセラピストとして施術する目的で初対面の被告人の自宅を訪れたにすぎず、意向に反して性交を強いられる事態に対し、相応の拒絶感や抵抗を示すことが十分に想定されるのであって、Aが一連の暴行に際しても抵抗したという趣旨の証言内容は合理性を備えている。この見方は、本件直後に被告人から現金の受領を拒むなど、被告人との性交に強い拒絶感を示していた経緯からも首肯できる」
「さらに本件の直後にAから「抵抗したが、逃げ切れなかった」などと言われたという送迎の運転手の証言と整合することや、Aが覚えていないことはその旨、真摯(しんし)に証言し、ことさらに虚偽の供述をして被告人を陥れる状況も想定しがたいことなどを踏まえると、Aの証言の信用性は高いといえる」
《女性の証言の信用性を全面的に認めた裁判長は、続いて、新井被告の供述の信用性についての判断を述べていく》
裁判長「被告人供述は、(前提となる)事実関係を見ただけでも、Aの拒絶に気付かない事態がおよそ想定できないなど、こうした事実関係と整合しがたいから、信用に値しない」
(中略)
《強制性交罪の成立には、抵抗が著しく困難になるほどの「暴行または脅迫」が必要とされており、滝岡俊文裁判長は、こうした暴行があったのかについての判断を述べた。女性の証言によると、ズボンや下着を脱がされるなどの暴行があった。裁判長は新井被告がこれらの暴行を加えた上で、「ベッドに押し倒し、A(女性)と性交したと認められる」と述べた》
裁判長「こうした一連の本件暴行および性交は、そもそも被告人が深夜の時間帯に明かりも消された自宅寝室のベッド上でAからマッサージの施術を受けるという機会に乗じ、そうしたAの置かれた状況に付け込んで敢行されている」
《裁判長はさらに、女性が抵抗できたかどうかについても言及した》
裁判長「その暴行の態様に加え、被告人がAから何度も拒絶感を示され抵抗されたのに性交に及んだことや、両者の体格差も踏まえると、Aが被告人に対して物理的、心理的に抵抗することが困難な状況であったと推認される」
(産経新聞の記事から引用)
新井被告側の言い分を片っ端から否定する裁判官の言葉を耳にして、弁護人は頭を抱えたでしょう
物証が乏しく、当事者しかいない密室での犯行です。新井被告も弁護人も被害者の証言や供述調書に難癖をつけ、矛盾や祖語があると主張してきました。特に強制性交罪の構成要件である「被害者は抵抗できない状況に置かれたか」を客観的に立証するのが難しく、過去のいくつもの裁判で「抵抗できない状態だったとは認められない」とか、「明確に(性交を)拒否したとは認められない」などという判例が出ています
当ブログでもこの点を問題視し、むしろ「明確な同意がなかったのであれば、拒否したとものと推認すべき」ではないか、と書いてきました
さて、判決を受けて新井被告側は控訴しています
弁護人は「強制性交罪は立証できないから、実刑判決はない」と楽観視していたのかもしれません
法廷戦術としては有罪を認め、ひたすら平身低頭し情状酌量(慰謝料として2千万円の支払いを被害者に提示するなど、誠意を尽くしていると主張し)を狙った方がよかったのではないでしょうか?
そうした法廷戦術を採用しなかったのは新井被告の、「派遣マッサージなんて風俗営業なのだから金さえ払えば何とでもなる」という、被害者を見下した態度が原因だったのかもしれません
控訴審では、一審判決をひっくり返すのを趣味にしている変な裁判官に当たらないよう祈念します
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