福岡母子3人殺害事件を考える 冤罪を主張も言い分は?
福岡県小郡市で2017年6月、妻と子ども2人を殺害したとして、殺人罪に問われた元県警巡査部長の中田充被告の裁判員裁判が続いています初公判で中田被告は「一切身に覚えがなく事実無根。間違いなく冤罪です」と主張し、争う姿勢を示しています
冤罪の主張に同調するメディアが出現してもよさそうな気もしますが、その動きはないようです
以下、法廷での中田被告の様子を伝える記事から引用します
【小郡母子殺害事件】説得力を欠いた元警官の冤罪主張~裁判傍聴記
(前略)
検察側は、中田被告が妻子3人の首を絞めるなどして殺害したと主張した。中田被告は同僚に「妻に死んで欲しい」と話すなど、由紀子さんと不仲だったという。
対する中田被告は「間違いなく冤罪です」と無実を主張。それを後押しするように報道では、直接的な証拠はないと伝えられた。そこで、筆者は自分でも真相を見極めるため、中田被告の被告人質問の傍聴に赴いたのだった。
だが、結論からいうと、無罪判決が出そうな雰囲気は微塵も感じられなかった。
報道と裏腹に揃っていた証拠
まず確実にいえるのは、報道のイメージと裏腹に証拠が揃っていることだ。何しろ、冤罪を訴える中田被告自身が「証拠はほとんど私を犯人と認める方向に出ているのは理解しています」と言ったくらいだ。
たとえば、中田被告は事件当日、出勤のために朝6時53分に家を出たことが判明しているが、解剖医は3人の遺体の所見を基に「朝6時半より前に死亡したのは確実」と証言。中田被告は「家を出る時、3人は寝ていた」と主張したが、検察官から「本当にそうなのか」と質されると、「生きていた……」とだけ言い、次の言葉が出てこなかった。そして長い沈黙の後、ようやく言葉を発したのだが――。
「その……起きた時、生きてるか、死んでるかという確認は取らなかったんですけど……死んでるっていう状況ではなかったと……思いました」
このように「はい」か「いいえ」で答えられる簡単な質問に対し、中田被告はたどたどしい話しぶり。不自然な印象は否めなかった。また、亡くなっていた由紀子さんの周囲にはジッポーライターのオイルがかけられていたが、中田被告の職場のロッカーからは同じジッポーライターのオイルの缶が見つかっていた。
中田被告は「家でタバコを吸うと妻に怒られるので、ライターは職場に置いておいたんです」と釈明したが、検察官から「あなたの同僚は、あなたがターボライターを使っていたと証言している」と指摘されると、「ジッポーライターは……」と言い、何やらモゴモゴと聞き取れない声で言った。そして結局、「普段持ち歩いていたのはターボライターでした」と認めざるをえなかった。
(中略)
「妻に叩かれていた」と訴えたが
では、中田被告に妻子を殺す動機があったのか。中田被告はこの点について、由紀子さんと不仲で離婚の話が出ていたことや、いつもパチスロをして帰宅が遅く、家に帰らずにネットカフェなどに泊まることもあったと認めた。一方で、普段から由紀子さんによく叱責され、子どもたちの前で叩かれたりしていたと説明し、「家に帰るのが遅かったり、外泊したりしていたのは、妻に暴力をふるわれるのを子どもに見せたくなかったからです」と主張した。
中田被告がそんな話をしたのは、自分の正当性を訴えたかったのだろう。だが、由紀子さんのことを悪くいうほどに「やはり妻を殺す動機があったようだ」という印象になっていた。一方、検察官によると、中田被告は大学時代からパチスロが好きで、そのために留年したと周囲に話していたという。検察官がそのことを指摘したうえ、「家に帰らなかったのは、パチスロで遊びたかっただけではないか」「あなたが休みの日に子どもを遊びに連れ行くなどしていれば、由紀子さんは怒らなかったのではないか」と追及すると、中田被告はまた答えがしどろもどろになった。
「まあ、子ども……習い事以外に、子どもに自由な時間というか……あまり、出られる時間はなく……いっさい学校の友達と出られる時間はなかったので、習い事以外の時間は、家で……勉強をしてましたし……」
とにかく質問に端的に答えず、話す内容が曖昧。中田被告は終始そういう調子だった。
(以下、略)
中田被告は大卒の警察官ですから、あらかじめ法廷で発せられる質問を想定し答を用意していたはずです。それでもしどろもどろになってしまうのは、過度の緊張のためなのでしょうか?
あるいはやましさゆえなのでしょうか?
それにしてもパチスロ遊びにハマり、妻から叱責されたのが殺害の動機だとすれば、あまりにお粗末です。殺害された3人も浮かばれません
ギャンブル依存という自覚がなかったのでしょうが、中田被告は明らかに依存症であり、それゆえ状況判断が歪み、妻子を殺してでもパチスロに興じたいと思い詰めるようになったのかもしれません
もちろんギャンブル依存症で心神耗弱の状態だったと主張しても、それで情状酌量されたりはしないのであり、身勝手な犯行と断じられるだけです
今後、12月2日に論告求刑があり、判決は12月13日の予定です。検察は死刑を求刑するでしょう
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